ユビキチン化による蛋白質翻訳後修飾を介したAML発症・悪性化機序の解明
Project/Area Number |
22K08492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
角南 義孝 東京医科大学, 医学部, 講師(特任) (50732864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / E3ユビキチンリガーゼ / プロテアソーム / 蛋白質分解 / ユビキチン修飾 / Cop1 / Trib1 / 好中球分化 |
Outline of Research at the Start |
ユビキチン修飾系は多くの生命現象を制御し、その異常はがんの原因となるが、急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia: AML)における役割はよく知られていない。本研究では、E3ユビキチンリガーゼCop1に着目した。まず、Cop1標的蛋白質や下流のシグナル経路を同定する。次に造血細胞特異的Cop1ノックアウトマウスを解析し、Cop1の正常造血における役割を解明する。最後に、ヒトAMLにおいてもCOP1による翻訳後修飾が悪性化に寄与していることを明らかにする。以上から、AMLにおけるCop1の役割を解き明かし、AML発症・悪性化の分子基盤を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
私の所属研究室は、急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia; AML)原因遺伝子として、偽キナーゼ蛋白質をコードするTrib1を同定し、その機序としてMEK1/ERK1経路の活性化と、E3ユビキチンリガーゼCop1を介したC/EBPα分解の2つのメカニズムを報告している。そこでCop1のAML悪性化における役割を明らかにする目的で、Cop1 flox/Cre-ERT2マウスを作成し、このマウスの骨髄細胞にTrib1遺伝子をはじめとする様々なAML遺伝子を導入することで、AML細胞株を樹立した。Trib1を導入した細胞 (FT1CL)に4-OH-tamoxifen (4-OHT)を添加し、Cop1をノックアウト(KO)すると、細胞増殖が著しく抑制され、成熟好中球へ分化したが、Trib1以外のAML遺伝子を導入したAML細胞株においてはこのような表現系は観察されなかった。以上より、Cop1はTrib1依存的にAMLを悪性化していることが示唆された。 C/EBPα p42アイソフォームはCop1の基質として報告されているが、FT1CL細胞において、Cop1をKOすることで、C/EBPα p42の発現が一過性に回復することを示している。さらにFT1CL細胞においてC/EBPαをノックダウンすると、Cop1 KOによる細胞増殖抑制、好中球分化が阻害され、このC/EBPαノックダウンFT1CL細胞にC/EBPα p42アイソフォームを過剰発現させることで、細胞増殖抑制阻害が部分的に解除されることを示した。C/EBPα p42はAMLにおける強力ながん抑制因子として知られており、以上の結果はTrib1/Cop1経路を介したAML悪性化において、C/EBPα p42が極めて重要な役割を担っていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Cop1コンディショナルノックアウトマウス由来のTrib1発現AML細胞株を樹立し、Cop1を介したC/EBPα p42の分解がTrib1関連AMLにおいて極めて重要であるという結果を得ることができた。また予定通りCop1 KO前後のFT1CL細胞を用いて、RNA-seqを実施し、Cop1 KOにより好中球分化マーカーの発現が亢進し、細胞増殖や細胞周期に関わるパスウェイに変化が起こることを見出している。 正常造血におけるCop1の役割を明らかにする目的で、Cop1 floxマウスを造血細胞特異的なVav1-Creマウスと交配させたが、このマウスも安定して供給できるようになっており、今後、骨髄細胞を中心に解析を進められると考えている。 以上より、E3ユビキチンリガーゼのAML発症・悪性化における役割の解明に向けて、着実に前進していると考え、本年度の進捗状況としてはおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、複数のヒトAML細胞株を用いて、COP1ノックダウン実験を実施し、ヒトAMLにおけるCOP1の役割の解明を目指す。 正常造血については、Cop1 flox/Vav1-Creマウスの骨髄細胞の解析を行う。すでに予備実験で、Cop1KOマウスの骨髄中で、好中球の割合が増加することを見出しているが、造血幹細胞から各リニエージにおける変化や異常がないかをFACSを用いて調べる予定である。さらにCop1 WTマウス、およびKOマウス骨髄細胞を用いて、シングルセルRNA-seqを行い、Cop1 KOによる骨髄細胞のグローバルな変化を捉えたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Secreted mutant calreticulins as rogue cytokines in myeloproliferative neoplasms2023
Author(s)
Pecquet C, Papadopoulos N, Balligand T, Nivarthi H, Hug E, Xu E, Gisslinger H, Gisslinger B, Rumi E, Pietra D, Cavalloni C, Arcaini L, Cazzola M, Komatsu N, Kihara Y, Sunami Y, Edahiro Y, Araki M, Vainchenker W, Kralovics R, Constantinescu SN. et al.
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Journal Title
Blood
Volume: 141
Issue: 8
Pages: 917-929
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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