副腎白質ジストロフィーはコレステロール代謝障害による免疫応答の破綻が原因か?
Project/Area Number |
22K07817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
守田 雅志 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (20191033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 孝紀 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (60294964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 副腎白質ジストロフィー / ペルオキシソーム / 極長鎖脂肪酸 / CD4陽性T細胞 / ABCD1 / コレステロール代謝 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画は、副腎白質ジストロフィーの発症機構の解明を目的とする。本疾患は、ペルオキシソーム膜タンパク質ABCD1の機能欠損による極長鎖脂肪酸の異常蓄積が神経症状発症の原因と考えられている。しかし最近の知見から、発症の直接の原因は極長鎖脂肪酸蓄積ではなくコレステロール代謝障害による免疫応答の破綻がその本質である可能性が考えられる。本研究計画では、Tリンパ球のABCD1機能欠損による細胞内コレステロール代謝の障害が炎症応答の亢進を引き起こし、最終的に神経症状を発症するという機序を検証し、将来的に発症機構に基づいた発症抑制薬の開発に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は難病指定されている副腎白質ジストロフィーの発症機構の解明を目的とし、本疾患の分子病態を解明することにより、発症機構に基づいた発症抑制薬の開発を目指している。本疾患はペルオキシソーム膜タンパク質ABCD1の機能欠損を原因とする難治性の炎症性脱髄疾患で、脳における炭素数22以上の極長鎖脂肪酸の異常蓄積が発症の原因と考えられているが、本年度は発症の直接の原因がコレステロール代謝障害による免疫応答の破綻がその本質である可能性について以下の解析を行った。 1)HeLa細胞及びU87細胞のABCD1欠損細胞をモデル細胞として極長鎖脂肪酸代謝、コレステロール代謝及び免疫応答について解析を行った。その結果、ABCD1機能欠損により極長鎖脂肪酸の代謝異常と共にコレステロールエステル量の増加と脂肪滴の増加が確認された。またABCD1機能欠損U87細胞では、TLR3を介した免疫応答が減弱していることが明らかとなった。 2)脾臓から精製したナイーブCD4陽性T細胞をTh1分化誘導条件下で培養した結果、Abcd1欠損細胞でIFN-γの産生量が野生型に比べ高く、逆にIL-10産生量は低かった。またIfngおよびIl10遺伝子発現を制御する転写因子Blimp-1をコードするPrdm1遺伝子の発現量がAbcd1欠損Th1細胞で顕著に低下していた。野生型CD4陽性T細胞にLXRアゴニストを処理するとTh1応答の亢進が認められ、一方Abcd1欠損CD4陽性T細胞のTh1型応答はLXRアンタゴニスト処理により減弱した。このことから、Abcd1欠損によるTh1型応答の亢進がLXR活性化によるBlimp-1の発現抑制に起因していることが明らかとなった。以上のことからALD発症にはTh1型応答の亢進が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、1年目はAbcd1欠損CD4陽性T細胞がコレステロール代謝障害による脂質ラフトを介したシグナル伝達の異常によりTh1エフェクター細胞への極性化が亢進していることを、Abcd1欠損マウスを使用して明らかにすることを計画した。現在までに、HeLa細胞をモデル細胞としてABCD1機能欠損による細胞内コレステロール代謝障害について詳しく解析している。同時にCD4陽性T細胞でのコレステロール代謝について解析を進めており、Abcd1欠損CD4陽性T細胞のラフト構造が野生型と異なっていることを見出している。従って、実験は概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Abcd1欠損CD4陽性T細胞のTh1応答の亢進の機序について引き続き解析を行う。これまでAbcd1欠損Th1細胞ではCh25h遺伝子の発現増加を確認しており、この遺伝子がコードする酵素による25-ハイドロキシコレステロールの産生増加がTh1応答の亢進に関与しているか検証する予定である。またABCD1欠損によるコレステロール代謝異常がラフト構造及びシグナル伝達に及ぼす影響を検証する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] TNF Receptor-Associated Factor 5 Limits IL-27 Receptor Signaling in CD4 + T Lymphocytes2022
Author(s)
Kawahara E, Azuma M, Nagashima H, Omori K, Akiyama S, Fujimori Y, Oishi M, Shibui N, Kawaguchi K, Morita M, Okuyama Y, Ishii N, So T.
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Journal Title
J Immunol.
Volume: 208(3)
Issue: 3
Pages: 642-650
DOI
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Peer Reviewed
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