Project/Area Number |
22K07824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 俊輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (60789973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00400482)
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 小児白血病 / 核小体ストレス応答 / P53 / 免疫染色 / 抗腫瘍薬多剤耐性 |
Outline of Research at the Start |
核小体ストレス応答は,核小体から癌抑制因子P53を制御する新たな抗腫瘍システムである。申請者はこれまでに,小児ALLにおいて核小体ストレ ス応答の機能低下が多剤耐性を予測するマーカーとなることを見出した。 診断時に既に核小体ストレス応答機能が低下している白血病細胞は予後不良と予想される。また,核小体ストレス応答機能が低下する機序は全く明らかにされていない。 本研究では,小児ALLについて,1. 診断時の核小体ストレス応答と予後の関連を明らかにする。2. 核小体ストレス応答の機能が低下する機序を解明することで,小児 ALLの治療感受性を高め,再発や治療抵抗を克服する新たな治療戦略を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
核小体ストレス応答は,薬剤などのストレスによって核小体からリボソーム蛋白質L11(RPL11)が核内に放出され,MDM2と結合することによって癌抑制因子P53を制御する抗腫瘍システムである。本研究では,1) 診断時の白血病細胞のRPL11発現低下はALLの予後不良因子であるか?,2) RPL11の発現を低下させる機序の解明,3) RPL11の発現を回復させる方法を見出し,小児ALLの多剤耐性を解除すること,の3つを目標としている。 2022年度は,主に1)の診断時のRPL11の発現を評価する方法について実験を行った。診断時にRPL11の発現が低い症例は薬剤感受性が悪く,予後不良の可能性が高いと推測できる。これを評価するためにはRPL11発現量を絶対的に比較する技術が必要である。免疫染色は正常細胞と白血病細胞を形態的に区別して蛋白発現を評価できるため,評価方法として適していると考えた。これまでに免疫染色が可能なRPL11抗体は市販されていないが,研究分担者の河原は株式会社医学生物学研究所と共同で免疫染色が可能なRPL11抗体を作製しており,実用化に向けて開発をすすめている。 申請者は,この独自に開発されたRPL11抗体を用いて検討を始めた。まず最初に,ALLの細胞株を用いて,RPL11抗体による免疫染色を行った。様々な条件を検討した結果,核小体に特異的に発現するNucleolinに一致してRPL11が結合する条件を見出した。次に,患者検体を用いてRPL11の免疫染色を行い,細胞株と同様の条件で初発時の患者検体の白血病細胞のRPL11を染色できることが確認できた。今後は免疫染色によるRPL11の定量化を実現させる。免疫染色でRPL11が定量化できたら初発患者の骨髄検体を用いてRPL11の発現量と予後との関連を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,1) 診断時の白血病細胞のRPL11発現低下はALLの予後不良因子であるか?,2) RPL11の発現を低下させる機序の解明,3) RPL11の発現を回復させる方法を見出し,小児ALLの多剤耐性を解除すること,の3つを目標としている。 2022年度は,主に1)の診断時のRPL11の発現を評価する方法について実験を始めた。RPL11の発現を評価する方法として免疫染色を選択したが,これまでにヒト細胞においてRPL11の免疫染色は成功しておらず,難易度は高いと推測した。実際に,RPL11を免疫染色できる条件を見出すのに時間を要した。しかし,研究の初年度にRPL11の免疫染色に成功したことで,今後のRPL11の発現量の比較や予後との関連を解明することは順調に進むと予想している。 2)のRPL11を低下させる機序の解明と3)のRPL11の発現を回復させる方法については,特定のアミノ酸が重要な役割を果たすと考えている。アミノ酸を除去した培地の作成をメーカーに依頼しており,培地が完成したら解析が進むと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者の白血病細胞をRPL11抗体で免疫染色できる技術を確立できたので,今後は免疫染色を用いたRPL11の定量方法を検討する。免疫染色で白血病細胞のRPL11を定量することができれば,次に白血病患者の診断時の白血病細胞をRPL11免疫染色で定量し,予後と比較することで診断時のRPL11が予後規定因子であるこを明らかにできる。 これまでの検討で,特定のアミノ酸を培地に添加し濃度を上昇させるとRPL11の発現が増加することが明らかになりつつある。また,脱メチル化剤もRPL11の発現を調整している可能性がある。アミノ酸を除去した培地の作成をメーカーに依頼しており,培地を入手できれば今後の解析を進めることができる。
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