Project/Area Number |
22K08442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
加納 塁 帝京大学, 付置研究所, 教授 (00318388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 有太子 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (00459091)
原田 和俊 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20324197)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 薬剤耐性皮膚糸状菌 / テルビナフィン / イトラコナゾール / デフィニティブセラピー |
Outline of Research at the Start |
国内で高病原性・薬剤耐性皮膚糸状菌感染が蔓延しつつあるため、分子生物学的迅速検出に基づく、デフィニティブセラピーを検討し、治療効果の向上を図る。複数医院で受診した白癬患者から皮膚糸状菌を分離し、我々が開発した耐性スクリーニング培養および耐性に関する遺伝子変異を検出し、その情報をもとに治療早期にデフィニティブセラピーへと切り替える。治療結果から効果的な高病原性・薬剤耐性皮膚糸状菌症への治療対策を策定し、蔓延防止や治療期間短縮による患者への負担軽減が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
テルビナフィン(TRBF)耐性皮膚糸状菌は世界的に分離されており、白癬治療を困難にさせている原因の一つと考えられる。そのため薬剤感受性試験を実施して耐性が示唆される場合は、アゾール系などの抗真菌剤治療へと変更が必要である。今回、国内で分離されたTRBF耐性皮膚糸状菌対して、イトラコナゾール(ITCZ)、エフィナコナゾール(EFCZ)、ラブコナゾール(RVCZ)、ルリコナゾール(LUCZ)に対する薬剤感受性試験を行った。被験株は、人の白癬由来のTrichophyton rubrum (8株)、T. indotineae (2株)および猫の皮膚糸状菌症から分離したMicrosporum canis (1株)で、CLSI M38法を準拠して上記アゾール系抗真菌剤の感受性試験を実施した。 感受性結果は、T. rubrumおよびT. indotineaeの各1株でアゾール系抗真菌薬に対しても低感受性を示したが、他は感受性を示した。TRBF耐性皮膚糸状菌の多くは、アゾール系抗真菌剤に感受性を示すが、中には低感受性を示す株が存在することが確認された。 次に国内で分離されたITCZ耐性皮膚糸状菌に対して、TRBF、EFCZ、RVCZ、LUCZに対する薬剤感受性試験を行った。被験株は、2021および2022年に人の足白癬(6例)および体部白癬(1例)から分離したT. rubrum (6株)およびT. interdigitale (1株)で、CLSI M38法を準拠して上記抗真菌剤への感受性試験を実施した。試験結果は、全株で上記アゾールおよびTRBFに対して感受性(MICs: <0.03 μg/ml)を示した。以上の結果から、ITCZ耐性皮膚糸状菌は、他のアゾール系抗真菌剤およびTRBFに感受性を示した。ITCZ治療で反応が悪い場合は、抗菌活性が強い薬剤へ変更する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、それまでの疫学調査で分離された耐性株を用いて、研究計画で記載した耐性白癬へのデフィニティブセラピーを確立するために、治療に選択すべき感受性薬剤の傾向を調べた。その結果、1)テルビナフィン耐性株には、アゾール系薬剤を選択する。2)イトラコナゾール耐性株に対しては、テルビナフィンまたは抗菌活性の強いアゾールに変更する。3)ごくまれに多剤耐性株が存在するが、その場合は薬剤感受性試験結果をもとに感受性のある抗真菌薬(保険適用外もある)に変更して治療する。以上、デフィニティブセラピーの方針を確立することができた。 次に、耐性株の迅速検出法を確立するために、アゾール耐性Trichophyton indotineaeのCYP51BのタンデムリピートをLA-PCR法で検出することが可能となった。この手法によって薬剤感受性試験よりも迅速にアゾール耐性株を検出することができるようになった。アゾール耐性T. indotineae感染症は、世界的に拡散しており、治療・予防法重要視されていることから、得られた成果は有効であると期待される。 一方、皮膚糸状菌のアゾール排出ポンプ(MDR3)を阻害させるミルベマイシンをイトラコナゾール耐性株に作用させることで、イトラコナゾールへの感受性を復帰させることを確認した。このことは、ミルベマイシンを併用することで、アゾール耐性皮膚糸状菌症の新たな治療法として期待できることを発見した。 以上、得られた成果は2023年度に学術論文として7報報告し、さらにInternational Societies for Investigative Dermatology (ISID)および日本医真菌学会学術集会など複数学会で発表したことから、本研究を当初計画以上に進展させていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も国内の抗真菌薬耐性白癬の疫学調査を実施し、耐性菌種の同定と株数、耐性株数の増加、患者状況なども調査する。最終年度であることから、過去のデータも含めて、国内の耐性動向についてまとめる。これらの経年的な疫学調査は、海外でも実施されておらず、患者数、分離株数、耐性株数、分子生物学的解析などビッグデータとなり、非常に多くの成果が得られると考えている。抗真菌薬耐性感染に対する、デフィニティブセラピーを確立に貢献するはずである。 次に、薬剤耐性機構をさらに解明するため、TRBF耐性株およびアゾール耐性株を作出し、野生株とのゲノム解析やプロテオーム解析を行う。耐性機構の網羅的な遺伝子解析は、国内外とも検討されておらず、我々の研究が先駆けとなるはずである。得られた成果はビッグデータとなり、多くの成果をもたらすと考えられる。 また実施したデフィニティブセラピーの有効性について統計解析を行う。得られた結果は、学術ジャーナルおよび日本皮膚科学会、日本医真菌学会で発表し、国内ガイドラインへ追加の働きかけを行う。このように国民へも広く利益享受が得られるように学術的な広報活動を行う予定である。 このように当初の研究計画に従って、最終年度の研究を実施する予定である。
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