ALS運動ニューロン標的iPS細胞創薬から同定された薬物のグリア細胞疾患修飾作用
Project/Area Number |
22K07500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 慎一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任教授 (20236285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00816952)
渡部 博貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30422413)
馬島 恭子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (30812440)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60160694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 脊髄運動ニューロン / グリア細胞 / ロピニロール塩酸塩 / 体液由来細胞外小胞 / プロテオーム解析 / アストロサイト / アストログリア / トランスクリプトーム / 筋萎縮性側索硬化症 / ヒトiPSC / ロピニロール / ミクログリア |
Outline of Research at the Start |
ALSの治療薬開発の方法論として、ヒトの神経変性疾患iPSCにより有効な治療薬を開発する戦略では、対象細胞はまずニューロン単独であり、臨床試験において有効性を保証するものではない。ヒトの中枢神経系ではグリア細胞の関与があり、in vitroでニューロンに示した有効性がさらに増強される可能性、逆に失われる可能性もある。疾患iPSCでスクリーニングされたロピニロールが臨床治験において有効性を示唆する結果を得たことは世界初であり、次のステップとして再びin vitroに戻り、グリア細胞、しかもアストロサイトとミクログリアの双方を同時に検討し、その相互作用を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年後は、グリア細胞(アストログリアとミクログリア)のロピニロール塩酸塩に対する応答性とALS病態進展抑制における役割を解析する計画であったが、ミクログリアの機能評価を行うに十分な、安定した分化誘導が行えず、これらグリア細胞と脊髄運動ニューロンの総体としての反応の指標である、ROPALS試験参加ALS患者から得られた血液、髄液の細胞外小胞のプロテオーム解析を行い、ロピニロール塩酸塩投与による影響を評価した。 ROPALS試験に参加した20人のALS患者と10人の対照群から、一定期間ごとに血清と髄液を採取した、これらのサンプルから抽出された細胞外小胞の包括的プロテオミクス解析を、液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)を用いて実施し、疾患進行に関連する縦断的なシフトと、タンパク質プロファイルに対するロピニロール塩酸塩の影響を追跡した。タンパク質プロファイルには、疾患状態、時間、ロピニロール塩酸塩投与に関する顕著な相違がみられたが、高い一致性がみられた。ALSでは、炎症関連タンパク質のレベルは上昇したが、unfolded protein response(UPR)に関連するレベルは低下した。これらの結果は、発症後の縦断的変化を反映しており、サンプリング時の改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)と相関していたことから、ALSの発症と進行との関連が示唆された。ロピニロール塩酸塩はこのような変化を抑制し、ALSにおける炎症関連タンパク質レベルを低下させ、UPRに関連するタンパク質レベルを上昇させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクログリアの誘導自体は既に確立されているが、ミクログリアの性質上、培養環境によって容易にその挙動が変化し、炎症性⇔抗炎症性ミクログリアの相互変換が起こりうる。この制御方法が確立しておらず、ALS患者由来iPSC-ミクログリアを用いてロピニロール塩酸塩の薬効を評価することに懸念が生じた。そこで計画を繰り上げて、本年は既に終了したROPALS試験参加ALS患者のプロテオーム解析を先に実施することとし、解析結果をまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年(最終年度)は、ALS患者アストロサイトにおけるロピニロール塩酸塩の影響ともに、ALS発症や病態進展においてアストロサイトとともに重要な役割をもつミクログリアの解析についても進め、さらにアストロサイトとミクログリアの双方におけるロピニロール塩酸塩の効果と相互作用を検討する。本年度実施済の患者体液のプロテオーム解析結果を総括し、ロピニロール塩酸塩の作用機序全体像について解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(23 results)