実験動物モデルを用いた照射後心毒性解析と治療薬開発
Project/Area Number |
22K07673
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
深田 淳一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50338159)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
公田 龍一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00464834)
小池 直義 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (60464913)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 放射線性心毒性 / 実験動物 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「放射線照射による心嚢水貯留の増悪に関与する心有害事象は特定可能か、その治療は可能か」を課題として設定した。具体的には以下の3項目について検討する。 1)照射により惹起される心外膜炎以外の心有害事象について動物を用いた基礎研究により明らかにする。 2)臨床研究として心嚢水貯留の増悪例、非増悪例を集積し、その臨床データ(照射線量分布、画像特徴、患者要因)を比較解析し、増悪の臨床的要因を特定する。 3)解析結果からの発展研究として、特定された心有害事象について治療薬の探索を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は実験動物(マウス)に対する放射線照射の反応と組織変化を探索すること目標とした。マウスの中から照射感受性と肺炎発症リスクを考慮し、BALB/cを選択した。マウスは本研究課題のために作成した専用の固定具を用いて照射用マウスケージ内に保定し、同様に専用の成形した金属ブロックを用いて肺等の正常組織を可及的に保護したうえで、動物用X線照射装置を用いて心臓への20Gyの単回照射を施行した。照射後は8週間おきに小動物用マイクロCTを用いて画像の取得を行った。心血管系を良好に同定するために、血管造影剤を尾静脈より注入して撮像を行った。撮像したCT画像はDICOMデータとして画像解析ソフトウェア(3D‐slicer)上で観察することが可能であり、心臓の区域構造の同定も良好であり、輪郭描出を行った。さらに予備検討で見られた心室壁の拡張や肺血管の拡張が観察された。CTを撮像したマウスについて、心臓を摘出して組織切片作成(HE、アザン染色)を行い観察した。心室壁と大動脈弁の線維化と肥厚が観察された。一方、24週時点で心嚢水貯留については観察不十分となっている。 臨床データの調査として、食道癌放射線治療症例について臨床的患者背景(臨床病期、心血管疾患の既往、年齢性別、喫煙など)、治療内容(照射線量容積、化学療法)、治療後経過(有害事象、予後)について収集した。CT画像データについては治療計画CTを匿名化したうえでDICOMデータ、解剖学的構造の輪郭像を取得した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物(マウス)に対する放射線照射は、照射後の脱毛の範囲が限局していることが確認されることから、予定通り施行できたと考えられる。また、マウスの一部は、照射後早期の死亡が観察されており、急性期の肺炎ないし肺水腫等が推測されるが、大部分のマウスは生存可能であり、妥当な線量投与であったと考えられる。小動物用マイクロCTを用いた撮像では良好な画像が取得できており、侵襲があることと手技を要することを考慮しても、造影剤投与後の撮像が有用であると考えられる。画像解析ソフトウェア(3D‐slicer)によるCT画像の解析も予定通り施行できており、定量解析も可能であった。しかしながら、24週時点ではまだはっきりした心嚢水貯留についてはとらえきれておらずこの点は検討が必要である。マウス心臓の組織切片作成、染色による組織観察では、長軸断面で切片を作成することが可能であり、心室壁と弁の断面を観察することができている。 臨床データの調査状況としては、対象症例について必要な臨床データと治療内容、治療後経過を収集している。解剖学的構造の輪郭取得に関しては、輪郭構造を治療計画CT上で追加して取得していることから、予想より多くの時間を要している。画像データの匿名化とDICOMデータの取得は予定通りである。 上記のような結果を得ており、2022年度の進捗状況としては、心嚢水貯留の観察が不十分であることと、臨床データにおける輪郭構造の追加に時間を要しているものの、全体的な進捗としては、ほぼ予定通りと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)実験動物(マウス)に対する放射線照射 2023年度はまず、現在のマウス照射を継続し、32週でのCT画像取得と組織切片作成を行う。特に心嚢水貯留の有無に着目して観察する。32週以降での遅発性の変化が観察される可能性はそれほど高くないと考え、32週でコントロール群についてもCT画像取得と組織切片作成を同様に行い、照射群との比較を行う。CT画像と組織所見との対比を行い非侵襲的なCT所見の有用性を調査する。 もし心嚢水貯留が明らかでなかった場合には、条件①マウス種、②週齢、③複数回照射の順に条件を変更して、CT撮像、組織切片の取得を行い、有害事象の発症を観察する。動物モデル胸部照射後の組織学的変化が再現性よく確認できた場合には次の予定として、治療薬剤を探索する。 2)心嚢水貯留に関する臨床データ解析 上記と並行して、臨床症例の集積と解剖学的構造の輪郭取得を継続する。治療後のCT画像データについても収集し、時間軸を有するデータとして変化を調査する。胸部の心血管構造を描出し治療前後の心臓の容積や心筋の厚みなどの変化を解析する。特に無症候性の時点における変化を拾い上げることで放射線照射後の有害事象進行のメカニズムや機序の解明を試みる。定量測定のみでは変化が乏しい場合には、画像特徴の抽出を試みることで、早期診断となる兆候を見出す。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)