Project/Area Number |
22K07583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
仲地 ゆたか 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10522097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金沢 徹文 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (20534100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 性別違和 / 性別不合 / DNAメチル化 / エピジェネティクス / バイオマーカー |
Outline of Research at the Start |
性別違和 (Gender dysphoria, 以下GD) は心と身体の性別の不一致から抑圧された状態にある。しかしGDは生物学的機序が示唆されながら、迅速診断に有用なバイオマーカーは同定されていない。本研究では性分化に伴い確立されるエピゲノム状態がGDでは顕著な性的二型を示さずグラデーションのような「ゆらぎ」があるとの仮説をたて、GD当事者と一般集団との比較からその仮説検証とマーカー開発に資するGD特異的エピゲノム情報の基盤構築をおこない、GDマーカーとして有用な性特異的DNAメチル化領域候補を集約して数式モデル化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
性別違和(Gender dysphoria、性別不合 Gender Incongruenceとも、以下GDと略)は性同一性障害・性別不合とも呼ばれ、その当事者は心と身体の性別の不一致から抑圧された状態に置かれている。しかしGDは生物学的機序が示唆されながら、迅速診断に有用で客観的な指標となるバイオマーカーは同定されていない。本研究では、DNAメチル化状態のような、性分化の過程で確立されるエピゲノム動態において、顕著な性的二型を示さずグラデーションのように非定型な「ゆらぎ」をもつ領域があり、そのなかにGDに特徴的なゆらぎを示す領域が存在するという仮説をたて、その仮説の検証とバイオマーカー開発の情報基盤構築を目的としている。GD当事者と非当事者との比較を元にその仮説検証とマーカー開発の可能性があるGD特異的エピゲノム情報の基盤構築をおこない、GDマーカーとなりうる特異的DNAメチル化領域候補を集約して数式モデル化を目指し研究を進めている。現在得られているサンプル数がいまだ少ないことから統計的有意性には考慮する必要は認めるものの、GD群で特徴的なDNAメチル化を示すとみられるシトシン座位を149座位同定することができた。これらの座位は、性分化疾患にも関係する転写因子遺伝子や神経シナプスや神経伝達物質などに関する遺伝子の内部または近傍で高頻度で検出されていた。第45回日本生物学的精神医学会年会(2023年11月6日、沖縄県南風原町)およびGID(性同一性障害)学会第25回研究大会(2024年3月17日、沖縄県名護市)において研究発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度における進捗は以下のとおりである。大阪医科薬科大学にてGD当事者の同意のもとで収集されたGD当事者由来の末梢血ゲノムDNA5例および比較例3例をもちいて、バイサルファイト変換によるDNAメチル化状態の検出を実施した。検出にはイルミナ社のInfinium MethylationEPIC BeadChipを利用し、約85万ヶ所のシトシン座位におけるDNAメチル化率を計測した。統計解析環境R上でDNAメチル化データの品質チェックと数値化、SNPとの重複座位およびヘテロアリル領域の推定座位などを除外して、非当事者データとの比較をおこなった(minfiおよびlimmaライブラリを使用)。昨年度にすでに得られていた予備データも含めて精査したところ、おそらくアジア集団特異的な変異・多型が上記システムでも検出可能なシトシン座位にも多く存在していることが考えられ、gaphumterなどのバイオインフォマティクスツールを用いたアレル予測やToMMoなどに登録された日本人集団のアレル頻度データとも照合し、データの精査をおこなった。現在得られているサンプル数がいまだ少ないことから統計的有意性には考慮する必要は認めるものの、GD群で特徴的なDNAメチル化を示すとみられるシトシン座位を149座位同定することができた。これらの座位は、性分化疾患にも関係する転写因子遺伝子や神経シナプスや神経伝達物質などに関する遺伝子の内部または近傍で高頻度で検出されていた。これらの解析を踏まえて、公開データベース上の既知データや生物学的な妥当性などを含め現在詳細な検討をおこなっている。以上の結果に関しては、第45回日本生物学的精神医学会年会(2023年11月6日、沖縄県南風原町)およびGID(性同一性障害)学会第25回研究大会(2024年3月17日、沖縄県名護市)において研究発表をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も可能なかぎりGD当事者サンプルを増やした形での解析を目指すと共に、比較対象となるGD非当事者群のデータとして東北メディカルメガバンクiMethyl(imethyl.iwate-megabank.org)で公開されている日本人集団約100名規模の血液細胞由来DNAメチル化データや、国内外で過去におこなわれたDNAメチル化データ(Gatev et al.など)を利用したGD非当事者群のDNAメチル化領域セットを対照群とした検証をさらに進める。現在同定しているGD特異的な「ゆらぎ」の候補となるDNAメチル化座位から、GD当事者の臨床情報と組み合わせた数式モデル開発をおこなう。また機械学習の手法を組み込んだ特異的座位の同定と利用も現在予定している。
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