鋸歯状ポリポーシス症候群の左側及び右側大腸癌の分子生物学的差異の解析
Project/Area Number |
22K07986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 耕一 徳島大学, 病院, 講師 (60531374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
佐藤 康史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80343383)
六車 直樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (90325283)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | SPS / オルガノイド / 鋸歯状ポリポーシス症候群 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、まず左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイドを用いて、左右間で細胞増殖速度、転移浸潤能を比較検討する。左右大腸癌オルガノイドは薬剤(5-FU,CPT11など)に対する感受性、転移・浸潤能を比較検討する。② 樹立したオルガノイドを免疫不全マウスに同所移植することにより新たなSP発癌動物モデルを樹立し、発癌機序の解析を行うとともに抗癌剤などの薬効評価の基盤研究とする③ 各オルガノイドの全ゲノムシークエンス及びメチレーションアレイ解析を行い、左右のSP、腺腫、癌の細胞増殖シグナルの違いを含む分子生物学的な差異を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Serrated polyposis syndrome (以下SPS)は、大腸鋸歯状ポリープ(SP)を多数有する症候群であり、高頻度に大腸癌を合併することが知られているが、その発癌機序は不明である。研究代表者らはこれまで、44症例のSPSを検討し、高頻度に大腸癌の合併を認めた(46%)。また、SPSにおける腺腫の合併は64%と高く大腸癌のリスク因子であることが示唆された。更にRAS、BRAF、APC、β-catenin、p53遺伝子変異解析の結果からSPSに合併する大腸癌は、serrated-carcinoma pathway(29%)のみならず、adenoma-carcinoma pathway(53%)による発癌も多数認められ、SPのみならず腺腫も切除する重要性が示唆された。また、興味深いことにserrated-carcinoma pathwayから発癌した病変は80%が右側結腸癌であり、adenoma-carcinoma pathwayは78%が左側結腸癌であった。そこで本研究では、SPSの左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイドを樹立し、全ゲノムシークエンスおよびメチレーションアレイ解析を行い、左右SP、腺腫、癌のシグナル伝達を含む分子生物学的差異を検討するとともにオルガノイド由来の新たなSP発癌動物モデルを樹立し、発癌機序の解析を行う。
本年度はSPS44症例の左側及び右側結腸(境界:脾彎曲部)でのHP、SSL、TSAと腺腫、癌の個数と腺腫の内視鏡所見(部位、肉眼型、腫瘍径)、病理学的所見などの臨床病理学的検討を比較した。また、左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイド(SP、腺腫は5例、癌は2例)並びに正常大腸粘膜(各々2例)よりオルガノイドを樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SPSにおける大腸癌合併率は41%(18/44)であり、男女比12:6、大腸癌診断時の年齢中央値 62(52-63)歳であった。腺腫の合併率は73%(32/44)で腺腫を有する症例では大腸癌の合併率が有意に高かった(大腸癌症例94%(17/18) vs 非大腸癌症例62%(16/26) p= 0.0157)。SPSの左側及び右側大腸癌は、左側/右側:10/6病変あり、内adenoma-carcinoma pathwayは9/2病変、serrated-carcinoma pathwayは1/4病変であった。左側及び右側結腸のHP、SSL、TSAと腺腫の個数はそれぞれ左側/右側:HP 558/84、SSL 41/163、TSA 7/3、腺腫 43/51であった。腺腫の存在部位は左側/右側 (D,S,R; 11,29,3)/ (Ce,A,T; 4,24,23)病変、肉眼型(Is,Isp,Ip,IIa)は左側/右側:(20,13,9,1)/(37,2,1,11)、腫瘍径中央値は左側/右側:6mm(2-23)/3mm(1-15)、組織型(tubular adenoma low grade, high grade(tubulovillous adenoma high gradeも含む))は左側/右側:(37,6)/(51,0)であった。Advanced adenomaは左側/右側:11/3病変であった。上記のように臨床データの集積は順調であったが、左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイド(SP、腺腫は5例、癌は2例)並びに正常大腸粘膜(各々2例)よりオルガノイドの樹立数はまだ不十分であるため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイドライブラリーの作成 左側及び右側結腸のSP、腺腫、癌のオルガノイド並びに正常大腸粘膜よりさらに多数のオルガノイドを樹立する。生検または手術摘出標本より得られた癌組織より癌細胞を分離し、オルガノイド基礎培養液(AdDF)に懸濁してマトリゲルにて3次元的に固化後、各種増殖因子を含むAdDF (Noggin, R-spondin, EGF, Wnt conditioned media 等々)を添加して培養する。
2.各オルガノイドの細胞増殖速度、薬剤感受性、転移・浸潤能の検討 樹立したオルガノイドをsingle cellにした後、96穴プレートにて10%マトリゲルを含むAdDFで培養し、1-7日後にCellTiter-Gro assayを行い生細胞数を評価する。薬剤感受性は、種々の濃度の薬剤を加えて培養し、CellTiter-Gro assayによりIC50を算出する。アポトーシスは蛍光標識抗活性型caspase-3抗体を用いて検出する。浸潤能はInvasion assay kitを用いて解析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)