Project/Area Number |
22K08355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53040:Nephrology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 俊輔 九州大学, 大学病院, 助教 (10419608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敏昭 九州大学, 大学病院, 准教授 (10432931)
鳥巣 久美子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 腹膜透析療法 / 腹膜石灰化 / リン / マグネシウム / CPP / りん / 被嚢性腹膜硬化症 / 腹膜透析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は腹膜透析患者の重大な合併症である腹膜線維化および被嚢性腹膜硬化症(EPS)の予防と進展を抑制する有効な治療としてマグネシウム(Mg)に注目した基礎実験である。Mgは腹膜透析患者の体内で増加するcalciprotein particle (CPP)の形成を抑制し、CPPによる腹膜の炎症や線維化を阻止できることを明らかにする基礎研究である。本研究の遂行により、腹膜線維化やEPSの予防や進展抑制のみならず、種々の臓器における炎症や線維化過程をも抑制できる治療法として、Mg補充療法を定期することを最終目標に設定している。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、被嚢性腹膜硬化症(EPS)の重要な表現型である腹膜石灰化にリン負荷およびリン負荷に伴うCPP (calciprotein particle)の形成が関与することを実証し、その機序を解明することである。さらに、リン負荷および合成CPPによって促進される腹膜石灰化が、マグネシウムの経口投与あるいは経腹膜投与によって改善するかどうかを確認することである。また、マグネシウムの腹膜石灰化抑制効果に、細胞表面に発現するTPRM6やTRPM7が関与するかどうかもあわせて明らかにしていく。
この2年間の研究の成果により、培養中皮細胞および培養線維芽細胞を用いたin vitroの実験系、マウス腹膜組織を用いたex vivoの培養実験系を確立し、さらにカルシウムとリンを負荷することによってこれらの系に石灰化を誘導する手法を確立した。また、マウスを用いた腹膜石灰化モデルを確立した。さらに、これらの培養系およびマウスモデルにおいて、マグネシウム負荷によって腹膜石灰化を抑制できることを明らかにした。
実験の最終年度においては、培養細胞系におけるTRPM6/7の遺伝子をノックダウンして、マグネシウムの石灰化抑制効果が減弱するかどうか、TRPM6のノックアウトマウスを購入して、マグネシウムトランスポーターを介した腹膜石灰化抑制効果があるかどうかを確認することを目指す。また、合成したCPPの組成をDirect Light Scattering (DLS)の手法を用いて明らかにするとともに、合成CPPの腹膜石灰化への影響を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公募研究が2年終了した2024年5月時点において、応募当初に計画していた研究計画の約70%を完遂した。研究成果の一部は、Scientific Reportsに掲載することができた(Aihara S et al. Sci Rep 2023;13(1):16340)。研究全体としてもおおむね順調に進んでいる。 研究2年目では培養中皮細胞および培養線維芽細胞を用いた腹膜石灰化の系において、カルシウムおよびリンの負荷は腹膜石灰化を促進し、マグネシウムの投与は腹膜石灰化を抑制することを示した。さらに、マグネシウムはリンおよびカルシウム負荷によって誘導された骨芽細胞様細胞への形質変化を抑制した。さらにアポトーシスなどの細胞死も抑制することが明らかになった。 2年目においてマウス腹膜石灰化モデルを確立し、リポポリサッカライド(LPS)の腹腔内投与、リン酸カルシウム溶液の腹腔内投与、そしてアデニン腎症による慢性腎臓病の負荷をすべて組み合わせることによって、臓側腹膜及び壁側腹膜に定量可能な石灰化を誘導できることを確認した。重要なことに、このマウス腹膜石灰化モデルにおいて、マグネシウムの腹腔内投与は腹膜石灰化を抑制できることを、単位重量あたりの腹膜中のカルシウム含量および小動物用腹部CTで明らかにした。 さらに、マウスから摘出した壁側腹膜を用いた培養実験系を確立し、カルシウムおよびリンの過剰負荷によって誘導した摘出腹膜の石灰化が、マグネシウムの投与によって抑制できることを実証した。 一方で、CPPの合成がやや計画通りに進んでいない。我々が現在合成したCPPには腹膜構成細胞に石灰化を誘導する能力が低いことが明らかになっている。合成CPPの改良が次年度の課題と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、in vitroの系で合成したCPPをDirect Light Scattering (DLS)を用いて解析し、合成CPPが真にカルシウムとリンを含むかどうか、その組成を明らかにする。また、合成CPPの質を上げることによって、合成CPPによる腹膜石灰化誘導をin vitroそしてex vivoの系において実現する。CPPの合成がうまくいかない理由は、CPPの合成に使用するfetuin-Aの質が悪い可能性を考えており、ヒトあるいは動物の血清を用いて合成CPPを作成する手法を取り入れる。この方法によって石灰化誘導能を有する合成CPPの確立を目指す。さらに、腹膜石灰化誘導能力を有する合成CPPを使用して、合成CPPによる腹膜構成細胞の直接障害が細胞外マトリックスのハイドロキシアパタイト沈着を惹起しうるのかどうかも解明したい。そして、合成CPPの培養細胞の形質変化、細胞死への影響についても検証する。
また、マグネシウムによる腹膜石灰化抑制機構には、TRPM6/7を介して細胞内に取り込まれるマグネシウムが重要なのかどうか、この点を明らかにするために、培養細胞のTRPM6/7のノックダウンを行い、石灰化抑制効果に変化が起こるかどうかを検証する。さらに、マグネシウムによる腹膜石灰化抑制効果にTRPM6/7が関与することが培養細胞で実証できれば、TRPM6/7のノックアウトを用いて腹膜石灰化マウスモデルとかけ合わせ、in vivoの検証実験につなげる計画である。
以上の一連の研究をすすめることによって、腹膜透析患者で歴年の課題となっている腹膜石灰化が起こる分子メカニズムを解明し、その予防策を明らかにすることによって、腹膜透析がより普遍的な腎代替療法として普及することに貢献したい。
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