ケラチン遺伝子変異の違いによる単純型表皮水疱症の病態への影響と個別化医療の開発
Project/Area Number |
22K08398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岸部 麻里 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90431410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 表皮水疱症 / ケラチン線維 / 細胞骨格 / ミトコンドリア / 個別化医療 |
Outline of Research at the Start |
ケラチン線維は組織の構造と強度の維持に関わる。単純型表皮水疱症はケラチン遺伝子の変異により皮膚の機械的水疱や潰瘍を生じる遺伝性疾患である。過去の報告からケラチンの異常がミトコンドリアの分布・機能・代謝の異常を起こし、自然免疫異常や創傷治癒遅延を引き起こす可能性を考えた。変異ケラチン線維を発現する表皮細胞株を用いて、ケラチン線維の変異の違いが①ミトコンドリア機能およびオートファジーの差、②炎症反応や創傷治癒に与える影響を明らかにする。これにより、ケラチン線維の未知の細胞生物学的機能を明らかにし、変異に応じた最適な治療法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
表皮水疱症(EBS)でみられるケラチン(K)14変異の違いが、表皮細胞の恒常性に異なった影響を与えるとの仮説を立てた。 そこで、K14野生型(WT)とEBSでみられる2つの変異(R125C、G364RFr*118)をドキシサイクリン(Dox)誘導性に発現するHaCaT細胞株を作成し、この3つの細胞株を用いて、細胞質内の変異K14異常凝集が細胞骨格構造に与える影響について比較検討を行った。蛍光染色で観察したところ、K14細胞質内凝集体の割合は、WT8.3±5.5%、R125C 38.0±16.6%、G364RFr*118 77.3±6.3%であり、G364RFr*118で有意に最も高度であることが分かった(P<0.001)。また、K14とペアを形成するK5の凝集も高度であった。さらに、K14異常凝集体によって、β-チュブリンの分布に偏りを生じており、K14が結合するデスモソーム構成蛋白デスモグレインの発現が弱く、分布に異常を生じることが分かった。以上から、K14 G364RFr*118は、K14異常凝集体を形成することによって、ホットスポット変異R125Cよりも高度な細胞骨格の脆弱性を引き起こす可能性があると考えた。 ミトコンドリアは細胞質内に存在する細胞質内小器官で、エネルギー生成やアポトーシスに関与する。表皮ケラチノサイトにおいて、ミトコンドリアはK14およびチュブリンを足場に細胞質内を移動し機能することが報告されている。そこで、K14変異の違いが、ミトコンドリアの分布に異なった影響を及ぼすかミトコンドリア染色行い、比較検討した。その結果、ミトコンドリアはWTでは核周囲に有意に分布するが、R125C、G364RFr*118では核周囲の分布が損なわれ、細胞質辺縁で分布が増加することが確認された。K14変異はミトコンドリアの細胞質内の局在に影響することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた計画は、ほぼ実施することができた。さらに2023年度に予定している研究計画を速やかに実行するために、一部の研究に関して予備実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に予定している研究計画を進める。K14変異によるミトコンドリア分布の障害がミトコンドリアの機能に影響するか、試薬を用いてミトコンドリアの酸化を評価する。さらに、K14変異により生じた細胞質内凝集体がオートファジーに影響するか解析を行う。当初、K14変異がミトコンドリアの分布異常を生じることで、オートファジーやマイトファジーが損なわれている可能性を考えていた。しかし、予備実験では、オートファジーに変化を与えない可能性が浮上してきた。そこで、オートファジーを誘導することによって、むしろK14異常凝集体、特にG364RFr*118で生じる大きな凝集体、を分解し、細胞骨格の脆弱性を解消することができるとの仮説を立てた。この点に関しても、解析を進め、K14変異の差による病態形成の違いとそれに対する治療戦略の違いを明らかにしたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)