精神障害と物質使用障害を併せ持つ者への日本版統合治療支援ツールの開発と普及
Project/Area Number |
22K07566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
池田 朋広 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (50572872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 俊彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 薬物依存研究部, 部長 (40326054)
大口 達也 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (40779815)
上原 徹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (60303145)
種田 綾乃 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (70643261)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 物質使用障害 / 併存性障害 / 支援ツールキット / ITCOD / リカバリー支援 / 統合治療モデル / アディクション / リカバリー / 統合治療 |
Outline of Research at the Start |
本研究では大きく分けて、1つの翻訳作業と2つの調査を行う。(1) 欧米で用いられている併存性障害者向け支援ツールキットITCOD(Integrated Treatment for Co-Occurring Disorders)の翻訳、(2)併存性障害者を対象とした簡易介入ツールの開発と効果測定、(3)一般の精神保健福祉機関を対象とした、併存性障害への支援実態やニーズ等に関する大規模な質問紙調査である。 併存性障害者への支援・治療に関する実態を明らかにし、我が国の法令・文化・支援の現状等を踏まえた支援ツールの効果的な活用のあり方を検討し、以って、併存性障害者支援モデル策定に向けた基礎資料としたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ連邦保健省薬物依存精神保健サービス部(Substance Abuse and Mental Health Services Administration;以下、SAMHSA)の開発した併存性障害(重複障害)のための統合治療Integrated Treatment for Co-Occurring Disorders(以下、ITCOD)の翻訳作業と、併存性障害を持つ者への直接的支援で活用できる簡易介入ツール(試作版)の開発を行い、これらを複数の支援機関に配布しアンケートを取るものである。 翻訳作業は、全350頁(図表含む)からなるITCODの全文訳(完成版)は、印刷に向け、最終的な校正作業を行っているところであり、5月中には300部の印刷物が出来上がってくる予定である。また、計画段階ではなかったが、SAMHSAが出している動画に日本語字幕をつけ、ITCODの冊子にQRコードを付けて見れるようにした。 第2研究である簡易ツール開発では、物質使用障害と他の精神障害を併せを持つ入所者に対し、全16回1クールの「リカバリーワークブックプログラム」を2つの薬物依存症回復支援施設において実施し、すべての回を修了した者へのインタビュも終えた。現在、文字越しが完了し、質的調査の解析に入る段階に来ている。あわせて、第2研究におけるプログラムの実践内容について、学会発表と論文投稿を行った。 第3研究のアンケート調査については、現在、日本語版ITCODの製本待ちの状態となっている。 2023年8月27日(日)には、中間報告会を行い、各研究の内容と進歩状況を報告したほか、動画の上映も実施した。その会には、このプロジェクトに興味を待つ、司法・医療・福祉、教育関係者が出席したため、最後に時間をとって、交流を図る機会も提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、翻訳作業が、全350頁(図表含む)からなるITCODの全文訳(完成版)に向け取り組み印刷間近である。遅れた理由としては、翻訳の分量が多かったため、想像以上の負担が生じたことがある。また、欧米の法制度と日本のそれとの違いも大きく、適した日本語訳が決まらないなど予想だにしないこともあった。参考にしていた他のSAMHSAのEBPツールキット(日本精神障害者リハビリテーション学会 監訳)も、和文としては読みづらいところなどもあり、用語の調整を余儀なくされたことなど、多くの点で当初の予定よりもかなり難航した。また、日本にない概念は、和名を何と名付けるかという点でも壁があり、この翻訳の難しさを痛感するとともに、その重要性を再認識した。 簡易ツール開発では、施設でのプログラム実施対象者が、コロナの影響でプログラムが実施できない、対象者が入所施設から逃げ出してしまうなど、対象者数の確保が危ぶまれたが、後半に実施した施設の参加者が多かったため、一定数のインタビューを確保できた。当初予定していた指標を用いた効果測定については、統計的に扱うほど数が得られないことや、介入が長期にわたり、その間における、他の要因による効果を除外することができないことが危惧されるため、インタビュ調査に切り替えたことで、時間と労力の負担が増幅した。 また、これとは別に、研究協力者が所属する公立精神科病院においても、ワークブックを用いた個別の介入を実施したが、コロナの影響や担当者の異動等もあり、プログラムの実施はされたものの、その後の調査には手が付けられなかった。 2つのツールの配布とアンケート調査(第3研究)については、分担研究者1名が抜けてしまったため、大きなアンケート調査が難しくなってしまった。また、第3研究は、第1研究の日本語版ITCODの製本を以って、はじめて実施可能となるため、現在は足踏み状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、各研究ごとにプロジェクトチームを組み、分担研究者および研究協力者によるZoomミーティングを重ねている。そのため、各研究プロジェクトの進歩状況については、全体の共有はできている。そのうえで、各自が自身の役割を十分認識して、それぞれに動いている。 2024年も、8月に本研究に携わる者や近接領域の専門家が対面で集まり、意見交換をできる機会を設けることとなっている。併せて、これまでの研究の進歩状況の報告も行うこととし、現在企画を立ている。 一方、第3研究のアンケート調査では、分担研究者が体調不良によって本研究を離脱したことを受け、調査の規模を縮小せざるを得ない状況となった。加えて、この度作成したツールを同時に2つ送りつけることで、アンケート対象への負担感が増し、回収率の低下が危惧されることから、送付する資料はITCODのみにすることを検討している。 アンケートを通じて理解をしてしてくれる精神保健福祉センターがあれば、センターのホームページ等から、日本語版ITCODのPDFをダウンロードできるようにしていきたい。簡易介入ワークブックは、この度の実践における使い心地を踏まえつつ、更に内容や書きぶりをブラッシュアップしていくことで、次の研究に繋げたいと考えている。これらの支援ツールの認知度を上げることで、多くの支援機関で障害を併せ持っているものに対して、支援者の負荷を軽減した形で、介入が行えるようにしていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)