Project/Area Number |
22K07780
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (70434040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 康宏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (00588676)
北畠 和己 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (40910732)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 放射線治療 / プリン受容体 / がん / 放射線増感剤 / 放射線防護剤 |
Outline of Research at the Start |
放射線治療は有効ながん治療法の一つであるが、奏効率の向上と根治のためには、正常細胞を保護しつつ、がん細胞選択的に放射線細胞障害作用を増強させる必要がある。これを実現し、放射線治療効果を向上させるため、本研究では、申請者が新たに提案する「プリン受容体活性制御による放射線細胞障害強度コントロール法」の分子基盤を確立する。この新規放射線治療戦略の確立により、患者QOLを維持しつつがん治療効果を向上させることが可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線治療の向上を目指し、プリン受容体の活性を制御することで、がん細胞と正常細胞それぞれの放射線細胞障害強度を同時にコントロールする新規治療戦略の分子基盤形成を目的とする。本研究の研究内容は「γ線/X線での外部照射モデル」と「α核種での内用療法モデル」を用いたプリン受容体活性制御による放射線細胞障害強度コントロール法についての基盤研究を実施している。 昨年度、γ線照射肺がん治療モデル(外部照射モデル)に関する研究の結果、A2B受容体阻害薬とATPの併用により、肺がん細胞での放射線増感効果と気道上皮細胞での防護効果の両立を示唆する結果を得た。さらに今年度、肺がん細胞の種類によっては、ATP単独処置でも細胞死を誘導できることを明らかにした。そのため、ATPとA2B受容体阻害薬の共処置は、ATPによる気道上皮細胞の放射線障害減弱、A2B受容体阻害薬による肺がん細胞の放射線障害増強作用、ATPによる肺がん細胞の細胞死誘導を引き起こし、より効果的ながん治療効果が期待できる可能性が示唆された。また骨髄細胞の放射線障害についてもヌクレオチド処置による減弱作用が認められている。 またα核種内用療法モデルでのプリン受容体活性制御による放射線細胞障害強度コントロール法を確立するため、これまで(211)At-MABG治療におけるアデノシン受容体の関与について検討を進めてきた。その結果、アデノシン受容体A2a阻害薬及びA2b阻害薬の併用により、神経芽腫細胞における放射線増感効果を示唆する結果を得た。 これらの検討により、放射線治療効果を向上させる新規治療法の基盤形成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、さまざまな肺がん細胞へのATPの影響を検討した結果、これまで使用していたA549細胞では細胞生存率に影響がなかったが、未分化肺がん細胞株ではATP単独で細胞死誘導作用が認められ、γ線照射+ATP処置により、未分化肺がん細胞株の細胞生存率を顕著に低下できることを明らかにした。また乳がん細胞では、ATPに加え、GTPやGuanosineの処置により細胞死を誘導できることを明らかにした。またA2B受容体は、肺がん細胞において放射線抵抗性のみならず、CB受容体を介して細胞遊走能亢進にも関与することを明らかにした。またヌクレオチドによる骨髄細胞障害減弱効果についても順調に検討が進んできている。 また本年度、神経芽腫に対する(211)At-MABG治療におけるアデノシン受容体の関与について検討した。ヒト神経芽腫細胞株SK-N-SHにおけるアデノシン受容体サブタイプを検討した結果、A2aが著しく高く、A1及びA2b発現も認められた一方でA3発現は極僅かであった。MABG処置後の細胞生存率は、A2a受容体阻害薬SCH442416及びA2b受容体阻害薬PSB603によって有意に減少した(P<0.001)。これらの結果から、神経芽腫においてA2a及びA2b受容体阻害薬併用によってMABG治療効果を増強できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、「γ線照射肺がん治療モデルでのプリン受容体活性制御による放射線細胞障害強度コントロール法の確立(外部照射モデル)」についての研究は、未分化肺がん細胞や小細胞肺がん細胞でのヌクレオチドの細胞死誘導作用を明らかにし、またA2B受容体の放射線誘発細胞遊走能亢進についても検討を行い、A2B受容体の阻害とATP処置による放射線治療効果の向上についてさらに検討を深める。また他のがん種との比較も行う。またヌクレオチドによる放射線骨髄障害の減弱効果については、ヌクレオチドのほか、生体内物質や植物成分などについても引き続き検討を行い、骨髄障害保護効果の高いものを明らかにする。
次に、「プリン受容体活性制御による211At-MABGによる褐色細胞腫治療促進効果と骨髄毒性減弱効果の解明(α核種での内用療法モデル)」についての研究は、MABG処置による細胞外ATP放出やATP分解阻害によるMABG細胞障害抑制効果の消失、A2a及びA2b受容体活性化によるMABG細胞障害活性抑制について検証後、A2a及びA2b阻害薬併用によるMABG治療効果増強について検証する予定である。
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