Project/Area Number |
22K08172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 潤 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00375081)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 慢性心不 全 / 冠微小血管機能異常 / 狭心症 / 等尺性張力測定実験 / 性差 / 心不全 / SGLT2阻害薬 / 冠微小血管機能 |
Outline of Research at the Start |
現在、我が国では人口の急速な高齢化に伴い慢性心不全、特に左室収縮能が保たれた心不全(HFpEF)が急増している。2021年8月HFpEFに対するSGLT2阻害薬の心血管リスク抑制効果が報告された(EMPEROR-Preserved試験)が、その心血管保護作用の詳細なメカニズムは不明である。一方、近年HFpEFの病態における炎症や冠微小血管機能異常(CMD)の重要性が報告され、治療ターゲットとしての可能性が指摘されている。本研究では、HFpEFにおけるCMDと血管機能調節で重要なRhoキナーゼ活性が果たす役割を明らかにすると共にSGLT2阻害薬の効果について探索的検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では心臓カテーテルによる包括的冠動脈機能検を施行した患者のうち同意が得られた患者の皮下脂肪から抵抗血管を採取して微小な摘出血管標本を作製し、オーガンチャンバーによる等尺性張力測定実験を行う。今年度は20名において心臓カテーテル検査後に鼠径部の皮下脂肪組織生検を行った。顕微鏡下に摘出微小血管のリング標本を作製後、ワイヤー・ミオグラフによる等尺性張力測定実験を施行し、血管弛緩反応における内皮由来弛緩因子(血管拡張性プロスタグランジン、一酸化窒素、内皮依存性過分極因子)の各成分分析と血管収縮性を評価した。侵襲的・包括的冠動脈機能検査で、冠攣縮性狭心症(VSA)、微小血管攣縮または冠微小血管障害のいずれかを有する微小血管狭心症(MVA)、両者の合併(VSA+MVA)のいずれかに診断された症例をINOCA群、冠動脈機能が保たれていた症例をコントロール群とするとINOCA群17名(VSA 10名、MVA 1名、VSA + MVA 6名)に対しコントロール群3名であった。摘出微小血管(平均径287mm)の血管内皮および平滑筋機能評価において、AChに対する内皮依存性弛緩反応がINOCA群で低下している傾向が認められた(最大弛緩率73±8% vs 100±0% [mean±SEM], p=0.17)。特にEDHによる弛緩反応が、コントロール群に比べINOCA群で有意に減弱していた(最大弛緩率47±9% vs 94±6%、p=0.03; 用量反応曲線の曲線下面積78±22 vs 147±17 [arbitrary unit], p=0.14)。以上からINOCA患者において内皮依存性弛緩反応の低下しており、特に微小血管における主要な内皮由来弛緩因子であるEDHの成分が減弱していることが初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画立案当時に当院で購入予定であった心臓カテーテル台上にて使用可能な卓上エルゴメーターの導入が極端に遅れていて、令和5年度内に導入されなかった。海外の人手不足から流通する製品数が極端に少なく、さらに円安の影響で購入費用が当初の予定額を越えて上昇するなどの社会的事情の影響が大きい。このため当初予定した卓上エルゴメーター負荷により診断する収縮能の保たれた慢性心不全症例(HFpEF症例)のエントリーができないため、当初の計画よりも本研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓カテーテル台上にて使用可能な卓上エルゴメーターの導入が遅れているので、胸痛発作を主訴とする非閉塞性冠動脈疾患(INOCA)患者における、HFpEF重症度のサロゲートマーカーである心エコーによる左室拡張能機能指標E/e'や血中BNP濃度と、冠動脈機能指標バイオマーカー(e.g. 末梢血白血球Rhoキナーゼ活性、CFR、IMR等)の間の相関について検討する。さらにこれまで冠動脈機能評価を行ったINOCA症例データベースを用いて、登録されているINOCA症例を糖尿病患者と非糖尿病患者間の、冠動脈機能指標とHFpEFsだろゲートマーカーの相関関係を後ろ向きに比較検討する。さらに今年度手技・方法が確立した皮下脂肪から抵抗血管を採取して微小な摘出血管標本を作製し、オーガンチャンバーによる等尺性張力測定実験によるデータをさらに集積し、末梢微小血管機能との相関についても検討し、オリジナルな研究結果を出していきたい。
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