バレット食道と好酸球性食道炎の病態形成に関わる相互作用の解明
Project/Area Number |
22K08056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石村 典久 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (40346383)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | バレット食道 / 好酸球性食道炎 / 胃食道逆流症 / 相互作用 |
Outline of Research at the Start |
胃食道逆流症を背景に発症するバレット食道と好酸球性食道炎の病態が相互に抑制的に作用しているとの仮説を検証する目的で臨床的・基礎的検討を行う。まず、バレット食道、好酸球性食道炎、胃食道逆流症患者を対象として、臨床的背景や食道に発現している遺伝子の発現解析、口腔内、食道における細菌叢解析などを行い、両疾患の病態の相違を明らかにする。次に培養細胞を用いた基礎的検討によってバレット食道形成の際に誘導される遺伝子発現が、アレルギー性炎症によって影響を受けるかどうかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
酸関連疾患であるバレット食道と好酸球性食道炎は胃食道逆流(GERD)を背景に発症するが、両疾患の合併は稀である。今回の検討では、お互いの病態が抑制的に作用しているとの仮説を立て研究を計画した。今年度は以下の検討を行った。 1.好酸球性食道炎およびバレット食道の臨床像および臨床サンプルを用いた検討 ①臨床像の検討:患者群[好酸球性食道炎:A群、バレット食道(好酸球性食道炎の合併例を除く):B群]および対照群(GERD(粘膜傷害あり):C群、健常者:D群)について、症例の集積を行い、各群5~16例について登録した。1cm以上のバレット食道の形成はA群で低い傾向を認めた。BMIや腹囲についてはD群よりもA-C群で大きい傾向が認められたが、A-C群の中では有意な差は認めなかった。アレルギー疾患の合併はA群で有意に高かった。②臨床検体を用いた検討:末梢血好酸球数およびIgE値はA群で有意に上昇を認めた。組織における好酸球浸潤はA群で有意に認め、免疫染色ではepidermal differential complex(EDC)蛋白の低下が特徴的であったが、B群では組織における好酸球浸潤は認められず、EDCの有意な低下は認めなかった。 2. バレット食道形成におけるアレルギー因子の関与に関する検討 食道扁平上皮株(Het-1A)およびバレット食道細胞株(BAR-T, BAR-10T)を準備し、IL-13関連遺伝子プロファイル(IL-13, IL-5, TSLP, eotaxin-3など)について評価を行っている。IL-13関連因子の発現は食道扁平上皮株とバレット食道細胞株において有意な差は認めなかった。また、IL-13(100ng/mL)投与によるeotaxin-3の発現について、バレット食道細胞株では扁平上皮株に比して発現が低い結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
好酸球性食道炎とバレット食道の臨床像の評価について、4群に分けて、各20症例を予定しているが、バイアスを小さくするために、男性でH. pylori未感染例に限定している。原因は不明であるが、コロナ禍以降で、好酸球性食道炎の症例が大きく減少しており(他施設でも報告あり)、症例集積が目標に到達していないため、今後も集積が必要である。症例の集積・臨床像の検討と並行して、培養細胞を用いた基礎的検討も進めていく。培養細胞のコンディションもやや安定しない状況であったが、培養液の調節によって安定している状況となっている。臨床的検討について、予定数に達しない場合においても、得られた症例を用いて統計学的な解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1.好酸球性食道炎およびバレット食道の臨床像および臨床サンプルを用いた検討 ①臨床像の検討:引き続き、症例の集積を進めていく。身長、体重、BMI、腹囲、アレルギー疾患の併存、同胞内のアレルギー疾患の有無、生活歴(飲酒・喫煙)、内視鏡所見などの臨床情報について、統計学的な評価を行い、好酸球性食道炎とバレット食道の臨床像の差を明らかにする。②臨床検体を用いた検討:血液検体および組織検体を用いたIL-13関連因子(IL-13,IL-5,TSLP, eotaxin-3)、バリア機能に関連するEDC蛋白の発現などについて免疫組織学的検討およびmRNA発現解析(定量PCR)を行い好酸球性食道炎とバレット食道の発現の差から病態の解析を行う。さらにバレット食道形成に関連するCdx-2、Notchシグナル関連因子(Notch-1、Hes-1、ATOH1)の発現についても同様に解析を行う。 2.バレット食道形成おけるアレルギー因子の関与に関する検討 食道扁平上皮細胞株(Het-1A)およびバレット食道細胞株(CP-A、BAR-T、BAR-10T)を用いた基礎的検討を継続して行う。各培養細胞株におけるIL-13関連遺伝子プロファイルについて定量PCRで評価を行い、大きな差はないことが示されたため、リコンビナントIL-13の投与によって培養細胞から発現するeotaxin-3やEDC蛋白の発現を評価し、反応の差を明らかにする。さらに、酸および胆汁酸曝露をした際のCdx2プロモーター活性の変化やIL-13関連遺伝子の発現を確認する。これらの結果を総合して、胃食道逆流を背景とする好酸球性食道炎とバレット食道の形成に与えるメカニズムについてアレルギー性炎症と胆汁酸による影響から考察する。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)