Project/Area Number |
22K08143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Tenri University (2023) Tenri Health Care University (2022) |
Principal Investigator |
金井 恵理 天理大学, 医療学部, 教授 (20372584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 聖明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10305576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 加齢 / 動脈硬化 / 血管代謝 / 糖尿病 / 血管炎 / 膠原病 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 心血管 / 老化 |
Outline of Research at the Start |
我々はこれまでに、p53 とその下流にあるTIGAR (TP53-induced glycolysis and apoptosis regulator) の経路 (p53-TIGAR経路) が、ミトコンドリアのエネルギー代謝やオートファジーに影響して様々な心血管疾患の病因に重要な役割を果たすことを報告してきた。しかしながら、老化による血管ミトコンドリア代謝の変化や、それが高齢者虚血性疾患の進展にどのように影響しているかなど、わからないことは多い。 本研究では、p53-TIGAR経路を軸に、老化モデルや代謝改変モデルを用いて、老化がどのように血管ミトコンドリアエネルギー代謝に影響し、虚血性疾患を進展させるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
老化は細胞のエネルギー代謝を変化させ、動脈硬化を進めてさまざまな虚血性心血管疾患を引き起こす。我々はこれまでに、p53 とその下流にあるTIGARの経路が、ミトコンドリアやオートファジーに影響してエネルギー代謝の変化をもたらすことを報告してきた。本研究では、老化がどのように血管ミトコンドリアエネルギー代謝に影響して動脈硬化を進展させるのかを明らかにし、動脈硬化の進展を阻止する新しい治療法の可能性を探ることを目的にした。 昨年度、基礎研究において次の2つを明らかにした。①まず、動脈硬化の主たる危険因子である糖尿病に着目した。加齢によって増加する糖尿病はインスリンの作用不足が原因であり、適切なインスリン分泌は膵β細胞におけるミトコンドリアからのエネルギー供給に依存する。核酸成分であるピリミジン塩基の生合成中間物質の一つであるオロト酸を、肥満モデルマウスや糖尿病モデルマウスに投与したところ、p53を抑制して膵β細胞を保護し、インスリン分泌能が改善された。オロト酸は乳清に含まれるありふれたものであり、臨床に展開しうる介入候補の一つと考えられた。②若い血管内皮細胞と老化した血管内皮細胞を用意し、SARS-CoV-2を感染させ、その影響を検討した。SARS-CoV2の感染は血管内皮細胞の様々な遺伝子発現を変化させ、血管の機能不全を引き起こした。この変化は老化した細胞でより大きく、高齢者のコロナ感染患者においては、血管年齢の老化が疾患の重篤性に大きく関係する可能性を示唆した。 今年度は以上の基礎研究をふまえ、主に臨床研究を進めた。まず、糖尿病患者を対照にコホート解析を実施し、糖尿病への介入が血管年齢にどのように影響するかを調べた。また、血管年齢の老化が疾患の重篤性に影響したことから、慢性炎症を引き起こす自己免疫疾患に着目し、症例研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年までに次の2つの基礎研究を実施した。 ・老化による血管内皮細胞の機能変化とミトコンドリアエネルギー代謝に関するin vitro研究 ・遺伝子改変動物や動脈硬化モデルを使ったin vivo研究 これらの研究によって、まずは老化した個体における血管のミトコンドリア代謝の変化を明らかにし、p53-TIGAR経路を軸に治療介入のターゲットを示し、次に、すでにほかの目的で使われている薬剤や一般に使用されているサプリメントなどを候補に、老化による虚血性疾患の進展を阻止する可能性を動物モデルで明らかにした。また、老化した血管の代謝研究によって、血管の機能不全に関する新しい知見を得ることができた。以上から、今年度は血管をターゲットとした臨床研究を進めた。 まず、10年以上糖尿病加療を続ける60歳以上の高齢者を対象に、血管年齢に関するコホート解析を実施した。全体では、これまでの報告と同じく、糖尿病患者ではどの年齢階級でも公表される全国平均と比べて血管年齢値は高かったが、平均値以下を示す者も55%以上あり、治療を継続すると血管年齢の老化を遅らせる可能性を示唆した。また、血管に慢性炎症を引き起こすことで知られる膠原病について、いくつかの症例研究を実施した。具体的には、巨細胞性動脈炎との鑑別を要した若年性側頭動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、血管炎の寛解後に重症化した心病変などについて検討した。血管の慢性炎症はミトコンドリア代謝に長期的に影響を及ぼし高齢期のアウトカムに影響することが予測され、早期からの学際を越えた包括的な治療介入の必要性が示唆された。 本研究では、当初予定の基礎研究をもとに、コホートと症例研究による臨床研究を展開しているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの成果により、血管代謝は、高齢者のアウトカムにとって重要なポイントであることを再認識した。血管年齢が進むと心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントが増え、健康長寿を阻害する。糖尿病は生活習慣が深く関与し息の長い治療が必要であり、糖尿病患者ではり患しない者に比べて健康寿命が6,7年短縮することが知られている。以上から、今後もひきつづき糖尿病患者を対象に観察研究を継続する。また、今年度展開した膠原病による血管炎に関するいくつかの症例研究から、予後と治療に関する様々な知見を得ることができた。自己免疫疾患による血管の慢性炎症をどのようにコントロールするとよりよいアウトカムにつながるか、ひきつづき血管の慢性炎症をターゲットとした症例研究を積極的に継続する予定である。
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