消化管上皮の発生・分化原理の理解に基づく化生発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K08043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
森 健太郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50397296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岡 尚徳 相模女子大学, 栄養科学部, 教授 (00293879)
中村 ハルミ 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 研究所 ゲノム病理ユニット ユニット長 (80164325)
久木田 洋児 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, ゲノム病理ユニット主任研究員 (60372744)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 消化管上皮 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 転写調節因子 / 腸上皮化生 / がん / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Outline of Research at the Start |
食道や胃、腸などの上皮細胞の発生分化のメカニズムについては不明な点が多く、その解明は生活様式の変化ととも世界的に増加している消化器がんの治療法の開発においても重要な課題である。 これまでに転写調節因子Id2を中心とする遺伝子発現制御ネットワークが、消化管上皮の発生分化に必須の役割を担っていること、そしてId2が胃がんの素地となる腸上皮化生において高発現していることを明らかにした。 本研究の目的は正常組織構築に関わる分子機構とその脱制御による組織病変の形成を明らかにすることで、各種消化器がんの治療法の開発に貢献しうる知見を得ることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
転写調節因子Id2について、マウス消化管発生分化過程における機能解析とヒト腸上皮化生における発現解析を行った。(1) Id2は生体の様々な細胞の分化増殖に機能していることが報告されているが、消化管形成における細胞増殖の機能については明らかになっていない。Id2欠損マウス胎児消化管は野生型と比して明瞭なサイズ減少が認められ、Id2は消化管の細胞増殖において機能を持つことが想定された。一方、Id2欠損マウスは盲腸の形態異常を認める。マウス盲腸の形成は胎生11日目に空腸と結腸の境界部位より遠位方向への間充織の突出が始まり、続く内胚葉の陥入により進行する。Id2欠損マウスでは胎生12日に陥入する内胚葉の増殖障害を認め、生後に観察される形態異常は胎生期の増殖障害に起因することが判明した。Id2欠損マウス胎児盲腸における細胞周期制御因子について検討したところ、サイクリンやサイクリン依存性キナーゼの発現には変化を認めず、特定のサイクリン依存性キナーゼ阻害因子が高発現していることを見出した。Id2欠損マウス胎児盲腸における遺伝子発現を網羅的に解析したところ、上記サイクリン依存性キナーゼ阻害因子の発現を調節する転写因子が同定された。以上より消化管の発生分化過程においてId2は分化調節因子の発現制御に加え増殖調節因子の発現制御も行っていることが判明し、Id2が持つ分化と増殖の接点におけるその機能の一端が明らかになった。(2)粘膜萎縮の有無を含む様々な段階のヒト腸上皮化生について、抗Id2抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、Id2はCDX2の発現に見られるような他段階の発現パターンとは異なり、特定の段階における特徴的な発現パターンを持つことが判明した。このことからId2の腸上皮化生における発現は、ムチンタンパク質の発現と同様に、ヒト腸上皮化生の進行度のあらたな指標となりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)Irx3/5の前腸内胚葉特異的発現調節領域の同定に関して、ATAC-seqに使用する内胚葉細胞の分離に不十分な点が認められたため、ライブラリー調整が難航していた。問題点についてはすでに解消され、現在新たな細胞分離条件によるATAC-seqライブラリーの調整が進行している段階にある。 (2)胃上皮におけるId2の発現が腸上皮化生の形成に必須であることを検討するため、ゲノム編集技術によりRosa26領域からCreリコンビナーゼ依存的にId2を発現するマウス(Id2ノックインマウス)の樹立を試みたが、想定よりも産仔数が少なかったため、Id2を異所性発現するマウスの樹立に至っていない。解析に使用できる数のId2ノックインマウスが確保されたのち、すでに導入が完了しているCreリコンビナーゼ発現マウスとの交配を行い、胃上皮特異的にId2を発現するマウスを作出する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、消化管上皮細胞の領域特異的分化決定に関わる遺伝子発現調節機構を明らかにし、ヒト異所性上皮形成への関与についての検討を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)