Project/Area Number |
22K07951
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
内山 徹 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 成育遺伝研究部, 室長 (10436107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 遺伝子治療 / ゲノム編集 / 高IgE症候群 / STAT3 |
Outline of Research at the Start |
I型高IgE症候群(HIES)はSTAT3の片アレル変異によるドミナントネガティブ効果によって発症する原発性免疫不全症である。生理的な遺伝子発現制御の必要性や、残存する変異アレルによるアレルギー・炎症性病変の可能性から従来のウイルスベクターによる付加型遺伝子治療では対応が難しいとされる。本開発ではこれらの課題を克服すべく、①dead Cas9(dCas9)とtRNAアデノシンデアミナーゼ(Tad)からなる塩基編集ツールによる変異の修復と、②残存する変異アレルへのindel挿入、を組み合わせることで、変異の修復を同時に残存変異アレルの除去によるHIESへの新規の遺伝子治療法の開発を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
I型高IgE症候群(HIES)はSTAT3の片アレル変異によるドミナントネガティブ効果によって発症する原発性免疫不全症である。生理的な遺伝子発現制御の必要性や、変異アレルによるアレルギー・炎症性病変の可能性から従来のウイルスベクターによる付加型遺伝子治療では対応が難しいとされる。本開発ではこれらの課題を克服すべく、①dead Cas9(dCas9)とtRNAアデノシンデアミナーゼ(Tad)からなる塩基編集ツールによる変異の修復と、②残存する変異アレルへのindel挿入、を組み合わせることで、変異の修復を同時に残存変異アレルの除去によるHIESへの新規の遺伝子治療法の開発を試みる。 HIESでは、免疫機能の低下による易感染性の他、IgEや好酸球の増加を伴うアトピー性皮膚炎などの免疫異常が混在する。In vivoでの有効性評価のため、ヒトに該当するSTAT3変異を持つマウスを作製し、末梢血中のIgEと好酸球数の上昇のほか、皮膚刺激に対して容易に脱毛を越すことなどから、ヒトに近いフェノタイプを示すことがわかった。次に造血幹細胞へのゲノム編集のための造血幹細胞の培養方法およびゲノム編集ツールの導入のためのエレクトロポレーション法の最適化を行った。最適化した手法によって、80%程度の効率で造血幹細胞へEGFP mRNAの導入が可能であった。また、変異アレルのみを認識・修復する必要があることから、変異アレル特異的な認識を可能にするガイドRNA配列を検討した。PAM配列がNGGおよびNGのCas9を用いて、複数のガイドRNAを検証したところNG-PAMを用いた場合に、変異アレル特異的なスペーサー配列を設計することが可能であった。 上記の条件を用いて、STAT3変異マウスの造血幹細胞に対して塩基編集ツールによる変異の修復を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HIESでは免疫能の低下と免疫異常の両方が混在している。そのため、ゲノム編集を含めた遺伝子治療の有効性の評価には、細胞を用いた解析のみでは不十分であり、in vivoでの機能解析が必須である。昨年度までに作製したヒト(HIES患者)変異を持つマウスモデルでは、HIESの表現系を示すことがわかっており、このマウスを使用することで治療効果の評価が可能である。そのほか、治療効果が得られる効率でのゲノム編集を実施するためには、開発の各工程における条件の最適化が必須である。標的となる造血幹細胞の培養やゲノム編集ツールの導入方法は、ゲノム編集細胞のstemnessの維持に大きく影響する。また、HIESは常染色体顕性(優性)遺伝形式をとることから、健常アレルを壊すことなく、変異アレルのみを認識・編集するゲノム編集ツールの設計も必要となる。当該年度はHIESの造血幹細胞に対するゲノム編集に関わる様々な条件の最適化を完了し、次年度からこれらの条件によるゲノム編集の実施と有効性の評価を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
造血幹細胞に対する変異アレル特異的なゲノム編集の条件検討が終了したことから、今後は作製したHIESマウスに対するゲノム編集を進めていく。血中のIgEの上昇、好酸球の増加、皮膚刺激による脱毛など、疾患特異的な所見も明確であることから、これらの改善を指標に有効性を評価することが可能である。
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