Project/Area Number |
22K07848
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70404522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
松久保 眞 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00528036)
大西 峻 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10614638)
山田 和歌 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20457659)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (30757919)
村上 雅一 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (40825361)
加治 建 久留米大学, 医学部, 教授 (50315420)
杉田 光士郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50781514)
春松 敏夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70614642)
山田 耕嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80528042)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 超低出生体重児 / 致死性消化管イベント / 壊死性腸炎 / 新生児消化管穿孔 / 未熟性 / 抗酸化作用 / 魚油含有脂肪乳剤 / 抗炎症作用 / 新生児壊死性腸炎 / 限局性特発性消化管穿孔 / 胎生期 / カロテノイド / ω3系脂肪酸含有脂肪乳剤 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、致死的消化管穿孔イベントを回避する治療方法の開発である。対象疾患であるNECおよびFIPは、出生後に未熟腸管へ経管栄養が開始された後、腸管壁の全層破綻が生じ穿孔に至るが、その原因は不明で予防方法も未だ確立されていない。そこで胎児期から介入を行い組織保護力を高めれば、この課題を回避し得るのではないかと考えた。未熟性の高い個体では出生後の酸素との接触が容易に組織障害に帰結する。カロテノイドの出生前供与により胎児期から抗酸化ストレス対応力を強化しつつ、ω3系脂肪酸による抗炎症力を併行して補強しておき、腸管組織保護ならびに肝庇護、健全な経管静脈栄養供給を図り、臨床課題を克服する方策を考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「未熟性の高い新生児の致死的消化管イベントを回避する予防方法・治療方法の開発」をめざし計画立案した。主な対象疾患は、出生後に未熟腸管へ経管栄養が開始された後ほどなくして腸管壁全層破綻を生じる新生児壊死性腸炎(NEC)、および特発性消化管穿孔(FIP)としたが、現在もなお本件でも一定の割合で当該患児が発生している。 早期に組織保護力に対する未熟点を補完し高めておくことで、これら致死的消化管イベントを回避し得るかどうかについて傍証を含め検証を重ねていく方針とした。究極的な意味で「早期」のタイミングについては、母体内の胎児期を意図した。介入方略として想起し掲げたのは、カロテノイドなどの抗酸化物質および魚油などによる抗炎症効果の相補作用の早期利用である。抗酸化物質補充による強力な抗酸化ストレス力支持と、ω3系脂肪酸による抗炎症力を利用することで、出生後の腸管組織保護ならびに肝庇護、栄養管理を図る方策を創出したいと考えた。 研究草案として以下の5点を挙げ、順次取り組むこととした①新生児期に生じる致死性消化管イベントに関する情報収集、現状提供し得る治療方法とそのアウトカムに関する評価②新生児への抗酸化療法案の創出:出生後に補給する抗酸化物質(カロテノイドなど)の至適供給量の検討:デザイン案として、NECモデル新生仔ラットを用い、リコピンおよびアスタキサンチンなどの経腸供与によるNEC発症に及ぼす効果を検証③胎児期治療への応用構想:リコピンおよびアスタキサンチンなどの抗酸化物質の静脈投与方法の検討④抗酸化物質を母体投与する構想:ラット母体に静脈投与した場合と経腸供与した場合との新生仔ラットNEC発症率、NEC重症度などの違いを評価⑤実験モデルでの周産期管理アウトカムの検証:新生仔ラットにも同薬を継続投与し、NEC発症率、NEC重症度の違いを評価
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、未熟性の高い新生児の致死的消化管イベントを回避する予防方法・治療方法の開発を最終目標として掲げた。出生後に未熟腸管へ経管栄養が開始された後ほどなくして腸管壁全層破綻を生じる対象疾患として掲げた新生児壊死性腸炎(NEC)、および特発性消化管穿孔(FIP)に関し、全県下の現状を評価するとともに、文献検索による国内および海外の実情を把握することが肝要と考えた。現在、本邦では未承認薬であるω3系脂肪酸を含有する魚油脂肪乳剤(Omegaven、Fresenius Kabi社)ならびに混合脂肪乳剤(SMOFlipid、Fresenius Kabi社)の特殊脂肪乳剤を適用し在宅静脈栄養管理を行なっている自験例の経時的アウトカムについて評価を進めている。これら情報収集とアセスメントについては、順調に進行している。 また、前述の魚油脂肪乳剤については、東北大学との共同研究として医師主導治験の計画を立て、該当対象患者の選考を慎重に行っている。 さらに、目下非常に高価で貴重な特殊脂肪乳剤資源の有効保存法をex vivoで明らかとした自験先行報告の追跡として、臨床適用での安全性に関する検証作業を重ねている。易酸化性の強い魚油含有脂肪乳剤は、開封後短期間で進行する製剤劣化が大きな問題点であった。海外から輸入する同製剤は、対象患者の1日使用量に比し封入量(1バイアルあたりの量)は10~15倍量に及ぶ。我々は購入した特殊脂肪乳剤をシリンジ分注した後、酸化防止剤とともに分注シリンジを真空パックして気密性を保持して提供している。製剤は冷蔵保存することによって、2週間安全に安定供給出来る事をin vivoで確認してきた。これまで、有害事象は発生していない。 これら出生後の新たな管理方針の確立が喫緊と判断したため、難治性腸疾患・腸管不全患者支援センターを院内に立ち上げ、臨床に即した検証を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の検証に必要な実験モデルを安定作成することに時間とマンパワーの労をかける必要がある。幼若ラットを用いたNECモデル、短小腸静脈栄養管理モデルの安定化にひきつづき取り組む方針である。静脈栄養管理モデルは既に安定性が保たれ開発済であるが、消化管吸収面積の減少に関わる全身へのストレスが加わった状態の短小腸静脈栄養管理モデルの安定化は途上と評価せねばならず、今後の推進方策としてさらに取り組んでいくつもりである。基礎実験/トランスレーショナルに位置付けた抗酸化物質の投与方法、安定保存方法も未詳となっており、検証をすすめる必要がある。 幼若ラット短小腸静脈栄養管理モデルの安定化を図った後、EPAおよび抗酸化剤による肝細胞への酸化ストレス軽減効果をモデルで検証する。将来的には、小型動物(ラット)での検証体制が確立できた後、大型動物(新生仔ブタ)での検証体制づくりに移行したい。ヒト新生児と解剖学的相同性、代謝生理学的類似性の最も高い新生仔ブタが適当であると考えている。鹿児島大学では、医用ミニブタを用いた研究施設があるため、新生仔ブタの飼育に応用が可能ではないかと構想している。新生仔ブタの完全静脈栄養管理(TPN)下の飼育を行うことが、第一段階の目標となる。研究代表者の海外での実験経験から、新生仔ブタは2~3週間のTPN管理において、血液生化学検査でビリルビンおよび総胆汁酸の上昇をみとめることが分かっている。総胆管カニュレーションによって実際の胆汁流出量の低下を確認し、17日間の観察で組織学的な胆汁うっ滞性肝障害を再現できることは既に報告している。小腸切除による短腸モデルの長期飼育と実験応用を図りたい。新生仔ブタはヒト新生児と相同性が高いため、実験中には昼夜を問わず高度な専門的インテンシブケアを要する。これを実現し得には、さらなるマンパワーが必要であり、この点は大きな規定要素となると想定している。
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