Project/Area Number |
22K08213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
百渓 江 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (00824848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 浩二 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (40265715)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | p63RhoGEF / 血管収縮 / 平滑筋 / 高血圧 / 血管平滑筋 / RhoA / グアニンヌクレオチド交換因子 |
Outline of Research at the Start |
血管の異常収縮は高血圧の原因の一つであり、それを防止できる薬が高血圧治療薬となります。そのような薬は今でもありますが、どのような薬でも常に副作用の問題がつきまといます。ですので、同じ病気を治療する薬であってもいくつも種類があった方が患者さんの体質や、高血圧の原因によって一番副作用が少ない薬を選択することができるので役に立ちます。私達は、ある一定の状況においてのみ血管の収縮をコントロールに関わっていると思われるタンパク質を見つけました。そして、そのタンパク質の機能を阻害することによってその特定の状況においてのみ血管の収縮を抑え、結果としてより副作用の少ない事が期待できる薬の開発を目指しています。
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Outline of Annual Research Achievements |
血圧上昇の一因は血管平滑筋の収縮であり、慢性高血圧の一部は、血管収縮収縮が異常に持続することによって引き起こされます。我々は、これまでの研究でp63RhoGEFというタンパク質が血管平滑筋の収縮を制御する役割を持つことを明らかにしました。本研究では、p63RhoGEFの働きを解明し、このタンパク質を阻害する低分子阻害薬を見つけることを目指しています。低分子阻害薬の探索の際、候補物質の適用による血管の収縮・弛緩の有無を直接観察できることが理想ですが、哺乳類での直接観察は困難である一方、魚類のヒレの血管は半透明で、顕微鏡で直接観察が可能であるため、魚類のモデル生物であるゼブラフィッシュを研究対象としました。ゼブラフィッシュに哺乳類のp63RhoGEFに相当するタンパク質が存在すれば、その変化が血管収縮に与える影響を、血管を直接観察しながら研究することが可能となります。
一昨年の研究の結果、ゼブラフィッシュ版のp63RhoGEFを特定することができ、昨年は、その機能が哺乳類のp63RhoGEFと同様であるかを探求しました。哺乳類のp63RhoGEFは、RhoAという低分子Gタンパク質を活性化するGDP・GTP交換因子(GEF)の一種であり、RhoAの活性度を制御することにより血管収縮に関与しています。ゼブラフィッシュ版p63RhoGEFのDHドメイン(活性ドメイン)が哺乳類のp63RhoGEF と同様にRhoAを活性化することが確認できれば、哺乳類のp63RhoGEFと同様の機能を持っている可能性があるとの結論に一歩近づけたと言う事ができます。昨年度、結果として、ゼブラフィッシュ版p63RhoGEFのDHドメインが、哺乳類のp63RhoGEFのDHドメインと同様の機能を有する事を確認しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュ版p63RhoGEFのDHドメインが哺乳類版と同様の機能を持つかを検証するため、2つの実験アプローチを行いました。一昨年度のゼブラフィッシュ版のp63RhoGEFの特定の結果、哺乳類のp63RhoGEFに極めて似通ったタンパク質のDNAが2組存在している事が判明(各々に哺乳類と同様2種類のアイソフォームが存在している事から、それを加味した場合計4種類)したため、ゼブラフィッシュ版のp63RhoGEFのDHドメイン候補も現時点で2種類存在しています。昨年度の機能解析実験においては、その両者を対象とし、いずれのアプローチにおいても、まずはその両DHドメイン候補を哺乳類細胞で過剰発現するためのプラズミドにサブクローニングし、哺乳類細胞であるHeLa細胞に導入して同細胞内で過剰発現しました。その上で、当該細胞におけるRhoA活性度の変化を調査しました。
RhoAの活性度評価には2つの方法を用いました。一つはRhotekinというタンパク質の活性化RhoAとのみ結合するドメインを利用し、そのドメインの組み換えタンパク質を用いてゼブラフィッシュ版DHドメインを過剰発現させた細胞内のRhoAとの結合量を測定しました。その結果、ゼブラフィッシュ版DHドメイン過剰発現細胞でのRhoA結合量が増加し、仮説と一致しました。もう一つの方法では、細胞内のストレスファイバー量の変化を比較しました。RhoAの活性化がストレスファイバー量増加をもたらすことはよく知られており、結果としてゼブラフィッシュ版DHドメイン過剰発現細胞でのストレスファイバー量が増加しました。
これらの結果を総合的に分析し、ゼブラフィッシュ版p63RhoGEF候補のDHドメインが哺乳類版と同様にRhoAを活性化する機能を有することを確認しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、哺乳類のp63RhoGEFとの機能的類似点に着目しながら、ゼブラフィッシュ版p63RhoGEF候補全長の機能解析、また発現部位の特定を行います。具体的には哺乳類のp63RhoGEFと同じ活性化因子によって活性化制御が行われていることを確認し、また、発言部位の特定は、in situ hybridizationによって行います。ゼブラフィッシュ版p63RhoGEF候補が、哺乳類のp63RhoGEFと同様に活性化が制御され、また、血管平滑筋での発現が確認されれば、将来の低分子阻害剤のスクリーニングの際、その有効性を血管収縮の直接観察が可能であるゼブラフィッシュを使って行うための重要な科学的根拠となります。一方、すでに報告されている、p63RhoGEFに類似するタンパク質の阻害結合ペプチドの配列を元に、in silico モデリングによる哺乳類p63RhoGEFの阻害結合ペプチドの探索、その特定後、培養細胞等において実際に阻害結合能力があるかの確認を行います。同阻害能力については哺乳類p63RhoGEFだけでなく、ゼブラフィッシュ版p63RhoGEFに対しても同様の阻害能力があるかどうかの確認を行います。
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