治療抵抗性獲得に関与する小細胞肺癌機能性RNA分子アトラスの構築
Project/Area Number |
22K08260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水野 圭子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (50531414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 治療抵抗性 / 転写調節領域 / 転写因子 / ATACシークエンス / 機能性RNA / スーパーエンハンサー |
Outline of Research at the Start |
小細胞肺癌(SCLC)細胞株に対して、抗癌剤を暴露させ、時間経過に伴い形成される転写調節領域を検出する。薬剤暴露に伴い形成されるスーパーエンハンサー領域またはオープンクロマチン領域の情報と我々が既に保有している治療抵抗性SCLCの機能性RNA発現プロファイルの情報を統合させることで、SCLC 細胞の抗癌剤耐性に関与する機能性RNA 分子の時間的階層性を明らかにし、抗癌剤暴露時の早期に転写されるマスター分子を選択する。さらに抗癌剤耐性細胞を作成し、マスター分子を、siRNA を用いた遺伝子ノックダウンやゲノム編集技術(CRISPR-Cas9)により機能消失させ、耐性が解除されるか検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌(Small Cell Lung Cancer : SCLC)の治療の特徴として、外科的治療の適応は乏しく、ほとんどの症例で放射線療法または薬物療法での治療が行われる。分子標的治療の適応はなく、薬物療法に使用される抗癌剤は、依然としてシスプラチン(CDDP)がキードラッグである。しかしながら、SCLCは治療初期にはその反応性は良いものの、繰り返し治療を行う中でCDDPに対する治療抵抗性を獲得する。治療抵抗性に至ったSCLC患者に対する有効な治療法は乏しく、その生命予後は極めて不良である。SCLC細胞が、どの様にしてCDDPに対する抵抗性を獲得するか、その分子メカニズムを解明は、治療抵抗性に至ったSCLC患者に対する新規治療法の開発に重要な知見を与えることになると考えられる。 ゲノム上に存在する遺伝子は、クロマチンに結合する転写因子群によってその発現制御が行われている。エピゲノムの新しい概念として、細胞は、その運命を決定する重要な場面において、ゲノム上に強力な転写調節領域が出現し、生命の維持に不可欠な遺伝子を強力に発現させるという「スーパーエンハンサー」が提唱された。「スーパーエンハンサー」に結合する転写調節因子は、そのゲノム領域に存在する遺伝子の発現に深く関与する。 ATAC(Assay for Transposase-Accessible Chromatin)-sequenceは、ゲノムワイドでオープンクロマチン構造を選択的に検出する解析手法である。今回は、SCLCと同様にCDDPに耐性を来し、治療に難渋する頭頸部扁平上皮癌の細胞株(CAL-27)を用いて、CDDP添加後の初期応答に関与する転写調節領域を探索し、その転写調節領域に結合する転写因子の探索を行った。CDDP添加後のオープンクロマチン領域に対して、モチーフ解析を行った結果、AP-1、Fra-1、JunBなどの転写因子結合配列を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年開発された、ATAC-sequenceは、全ゲノムを対象に、オープンクロマチン領域の情報を得る解析方法である。ヌクレオソームによって保護されていないDNA部位(転写因子が結合し、転写活性が高い領域)にトランスポゼースを使ってシークエンスタグを導入し ゲノム全領域の中でオープンクロマチン領域だけタグ化した断片にする事ができる。この標識部位を次世代シークエンサーで解析する事によって、転写が活性化されている場所とその頻度を調べる事が可能となる。 本年度は、頭頸部扁平上皮癌細胞株(CAL-27)に抗癌剤(CDDP)を曝露した後、初期に惹起されるゲノム上のクロマチンの変化をATAC-sequence により解析した。CDDP曝露6時間後の解析では、遺伝子の転写活性が高い領域(オープンクロマチン243 領域)および転写が抑制されている領域(クローズクロマチン35 領域)を検出する事が可能であった。更に、CDDP添加後のオープンクロマチン領域に対して、モチーフ解析を行った結果、AP-1、Fra-1、JunBなどの転写因子結合配列を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の解析により、CDDP添加後のオープンクロマチン領域に結合する可能性のある転写因子群(AP-1、Fra-1、JunBなど)について、それら転写因子が制御する機能性RNA遺伝子の探索を行う。 (1) SCLC細胞に、AP-1、Fra-1、JunBを過剰発現させ、これら転写因子より制御を受ける機能性RNA遺伝子の網羅的な解析を行う。 (2) SCLC細胞にCDDPを曝露させ、時間経過と共に発現変化する機能性RNA遺伝子の網羅的な解析を行う。 (3) (1)(2)のデータをマージさせ、CDDP曝露後に、転写因子群(AP-1、Fra-1、JunBなど)により発現制御を受ける機能性RNA遺伝子を選択する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)