特発性多中心性キャッスルマン病の病型をクラスタリングする分子基盤研究
Project/Area Number |
22K08524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 純 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90325639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30821665)
住吉 玲美 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70859363)
古賀 智裕 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90537284)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | iMCD-TAFRO / iMCD-NOS / iMCD-IPL / TAFRO / シングルセルRNAシーケンス(scRNAseq) / イムノフェノタイピング / プロテオミクス / シングルセルRNAシーケンス |
Outline of Research at the Start |
希少炎症性疾患の特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)は厚労科研難治性疾患政策研究事業が策定した“iMCDの診断基準”で診断されるが、IL-6阻害剤への反応性の違いなど病態にheterogeneityがあり、更なるクラスタリングが希求されている。研究代表者は全国のiMCDの臨床情報・検体を集積するネットワークを構築し、病態の多様性を細胞集団やタンパク質発現などで実証した。本研究では手法をシングルセルRNAシーケンス、プロテオミクス、コンピュータサイエンスによるクラスタリング解析に進化させ、iMCDの分子間ならびに細胞間相互作用を解明し、iMCDの精密医療構築に向けての分子基盤形成を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
臨床的には発症(受診)から24ヶ月の情報が追跡可能であった214例の情報を集積し、治療反応性を疾患活動性(CHAPスコア:CRP、Hb、Alb、P.S.から構成)の推移で評価した:治療開始24ヶ月後のCHAPスコアが50%以上改善、70%以上改善、2点以上改善の3指標で2群間比較すると、3指標の全てで、24ヶ月以内のTCZ(トシリズマブ IL-6阻害薬)の開始が改善に抽出された。 末梢血液細胞のシングルセルRNAシーケンス(scRNAseq)を進め、以下の結果を得た:特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)患者群と健常者群から採取した末梢血単核球細胞(PBMC)についてscRNAseqを実施し、病態に関わる特定の遺伝子の発現変動を明らかにした。そこでは、iMCD-IPL/NOS(TAFRO型ではないiMCD)と比較してiMCD-TAFRO(TAFRO型のiMCD)とTAFRO症候群におけるVEGFA VEGFR2の発現増加やTh17細胞の分化亢進が、これらの疾患の病態悪化に関与していることが示唆された。TH17細胞はIL-17を産生する。IL-17は血管透過性を高めることが知られており、その結果、体液が血管外に漏れ出してTAFRO症候群に特徴的な体液貯留を引き起こす可能性が考えられる。したがって血小板減少、体液貯留、腎機能障害、臓器腫大という病態において、TH17細胞の分化ならびにVEGFシグナリングが重要であり、疾患ではなく病態に応じた治療の重要性を本研究で示すことができた。また、iMCDリンパ節細胞を免疫不全マウスに移入する実験系において、TpH様細胞から産生されるCXCL13が病態形成に必須であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床的には発症(受診)から24ヶ月の情報が追跡可能であった214例の情報を集積し、そこには臨床分類(iMCD疑い、iMCD-NOS、iMCD-TAFRO、TAFRO)とリンパ節病理分類(形質細胞型、過剰血管型、混合型)が示されていた。今年度は治療への反応性の観点で解析し、TCZの治療と疾患活動性を切り口に、一定の方向性を示すことが出来た。ウェット研究においては、未治療の特発性多中心性キャッスルマン病患者群のPBMCを用いて世界初のscRNA-seq解析を実施し、研究実績の概要に述べた、臨床像を説明出来る一定の成果を示すことが出来た。また、iMCDリンパ節細胞を免疫不全マウスに移入する実験系において、TpH(様)細胞- CXCL13-B細胞axisが病態形成に必須であることを示した。以上より、まだ不完全ではあるが、臨床分類-リンパ節病理分類-イムノフェノタイピング-プロテオミクスをリンクさせることにより、特発性多中心性キャッスルマン病の病型をシングルセルRNAシーケンス、イムノフェノタイピング、プロテオミクスで分類することが十分に可能であることが示されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床分類とリンパ節病理分類の新しい方向性があり、それへの対応を第一に行なったが、コホートにおいて、まだ不完全ではあるが、それらで適切に分類出来ることが明らかとなった。iMCD-TAFRO、iMCD-NOS、iMCD-IPL、TAFROは希少疾患であるが、新たな臨床分類と病理分類を組み合わせての評価が世界レベルで進行している。そこで、その潮流に則り患者群を分類し、その中での典型的なサブグループから、網羅的な(広範な)解析を実施し、臨床分類と病理分類の背景を形成するエンドタイプ(endotype)の評価を試みており、scRNAseqは非常に有益であることを世界で初めて示した。また、動物モデルの評価も可能であることも示した。一方で、リンパ節病理分類は専門家での再評価が必要であること、また、従来言われてきた(また、私たちもそう考えている)、mTORC、JAK、I型IFNなどのパスウェイとの関連性がまだ不明確であることも明らかとなり、次年度はこの点を強化して、分子基盤クラスタリングに基づいての考察と国際的なコンセンサスの形成を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)