Project/Area Number |
22K08405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 健一 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00711798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40518297)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | S100A8/A9 / アトピー性皮膚炎 / 乾癬 / MCAM / TPL2 |
Outline of Research at the Start |
S100A8/A9タンパク質は特定の受容体群に作用することで、がん転移のみならず乾癬やアトピー性皮膚炎の炎症増悪を誘導する重要起始因子として機能する。しかし、これら炎症病態の増悪にS100A8/A9受容体群のどの受容体が主役として働くかは未だ明となっていない。代表者グループは動物病態モデルに独自開発したS100A8/A9標的阻害製剤を使用した予備検討から、炎症病態の増悪にはMCAM受容体が重要であることを見出した。本計画では、S100A8/A9-MCAMの乾癬、アトピー性皮膚炎における役割を明らかにし、上記製剤のこれら疾患における炎症症状緩和への効果発現の根拠を獲得するための基礎研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者グループがこれまでに行ってきたS100A8/A9を主体とするがん研究から着想したものである。我々はこれまでにがん炎症が誘導されるとS100A8/A9が大量に分泌され、このS100A8/A9受容体を持つ遠隔のがん細胞が引き寄せられて転移が成立する機構を解明してきている。また、この研究の一連の中で開発したS100A8/A9標的阻害製剤ががん細胞の転移抑制に絶大な効果を示したことから、他の炎症が関わる疾患の制御にも有効であるかという疑問を持った。そこで、我々の以前の研究で、S100A8/A9の分泌が炎症性サイトカインの過剰産生を誘導して表皮肥厚に繋がる重要な鍵となることを解明している乾癬とアトピー性皮膚炎に対し、治療効果とその効果発言の根拠を解明することを目的に解析を行っている。 これまでの解析により、ジニトロクロロベンゼン(DNCB)塗布によるアトピー発症モデルマウスを安定的に誘導する方法を確立し、S100A8/A9抗体を投与することで表皮肥厚が軽減される結果を得ている。前回、組織に集積してくる免疫細胞をFACSで解析したが細胞数が少なく有意な差が得られなかったため、組織切片を作成して免疫染色による解析を行なった。その結果、組織に集積する好中球の数に変化が見られ、組織中のS100A8/A9や炎症性サイトカインの発現もS100A8/A9抗体投与によって抑制されていた。 乾癬発症モデルでの検討では、イミキモド塗布による発症モデルを用いてS100A8/A9抗体とMCAM-Fcの効果を検討した。その結果、FACS解析による免疫細胞の組織への集積の評価では多少の変動が見られるものの、表皮肥厚の軽減は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アトピーモデルにおいては、前回までの報告でモデルマウスを作成しS100A8/A9抗体を投与することで表皮肥厚を抑制する結果を得ていたが、集積してくる細胞の解析が不十分でその差を見ることが出来ていなかった。この理由として、FACSを行うためにサンプル調整する際に組織から回収できる細胞数が少なく、解析を行うための十分な量が足りなかった事が考えられる。そこで解析方法をFACSから免疫染色を用いた方法に変更して比較を行なった。その結果、抗体を投与した軍で組織に集積している好中球の数に有意な減少が見られ、IL23やIL-36といった炎症サイトカインの発現も抑制されており、これらの結果はヒト化抗体を用いても同様の結果を得る事ができた。また、S100A8/A9抗体を投与したマウス組織でRNAseqを行なった結果からケラチノサイトの分化も抑制される結果も得ている。これら結果は他の研究結果とまとめて論文として投稿中である。 乾癬モデルの解析の方では、イミキモド塗布によって誘導される表皮の肥厚に対してS100A8/A9抗体、MCAM-Fcのどちらの投与においても抑制する効果が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにS100A8/A9抗体投与によってDNCBを用いたアトピーモデルマウスの表皮肥厚等の症状を緩和させる効果を得ているが、IL-23の誘導メカニズム等の詳細については検証できていない。そこで今後はIL-23誘導メカニズムの解析を進めたいと考えている。これまでの結果からS100A8/A9がケラチノサイト、好中球、マクロファージに作用する事が明らかとなっていることから、これらの細胞をそれぞれ培養し、それぞれの細胞で発現しているS100A8/A9の受容体や下流シグナルを阻害することで検証を進めいていきたい。
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