Project/Area Number |
22K08152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
笹野 哲郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00466898)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 心房細動 / 細胞外小胞 / 期外収縮 / cell-free DNA / バイオマーカー / 細胞外核酸 / 合併症 / NO |
Outline of Research at the Start |
心房細動は本邦で最も頻度の高い不整脈であり、多彩な合併症を来すことが知られている。本研究では、心房細動で特異的に放出される細胞外小胞に着目し、①心房細動特異的細胞外小胞が血管内皮細胞や心室筋細胞に作用してその機能変化を惹起する、②心房細動特異的細胞外小胞が脂肪細胞に作用して炎症反応を惹起する、という仮説のもと、心房細動の病態下で心筋細胞と他の細胞・他の臓器を結ぶ細胞間コミュニケーションとしての細胞外小胞の病態生理を解明し、さらに疾患特異的細胞外小胞を疾患バイオマーカーとして臨床応用するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
心房細動では血中の血中CRPの上昇などの炎症反応が生じる。一方、心房炎症は心房細動の発症・進展に関連する因子でもあり、心房細動と全身および局所の炎症は互いに増悪因子としてvicious cycleを形成するものと考えられる。心房炎症が心房細動を進展させる機構は広く研究されているのに対し、心房細動が炎症を惹起するメカニズムは未解明の部分が多かった。我々は、心房筋細胞から放出される液性因子が全身にあたえる影響について検討を行った。 心房細動時には、高頻度興奮によってダメージを受けたミトコンドリアがexhophoreとして細胞外に放出され、その中のミトコンドリア由来DNAがセルフリーDNAとして放出される。我々は、心房細動患者300名、心房細動を持たない対照群300例を対象とした多施設研究を行い、末梢血中のセルフリーDNA濃度を評価したところ、心房細動群ではセルフリーDNA濃度が有意に高値であることを明らかにした。心房細動のバイオマーカーとして以前報告されたマイクロRNAについては、多施設研究では有意差がみられなかった。さらに、脳梗塞既往の有無で比較すると、脳梗塞既往群では血中セルフリーDNAが有意に高値であり、セルフリーDNAは心房細動有病リスクのバイオマーカーであると同時に、脳梗塞合併のリスク評価にも活用できると思われた。 さらに、心房細動時に血中に放出される液性因子として細胞外小胞の定量を行うと、細胞外小胞が有意に上昇していた。さらに、心房細動で放出される細胞外小胞中のsmall RNA seqによりも網羅的解析を行い、心房細動で放出される細胞外小胞のプロファイルは健常者と異なっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、心筋細胞から放出された細胞外核酸・細胞外小胞が心房細動に関連するバイオマーカーとして利用可能か、多施設研究により評価を行った。心房細動患者300名、心房細動を持たない対照群300例を対象とした多施設研究を行い、末梢血中のセルフリーDNA濃度を評価したところ、心房細動群ではセルフリーDNA濃度が有意に高値であることを明らかにした。心房細動のバイオマーカーとして以前報告されたマイクロRNAについては、多施設研究では有意差がみられなかった。この理由を明らかにするため、食事前後を含めてセルフリーDNAとマイクロRNAを定量して日内変動を評価したところ、セルフリーDNAに比してマイクロRNAは日内変動が大きく、食事による有意な変化が見られた。多施設研究においては採血タイミングは固定しておらず、このことがマイクロRNAがバイオマーカーとして有用性を示さなかった理由と考えられた。 また、脳梗塞既往の有無で比較すると、脳梗塞既往群では血中セルフリーDNAが有意に高値であった。本検討は、あくまでも脳梗塞の既往であり、脳梗塞発症予測として本研究を外挿できるわけではないが、セルフリーDNAは心房細動有病リスクのバイオマーカーであるのに加えて、脳梗塞合併のリスク評価にも活用できると思われた。 一方、心房細動において放出された病態特異的細胞外小胞に関するプロファイル分析を継続した。心房筋細胞に高頻度電気刺激を加えた際に放出された細胞外小胞を回収し、その機能解析を行った結果、心房細動で放出された細胞外小胞は脂肪細胞の炎症反応を促進することが明らかとなり、細胞外ATPによるマクロファージ遊走促進と相乗的に、脂肪組織を含む周辺組織の炎症を惹起することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 心房細動における病態特異的細胞外小胞が周囲の心筋細胞および線維芽細胞に与える影響の評価:心房筋細胞を高頻度電気刺激し、放出されたの細胞外小胞を回収・抽出して、心筋細胞および線維芽細胞に転嫁する。心筋細胞においては、パッチクランプ法により活動電位およびイオン電流の評価を行い、細胞外小胞の添加による細胞電気生理学的変化を評価すると同時に、Caインジケーターを用いた光学的評価によってCa transientの変化を検討する。線維芽細胞に関しては、細胞外小胞の添加後に炎症性サイトカインの発現変化および筋線維芽細胞への形質転換の評価を行う。これにより、心房細動の際に心房内で心房リモデリングが徐々に進展していくことのメカニズム解明を行う。 2) 疾患特異的細胞外小胞のバイオマーカーとしての有用性の検討:心房細動症例では細胞外小胞の濃度が上昇しており、細胞外小胞中のマイクロRNAの含有が異なっていることが明らかとなった。この疾患特異的細胞外小胞の同定のため、フローサイトメトリーによる細胞外小胞の評価系を確立し、表面マーカーのプロファイルの違いから、疾患特異的な細胞外小胞の評価を行う。
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