Project/Area Number |
22K08063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
及川 恒一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20514491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
坪田 昭人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90322643)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 肝癌 / 早期診断 / 型破り分泌蛋白 / バイオマーカー / 型破り分泌蛋白質 / 幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、肝癌に特徴的な型破りな分泌蛋白質と肝癌患者の臨床的特徴との関連性を解析することにより、将来、肝癌抑止のための早期診断や予後予測や治療反応性バイオマーカーとなる可能性を臨床的に検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌(HCC)の根治的治療は外科切除が主体であるが、早期発見しさえすれば、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法等でも十分根治が望める。しかしながら、脈管浸潤や遠隔転移を呈するような肝癌症例の多くは幹細胞マーカー陽性で予後不良であるため、より実用的な早期発見法や再発診断法の確立と新規治療法が切望されている。近年、研究代表者は、研究分担者の東京慈恵会医科大学・生化学講座・吉田清嗣教授と山田幸司准教授と共に、これまで細胞内のみに局在する分子とされていた核移行蛋白質 Protein kinase C delta (PKCδ)が、①肝癌細胞で細胞外分泌され腫瘍形成に重要な役割を果たすこと、②この細胞外分泌は細胞死や細胞障害とは無関係の全く別の機序で放出されていること、③血清PKCδが肝癌患者では健常人や肝癌ハイリスク慢性肝疾患患者と比較し有意に高値であること、④リン酸化蛋白質アレイ解析より、細胞外PKCδはIGF-1Rを介してErk1/2やSTAT3などの増殖シグナルを活性化させ細胞増殖亢進に寄与すること、⑤抗PKCδ抗体投与によりその腫瘍増殖が抑制されることを見出し、PKCδが肝癌の診断に、さらにその機能阻害が将来的な新規肝癌治療への応用に期待ができることを報告してきた (Yamada,Oikawa et al. Cancer Res, 2021;81(2):414-25)。そこで本研究では、申請者らが発見した肝癌における “型破り分泌蛋白質”PKCδと肝癌患者の臨床的特徴との関連性を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではHCC診断における血清PKCδの有用性を検証した。慢性肝疾患 (CLD)、HCCの血清PKCδをELISA法で測定、感度、特異度、適正cut-offを設定したうえでHCC診断能を既存マーカーAFP/DCPと比較検討した。血清PKCδはCLD群に比較し、HCC群で有意に高かった。PKCδのHCC診断能は既存マーカーであるAFP、DCPと遜色なく、HCC診断能は同等であった。PKCδはAFP/DCPと相関はなく、AFP/DCPと組み合わせることで診断能がより向上した。興味深いことにBCLC stage0 超早期HCC診断能はAFP、DCPよりも有意に高かった。背景肝別にウイルス性または非ウイルス性で分類して、その診断能を解析したところ、ウイルス性/非ウイルス性およびHCV治療前/後の状況にかかわらず、HCC診断バイオマーカーとして有用であることを見出した。また、既存マーカーの偽陽性がしばしば問題となる肝障害時またはワルファリン内服時でも血清PKCδは影響をうけず、HCC診断に有用であることを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
肝癌は世界第4位の死亡数で未だ予後不良であり,ゆえに早期発見が重要である。近年増加中の非ウイルス性HCCはAFP陽性率が低く,早期HCCのAFP/DCP陽性率も低いことから,進行癌で発見される事が多いことが問題となっている。従って,早期発見を目指したサーベイランスのためのHCC特異的新規バイオマーカーの同定が急務である。 本研究から血清PKCδは,ウイルス性/非ウイルス性の背景肝によらずに既存の腫瘍マーカーを補完できるだけでなく、早期発見が困難なAFP/DCP陰性HCCや早期HCC患者を特定できる新規バイオマーカーとして有用性が期待された。今後さらに血清PKCδと肝癌の臨床的特徴との関連性についての解析を行うために、大規模な多施設共同研究を準備中である。
|