Project/Area Number |
22K08480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
糸永 英弘 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (70530442)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 骨髄性腫瘍 / タンパク質アルギニンメチル化酵素 / DNA損傷修復 / DNA損傷修復機構 / 急性骨髄性白血病 / 骨髄異形成症候群 |
Outline of Research at the Start |
骨髄性腫瘍(MNs)は、造血幹細胞レベルでゲノム異常とエピゲノム異常の蓄積を基本的な病態とする。近年、MNsの病態形成にエピゲノム修飾関連因子であるタンパク質アルギニンメチル化酵素(PRMTs)が重要であることが明らかにされ、治療標的として注目されている。DNA損傷修復機構の活性化がMNsの重要な分子病態であることを踏まえて、申請者は「PRMTsによるDNA損傷修復関連タンパク質アルギニン残基のメチル化がDNA損傷修復の活性化を起こしている」と仮説を立てた。本研究では、MNsにおいてPRMTsがDNA損傷修復機構を制御していることを明らかにし、新規治療戦略の開発に繋げることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はタンパク質アルギニンメチル化酵素の1つであるCARM1は骨髄性腫瘍の発症および薬剤抵抗性に関与していることが報告されているが、その機序については明らかになっていない。研究代表者は、骨髄性腫瘍におけるCARM1のDNA損傷修復機構への作用に注目し、抗がん剤としてのCARM1阻害剤の開発を進めることを目的としている。研究代表者は、先行研究としてCARM1と相互作用を有するタンパク質の網羅的な検索を行った。この網羅的な解析により、CARM1はDNA損傷修復機構の中心的な役割を有する複数の因子と相互作用を有することを明らかにした。この解析結果の一部は2022年に米国血液学会で報告した。この網羅的解析の結果については論文投稿を行い、査読者からのコメントに対して追加実験を行っている。 そして、CARM1とDNA損傷修復機構の解析については細胞株を用いて更に詳細な解析を進めている。この研究課題は米国の研究室との共同で行っており、Sylvester Comprehensive Cancer Center, University of MiamiのStephen Nimer教授からの試薬の提供を受けた。また、骨髄性腫瘍の患者検体での解析を進めるべく同センターのJustin Taylor助教を新たに共同研究者に加えて、解析を進めている。 このように2023年度は先行研究の論文発表を進め、本研究に関しては患者検体での解析を行っている。研究の進捗状況としては概ね順調に進展している。2024年度に研究課題を進めるための土台は十分にできている。研究成果をまとめ、学会・論文発表の準備を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主軸となる、CARM1と相関関係にある網羅的なタンパク質解析を質量分析計での解析を進めた。申請時にはK562細胞のみでの解析であったが、現在までに4種の細胞株(HEL、Kasumi、SKNO-1、MOLM13)を追加して解析を実施した。このうち、Kasumi、SKNO-1、MOLM13細胞ではKu80およびKu70ともにCARM1と有意な相関関係を認めた。これは本研究において重要な成果であり、仮説を立証する大きな進捗といえる。また、Western blotting法によって患者6検体におけるCARM1発現を評価した。急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄増殖性腫瘍のいずれの症例においてもCARM1の高発現を認めた。これは、細胞株で認められたCARM1とDNA損傷修復に関わる因子の関係が、骨髄性腫瘍の患者検体でも認められる可能性を示唆するものである。 このように、細胞株および患者検体での解析を行う基盤が整うとともに、その解析を進めている。総じて研究の進捗としては順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度に取り組む推進策として、質量分析計によってKu80/Ku70のメチル化部位の同定を進めることである。この点は長崎大学医学部生体高分子解析支援部門・増本博司講師と共に進めていく。また、Nimer教授から供与されるCARM1阻害剤の効果を細胞株で検証するとともに、DNA修復機構への影響を評価する。Nimer教授の研究室ではマウスモデルにおいてCARM1阻害剤の有効性を見出している。本研究ではそれを参考データとして用い、細胞株での検証を進めていく。 また、2023年度に追加した質量分析計による網羅的なタンパク質解析の結果を中心として、学会等で発表することを検討している。発表を通じて得られた他の研究者からの意見や情報交換を踏まえて、研究の方向性の修正などを行っていく。 患者検体の解析として、これまでにWestern blotting法によるタンパク質の発現解析を行っている。多くの検体を解析するためにCARM1発現量について骨髄標本を用いて免疫組織染色法やフローサイトメトリー法で評価できるかを検討する。これらが可能になれば患者検体での評価が容易になり、症例数の追加を見込める。
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