APOE遺伝子多型に着目した外傷性脳損傷によるアルツハイマー病発症機構の解明
Project/Area Number |
22K07549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 一詩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 准教授 (30529053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川内 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 准教授 (20506505)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | アルツハイマー病 / APOE / 外傷性脳損傷 / アミロイドβ / タウ / APOE4 |
Outline of Research at the Start |
外傷性脳損傷(Traumatic Brain Injury: TBI)はアルツハイマー病(AD)の病因蛋白であるアミロイドβおよびタウの蓄積を促進し、認知症発症のリスクを高める可能性が示唆されている。本研究では特にADの遺伝的リスク因子であるアポリポタンパクE(APOE)遺伝子多型に着目し、APOE4による脳脆弱性がTBI感受性を規定し、認知症発症に関与するという仮説を検証する。研究はAD/APOE動物モデルにTBI介入を適用する基礎的研究と、臨床研究データベースの解析研究の双方向から行う。本研究の成果は遺伝的リスクに基づいたTBI受傷者の治療方針決定にもつながると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Jマウス(野生型)脳にレーザー誘起衝撃波(laser-induced shock wave: LISW)を当て、AD発症の有無を検討している。血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)の破綻はAD関連病態(アミロイドβ蓄積や神経変性等)に先行すると考えられるため、LISWによるBBBの破綻の有無をEvans blue色素腹腔内注入により検証した。具体的には、右側脳(実験群)にLISWを適用し、左側脳(対照群)は無処置で観察した。2日目にEvans blueを投与し、その2日目にマウスを灌流固定。LISW適用部の脳片を顕微鏡で観察した結果、左側脳と比較して、脳表や脳室周囲に顕著なEvans blueの漏出を認めた。同脳片の蛍光免疫染色を実施した結果、右側脳海馬における抗GFAP抗体で強染される細胞(アストロサイト)が目立ち、また、当該細胞の集簇が観察された。更に、BBBを構成するアストロサイトの剥離、弱染が見られ、これらは、LISW によるBBBの破綻、AD発症の前に生じる神経性炎症の端緒となる反応性アストロサイトの発生を示唆すると考えられた。LISWはBBB破綻を誘発し、且つ、AD発症の前に生じる神経性炎症の端緒となる反応性アストロサイトの発生も誘発する。いずれもAD発症に絡むものであり、LISWによる脳の物理的障害はAD発症の危険因子とみなされる。臨床データの解析では、DOD-ADNI研究のデータを引き続き解析中である。APOE遺伝型の情報がある274例の内、ε4アレルの保持率は正常群85例で27.1%, PTSD群112例で23%, TBI群54例で32.5%, PTSDとTBIの合併群118例で25%と、TBI群でε4アレルの保持率が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷性脳損傷、特に爆傷モデルとして再現性、安全性に優れるLISWが使用可能となり実験を進行している。LISWによる衝撃波の脳への影響は、肉眼的な出血が確認されない強度でも、脳内に何らかの細胞変化(BBB構成細胞の変化、反応性アストロサイトの誘発など)を誘発する、という我々の本来の視点については、今年度一定の成果が得られた。また、当初より使用予定であったWeight -dropモデルも使用可能となった。またヒトAPOE/APP double transgenic mouseも入手し使用可能な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
LISWの現在の刺激条件における脳内変化の再現性を引き続きC57BL/6マウスで確認すると共に、本系をAPOE knock-inマウス(APOEε3及びε4)に適用し、「APOEε4マウスではBBB脆弱性が高い。そのために、AD発症率が高い」という仮説を検証する。また、様々なマーカー抗体を用い、LISW処理による脳構成細胞の動態を検索、AD発症との関連を更に追究する。 臨床データの解析では、精神症状、うつ傾向、神経学的な機能予後、内科合併症などのデータ項目につきAPOE遺伝型による層別化解析を行い、APOEε4アレル保持がTBIの神経学的、認知機能的予後に与える影響について広く解析を進めていく。特に対象者本人とその家族に認知機能障害に関する同じ内容のアンケートを行うEcog(The Measurement of Everyday Cognition)の結果に着目し疾患認識とAPOEの関連についても解析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)
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[Presentation] 軽度認知障害患者におけるMMSEの成績とアミロイド病理の関連の検討2023
Author(s)
古屋 佑一郎, 本郷 悠, 松井 太郎, 伊佐 恵, 石原 圭人, 伊藤 寛宗, 奥寺 玲奈, 佐藤 瞳, 佐藤 謙一郎, 新美 芳樹, 井原 涼子, 岩田 淳, 岩坪 威, 池脇 克則, 鈴木 一詩
Organizer
第64回日本神経学会学術大会
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