Project/Area Number |
22K08407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
岡田 随象 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70727411)
佐野 栄紀 高知大学, 医学部, 特任教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 尋常性乾癬 / メタボリック症候群 / PI3K/Aktシグナル / インスリン受容体 / 乾癬 |
Outline of Research at the Start |
メタボリック症候群を合併した乾癬患者では、インスリン受容体が活性化していることが確認されており、インスリン受容体の下流に、PI3K/Akt経路がある。本研究においては、インスリン受容体の活性化を介するPI3K/Akt経路がメタボリック症候群と乾癬発症との橋渡しをするシグナルとして作用するのではないか、という作業仮説のもとに、乾癬モデルマウスの乾癬様病変に対するPI3K阻害薬の抑制効果を検討し、インスリン受容体の下流で活性化するPI3K/Akt経路が乾癬誘導に関与することをin vivo, in vitro 実験で検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
乾癬は、表皮角化細胞の増殖亢進による表皮肥厚を伴う角化異常および免疫破綻により特徴づけられる慢性の炎症性皮膚疾患である。乾癬の病態は、複数の感受性遺伝子を背景に、環境因子、代謝因子、免疫変調など複合的な要因が関与し発症する病態であり、表皮・免疫間の病的クロストークによって形成される。乾癬はメタボリック症候群と合併しやすいことが知られている。2型糖尿病の原因であるインスリン抵抗性は高血圧、肥満などにも存在し、メタボリック症候群においては、インスリン受容体を介する PI3K/Akt経路の活性化異常が示されている。PI3K/Akt経路は、各種成長因子や癌遺伝子下で活性化し、細胞の増殖、分化、アポトーシス、血管新生、メタボリズム、タンパク合成など多くの生物学的活性に関与する。PI3K/Akt経路は、表皮細胞の増殖分化に関与し、乾癬発症に関与することが報告された。本研究においては、インスリン受容体の活性化を介する PI3K/Akt経路がメタボリック症候群と乾癬発症との橋渡しをするシグナルとして作用するのではないか、という作業仮説のもとに、乾癬モデルマウスの乾癬様病変に対するPI3K阻害薬の抑制効果を検討し、インスリン受容体の下流で活性化するPI3K/Akt経路が乾癬誘導に関与することをin vivo、in vitro実験で検討する。この研究によって、メタボリック症候群の視点からみた病態の新たな側面を解明できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)K5.Stat3C マウス耳介皮膚に、0.68nmol のTPA (12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)をDay0, Day3に塗布した後、Day4に乾癬様皮疹が誘導される。今回の実験では、Day0およびDay3に、PI3K阻害薬(30mg/kg)の腹腔内投与を行った。耳介皮膚の厚さのΔ値は、コントロール群が平均0.07mmであった一方、PI3K阻害薬投与群のΔ値は平均0.02mmであり、PI3K阻害薬は乾癬様病変の皮膚肥厚誘導を有意に抑制することが明らかになった。また、PI3K阻害薬の濃度を10mg/kg、30mg/kg投与群に分けて投与したところ、10mg/kg投与群と比較して、30mg/kg投与群では、より皮膚肥厚が抑制された。また、K5.Stat3Cマウスの乾癬様病変における乾癬関連遺伝子(IL-12/23p40, IL-17A, IL-17F, IL-22, BD3,S100A8, など)の発現は、PI3K阻害薬投与群では、コントロール群と比較して有意に低下していた。以上のことより、P13K阻害薬は、乾癬の治療薬となりうる可能性が示された。
2)乾癬様表皮細胞に変化させた培養表皮細胞に対するインスリン添加実験 培養表皮細胞にTNF-α, IL-17A, IFN-γを共刺激し乾癬様表皮に変化させ、PI3K/Aktシグナルのリガンドであるインスリン添加有無によりIL-17C,β-defensin 2, IL-36γなど乾癬関連遺伝子の発現を検討したが、両群間に差異はみられなかった。すなわち、表皮角化細胞ではなく炎症・免疫細胞がPI3Kの標的となる可能性を考えてさらに詳細な解析をすすめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)乾癬におけるPI3K/Art経路の作用メカニズムの検討 培養表皮細胞に、TNF-α、IL-17A、IFN-γを共刺激し、乾癬様表皮細胞を作成し、PI3K阻害薬を投与することによって、正常表皮細胞に戻るか否かを検討する。 さらに、PI3K阻害薬のターゲットが、表皮細胞、リンパ球、単球、樹状細胞のいずれであるかを、それぞれの細胞を採取し検討する。 2)高脂肪食により肥満を呈するC57BL/6Jマウス(DIOマウス)、過食により肥満し2型糖尿病を発症するKKマウスにイミキモド外用し乾癬病変の誘導の程度コントロール群とを比較する。さらに、PI3K阻害薬投与時の乾癬抑制効果をコントロールマウスと比較する。
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