Project/Area Number |
22K08033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (70372711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 守美子 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨床研究部(循環器)), 臨床研究部, 部長 (40510904)
池田 康将 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60432754)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | トロンビン / ヘパリンコファクターII / NAFLD / FIB-4 index / APRI / NFS / 糖尿病 / リスクファクター / 非アルコール性脂肪肝疾患 |
Outline of Research at the Start |
脂肪肝を含むNAFLDは人口の約20-30%、NASHはさらにその10%程度を占めるとされまたその一部は肝硬変・肝癌に進展する。従って、その予防対策に注力すべき重要な疾患群であるが、個体としてのハイリスク群の選別法や有効な治療法は未だ十分確立していない。この様な背景から、NAFLDに対して早期かつ包括的治療介入を目指すためには、NAFLDの発症及び進展に関わり、病態進行のリスクを有する症例の拾い出しを可能とし、その治療標的となり得る分子の同定が必要である。本研究では、その候補分子としてHCIIを想定し、臨床および分子生物学的検討によって、HCIIのNAFLDにおける意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は、セリンプロテアーゼ・インヒビターであるヘパリンコファクターⅡ(HCⅡ)が、デルマタン硫酸と協調して、トロンビン受容体のシグナルを抑制することにより、動脈硬化進展抑制や心筋リモデリング抑制、血管新生の促進、糖代謝の恒常性維持、糖尿病性腎症の進展予防に寄与することをこれまで明らかにしてきた。一方、近年非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝硬変・肝臓癌の発症やメタボリックシンドロームとの関連が注目されており、患者予後改善のための予防対策は、喫緊の課題となっている。NAFLDの発症には、肝組織におけるトロンビン作用の活性化が関わることが、これまでの研究で報告されていることから、HCⅡがNAFLDの病態進展に抑制的に働くことが予想されるが、臨床及び分子生物学的な検討は、これまで皆無である。そこで、NAFLDの発症・進展におけるHCⅡの臨床的意義およびその分子メカニズムを明らかにし、HCⅡのバイオマーカーとしての臨床応用への可能性や、治療標的分子としての可能性を探索することを本研究の目的とした。徳島大学病院と関連2病院に通院加療中の糖尿病患者合計305名を対象に、血漿HCⅡ活性と肝臓の線維化臨床指標であるfibrosis-4 (FIB-4) index・AST to platelet ration index (APRI)・NAFLD fibrosis score (NFS)の各々について、単回帰解析を行い、相関の有無について検討後に、交絡因子と成り得る臨床指標を組み入れた多変量解析を行った。その結果、血漿HCⅡ活性が独立して各肝線維化スコアリングマーカーと負の相関を示していることが明らかになった。本研究結果については、誌上発表を行なった(J Atheroscler Thromb. 2022 Oct 14. doi: 10.5551/jat.63752.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究としては、徳島大学病院と関連病院であるJA徳島厚生連阿南医療センターの2病院に通院加療中の糖尿病患者合計305名を対象に、血漿HCⅡ活性とFIB-4 index・APRI・NAFLD fibrosis scoreの各々について、単回帰解析を行い、相関の有無について検討後に、交絡因子と成り得る臨床指標を組み入れた多変量解析を行った。その結果、血漿HCⅡ活性が独立して各肝線維化スコアリングマーカーと負の相関を示していることが明らかになった。本研究結果については、英文論文として誌上発表を行なった(J Atheroscler Thromb. 2022 Oct 14. doi: 10.5551/jat.63752.)。 動物実験については、HCII欠乏状態を呈するHCIIヘテロ変異マウスにNAFLD病態を誘導するiHFC食投与を行い、NAFLDマウスモデルを作成済みである。今後血液生化学データ・病理組織学的解析及び分子生物学的解析を実施中であるが、HCII変異マウスにおいて、肝臓組織の線維化が進行する傾向がみられているものの、HCII野生型マウスと比較して血漿肝トランスアミナーゼや、肝トリグリセリド重量、肝臓線維化面積・肝臓組織を用いた炎症及び酸化ストレス関連遺伝子の発現解析などについて、ここまでのサンプルを用いた解析結果では、統計学的有意差を見出すまでに至っていないため、さらにサンプルサイズを増やして検証する必要があり、遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. HCⅡ変異NAFLDモデルマウスにおける肝臓病理病変の解析 NAFLD病態を呈した野生型マウスおよびHCⅡヘテロ変異マウスの肝臓組織を採取し、HE染色およびシリウスレッド染色で光学顕微鏡レベルでの両群マウスの肝臓におけるsteatosis, inflammation, ballooning, fibrosis, F4/80陽性Kupper細胞, F4/80集簇細胞の多寡についてスコアリングし、定量評価する。また酸化ストレス病態の評価目的に凍結切片を用いてDihydroethidium染色を施行し、両群マウスでの比較を行う。 2. HCⅡ変異NAFLDモデルマウスにおける病態形成関連因子の分子生物学的解析 (1) HCⅡ変異NAFLD病態におけるTGFβ-Smadシステムの活性化機構の関与:HCⅡは肝でのTGFβの活性化を抑制することで、肝線維化を予防する可能性がある。そこで、両群マウスのTGFβの発現量の差異を確認し、さらにTGFβの下流シグナルであるSmad2/3の活性化機構についても評価する。 (2)HCⅡ変異NAFLD病態におけるレドックスシステムの動向解析:酸化ストレスの増大は、TGFβの活性化に寄与することが知られており、生体内ではレドックス作用の過少がNAFLDの病変進展に大きな影響を与える。我々は、HCⅡ変異マウスでは、粥状動脈硬化巣や線維化心筋で活性酸素種が増加していることを見出しているため(Hypertension. 2010, J Clin Invest. 2007)、HCⅡには肝組織を保護するレドックス作用が存在すると推察している。我々は、レドックスシステムに 関わるマイクロ・アレイシステムを用いて有意な変動遺伝子を抽出し、候補遺伝子群のパターン解析とクラスタリング解析によるHCⅡのレドックス制御遺伝子群分類を行う。
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