Project/Area Number |
22K08550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中野 信浩 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30420839)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 食物アレルギー / 粘膜型マスト細胞 / MHC class II |
Outline of Research at the Start |
IgE依存性食物アレルギーの症状誘発には、炎症時に消化管粘膜に多数出現する粘膜型マスト細胞が重要な役割を担っている。本研究者らは、マウスの腸管粘膜型マスト細胞の表現型に多様性があることを見出したことから、本研究では、粘膜型マスト細胞に表現型の異なる複数のサブタイプが存在する理由を解明し、さらにそれぞれのサブタイプが食物アレルギーの病態形成においてどのような役割を担っているのか、食物アレルギーマウスモデルを用いて明らかにする。本研究により、食物アレルギーの治療薬や治療法開発に有用な知見が得られると考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
腸管粘膜に存在する粘膜型マスト細胞は、IgE依存性食物アレルギーの中心的なエフェクター細胞として知られている。しかしながら、腸管からマスト細胞を分離することが難しく、その詳細な機能については不明な点が多い。我々はこれまでに、食物アレルギーマウスモデルの解析から腸管マスト細胞の表現型に多様性があることを見出している。本研究では、腸管マスト細胞の表現型に多様性が生じる理由の解明、および異なる形質をもつマスト細胞が食物アレルギーの病態形成においてそれぞれどのように関わっているのかを解明することを目的としている。これらを明らかにすることで、食物アレルギー治療に有効な創薬標的が示されると考えている。 これまでの研究から、我々は食物アレルギーマウスモデルの小腸粘膜にMHC class II分子を発現する粘膜型マスト細胞が存在することを見出している。そこで、MHC class IIを発現する粘膜型マスト細胞がIgE依存性食物アレルギーの病態形成において果たす役割を解明するための研究を行った。本研究では、マスト細胞欠損マウスにMHC class II欠損マスト細胞または野生型マスト細胞を移入して、マスト細胞のみMHC class IIを欠損するマウスと野生型のマスト細胞をもつマウスを作製した。これらのマスト細胞再構成マウスを用いてIgE依存性食物アレルギーモデルを作製し、解析を行った。 MHC class II欠損マスト細胞をもつマウスでは野生型マスト細胞をもつマウスに比べ、食物アレルギー症状が減弱されていた。解析の結果、粘膜型マスト細胞はMHC class IIを介してTh2細胞に抗原を提示し、活性化されたTh2が産生するIL-4やIL-5がマスト細胞によるIL-9産生を増強させ、過剰なIL-9が粘膜型マスト細胞の増生を引き起こし、食物アレルギー症状を増悪させるメカニズムが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究において、本研究課題を遂行するための基盤となる腸管マスト細胞再構成マウスの効率的な作製方法を確立した。この腸管マスト細胞再構成マウスを用いて食物アレルギーモデルを作製し、MHC class II欠損マスト細胞をもつマウスでは野生型マスト細胞をもつマウスよりも食物アレルギー症状や小腸粘膜におけるマスト細胞の過形成が抑制されることを示した。 2023年度の研究では、MHC class II分子を発現する腸管粘膜型マスト細胞がIgE依存性食物アレルギーの病態の増悪をもたらす詳細なメカニズムを解析した。解析の結果、粘膜型マスト細胞はMHC class II分子を介してTh2細胞に抗原提示を行い、活性化されたTh2細胞が産生するTh2サイトカインがマスト細胞によるIL-9産生を増強させて粘膜型マスト細胞の過形成を引き起こす、という一連の機序が示された。 現在、これらの結果を取りまとめた論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2023年度までの研究で得られた結果を取りまとめた論文を投稿中である。本年度は、本論文に関して査読者から指摘された実験を行うことに注力し、無事受理されることを目指す。 また、腸管マスト細胞の表現型に多様性が生じる理由を解明する研究も併せて進めていく。2023年度までの研究により、マスト細胞欠損マウスを用いた食物アレルギーモデルにおいても粘膜型マスト細胞特異的プロテアーゼの発現が観察されること、また骨髄細胞以外の細胞からも粘膜型マスト細胞様の細胞を誘導できることなどを明らかにしている。そこで、腸管粘膜型マスト細胞には起源の異なる複数の細胞系列が存在する、という仮説を立て、これを検証していく。
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