IL-1受容体・トール様受容体シグナルを制御するインフルエンザ脳症の新規治療探索
Project/Area Number |
22K07935
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
津下 充 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80625004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 宏一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90207340)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
|
Keywords | インフルエンザ脳症 / 血管透過性 / 脳血管内皮細胞 / 自然免疫 / マクロファージ / 血液脳関門 / インターロイキン1受容体 / トール様受容体 |
Outline of Research at the Start |
インフルエンザ脳症は乳幼児や小児に多く発症し、気道でのインフルエンザ感染によって高サイトカイン血症が起き、脳血液関門の障害や神経細胞障害によって発症する。さらなる病態解明と新規治療法の開発が強く望まれている。インフルエンザ脳症患者の血液で「インターロイキン1受容体(IL-1R)」・「トール様受容体(TLR)」といった受容体群の遺伝子発現が増加することが報告されており、IL-1RやTLR受容体群をターゲットとした新規治療法の探索を目的として、ヒト脳血管内皮細胞やマウス動物・ヒトの血液から分化させたマクロファージ細胞を用いてその有効性を検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトTHP-1株化細胞から分化誘導させたM1型マクロファージを単層培養し、インフルエンザA(H3N2)型をMOI 1で感染させた。24時間後における細胞死・細胞変性効果を認め、インフルエンザNP抗原を免疫染色し感染を確認した。上清中のTNFーα、IL-6の有意な増加を認め、デキサメタゾン(DEX)1μM添加によって有意にサイトカイン産生が抑制された。また、抗インフルエンザウイルス剤であるバロキサビル(10nM)で有意にサイトカイン産生が抑制された。抗IL-1R/IL-18R/TLR-4抗体の存在下ではサイトカイン産生は抑制されなかった。ヒト脳血管内皮細胞に対する上記のM1マクロファージの培養上清刺激によって、脳血管内皮細胞の紡錘化・細胞間隙の開大・血管透過性亢進を確認した。DEXやバロキサビルによる血管透過性亢進の抑制効果は認めたが、IL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体による透過性亢進の有意な抑制効果は得られなかった。小児熱性けいれん重積既往患者の末梢血単核球を用いた分化マクロファージ解析は協力可能対象患者が少ないため、上記のTHP-1細胞分化M1マクロファージでの検討に変更した。 小児の熱性けいれん重積患者とインフルエンザ脳症を含む急性脳症患者における自然免疫応答の比較を行うため、多施設共同研究を開始し急性期の全血と血清検体を採取した。全血か中の自然免疫応答に関連した遺伝子発現解析を行なった。急性脳症群では宿主の自然免疫応答に関連する複数の遺伝子発現が非脳症群に比べて有意な変化を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
条件設定のためヒトTHP-1細胞から分化させたM1マクロファージを用いてインフルエンザ感染とともにIL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体の添加による抑制効果を検証したが、明らかな抑制効果が得られなかった。小児熱性けいれん重積既往患者の末梢血単核球採取は対象患者が少ないため、上記のTHP-1細胞分化M1マクロファージでの検討、臨床検体(急性期の全血・血清検体)を用いた臨床研究に変更して現在研究を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト脳血管内皮細胞とM1マクロファージの共培養システムによる、インフルエンザ感染における血管透過性亢進の評価をタイトジャンクション分子に注目して進めていく。IL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体の抑制効果は認められなかったが、これらの分子の遺伝子発現について検討する。他の薬剤についても同様の方法で評価し、並行してインフルエンザ脳症モデルマウスの作成・実験を引き続き進めていく。熱性けいれん重積・急性脳症の急性期検体を用いた臨床研究は概ね解析が終了しており、今後は学会報告・論文報告を進めていく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)