Project/Area Number |
22K08387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 健造 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80291425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 大介 琉球大学, 医学部, 特命講師 (40551958)
大嶺 卓也 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50880738)
山口 さやか 琉球大学, 病院, 講師 (70571397)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 創傷治癒 / 齧歯類 / 霊長類 / 表皮付属器 / 進化 / 遺伝子発現 / 哺乳類 / 創収縮 / 再上皮化 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では先行するヒトと霊長類の治癒速度の観察を基にした、ヒトの創傷治癒の特異性(遅さ)の謎を探求する。これまでにケニアでの霊長類実験を含め、ヒト以外の哺乳類での皮膚の治癒速度は種間を超え一定しているが、ヒトのみが著しく劣る事を見いだした。本課題では齧歯類のみならず霊長類を含めた創傷治癒機序のヒトとの違いを、組織トランスクリプトーム解析やシングルセル発現解析で治癒機転に関わる担当細胞の種間の違いを決定したい。創傷治癒の劣ったヒトが、何故、他の類人猿を凌駕して世界中に拡大しえたのか、創傷治癒の能力を喪失した代償にヒトが獲得した、進化上の資質や能力は存在するのかの謎に挑みたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ヒトと霊長類の治癒速度の観察を基にし、ヒトの創傷治癒の遅さの謎を探求する研究提案である。ヒトの外傷や熱傷、医療上の切除痕等の皮膚の創傷は、縫合、縫縮、植皮などにより丁寧に治癒させる。一方、ヒト以外の動物はそのような施術を受けることはないが、野生状態にせよ、保護下の実験動物にせよ、ヒトの数倍の治癒スピードと広範な治癒範囲で速やかに治癒に至る。 本研究課題では齧歯類のみならず大型動物を含めた創傷治癒機序のヒトとの種間の違いを解明したい。創傷治癒の劣ったヒトが、何故、他の類人猿を凌駕して世界中に拡大しえたのか、創傷治癒の能力を喪失した代償にヒトが獲得した、進化上の資質や能力は存在するのかを、解決すべき課題である。 昨年度は、これまで観察したヒト皮膚癌患者の切除創、皮膚移植前の治癒スピードを数十人で計測、ヒト以外の類人猿としてアフリカフィールドでの自然傷害受傷のチンパンジー、その他、人工的な介入実験として、霊長類としてケニア国立霊長類研究所での、サイクスモンキー、ベルベットモンキー、アヌビスヒヒ、齧歯類のラット、マウス、家畜豚などに数センチ大の皮膚潰瘍を形成し、数日単位で治癒速度を観察した。この中で齧歯類、ブタ、霊長類3種はほぼ同様の治癒速度を有するのに対し、チンパンジーが若干、ヒトが大幅に治癒速度が遅延していることを観察計測により実証した。この差異より、次年度は哺乳類の進化において、体毛毛包の濃度、汗腺の確立との相関、予想されるengrailed-1ホメオ遺伝子の発現解析などを予定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物とヒトにおける多数検体での実際の創傷治癒スピードの詳細な統計解析を終了し、論分化を進めている。当所の想定以上に細かな違いが観察された。特に毛包の有無による若干の創傷治癒スピードへの影響も露呈できた。当所の計画通り、齧歯類における創部のRNA抽出を進め、シングルセル解析用の新たな検体の準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス、ラットにおける創傷治癒過程の組織RNAの経時的採取をおこなう。各動物の背部に2-3cm大の皮膚欠損創を作成し、治癒速度が安定した傷後2-3日を中心に各6検体の採取を行い平均化する。ヒトと実験動物としての霊長類や齧歯類等の皮膚創傷過程における、遺伝子発現の相違(組織トランスクリプトーム解析)を、まず組織よりRNAを抽出し解析に供する。この実験動物での創傷皮膚のRNAよりトランスクリプトーム解析をさらに進め、ヒトの創部の残余皮膚の採取の機会を待つ。それぞれの組織よりRNAを採取し、一般的なトランスクリプトーム解析に使用するとともに、シングルセルトランスクリプトーム解析を行う準備をすすめる。
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