Tef 遺伝子改変マウスを用いた関節リウマチ病態解析と創薬へのアプローチ
Project/Area Number |
22K08563
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柱本 照 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80346246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 幸祐 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (80452499)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 関節リウマチ / 時計遺伝子 / 時間生物学 |
Outline of Research at the Start |
「朝の関節のこわばり」や「夜間に上昇する血中サイトカイン分泌」に代表されるRA患者が示す病状の日内変動を手掛かりに私達がこれまで行ってきた研究は免疫学、時間生物学を軸に多領域を俯瞰して進展している。今回作成したTef遺伝子欠損マウスに誘導するモデル関節炎の検証により、関節炎の発症や増悪に関与する時計遺伝子や関連分子の絞り込みが、新たな創薬に繋がるものと期待される。また、Tefに起因するミトコンドリア依存性細胞死誘導、連動する種々の時計遺伝子群発現変化が関節炎増悪に与える影響を検証できるとすれば、RAの疾患に対する理解と病態制御の点においても極めて意義深いものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)時計遺伝子転写因子Tefの発現をRNA干渉により抑制した 関節リウマチ滑膜細胞(RA-FLS)をIL-6 /可溶性IL-6受容体(sIL-6R) (100ng/ml)、TNF-α(10ng/ml)で刺激した後、WST-8 法 により細胞増殖活性を検討した。その結果、Tef発現抑制によりIL-6/sIL-6R 、TNF‐α刺激下でRA-FLSの細胞増殖活性が有意に上昇することを確認した。 (2)野生型およびTef-/-マウス胚からマウス胎児線維芽細胞を単離し、WST-8法およびフォーカス形成法により細胞増殖活性を検討した。細胞増殖能の検証には、細胞培養液に含有するウシ血清を通常の10%から段階的に希釈して混和し、検討した。その結果、全ての血清濃度における細胞増殖活性がTef-/-細胞において亢進すること、また、10%血清含有下の通常条件で行った高密度細胞培養でのフォーカス形成能もTef-/- 細胞において上昇傾向を示すことがわかった。 (3)野生型およびTef-/-マウス脾臓からmRNAを抽出し、リアルタイムPCR法にてTNF-α、IL-6のmRNA発現量を比較した。その結果、TNF-αのmRNA発現量はTef-/-マウス脾臓において上昇傾向を示した。 (4)雌性Tef+/+マウスおよびTef+/-マウスに、定法に従ってコラーゲン誘発関節炎を誘導した。関節炎の消長を観察し関節炎スコアを評価するともに、関節炎誘導実験開始後6週間後(第42日)に採血した血清を用いて、TNF-α、IL-6/17、IFNγ、MMP3、RANKL、OPGをELISA法により測定した。その結果、関節炎スコア、各血清評価指標ともTef+/-マウスで増悪、あるいは上昇傾向であったものの、有意な差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回作成したTef遺伝子改変マウスはTNF-α産生過剰による不育症、即ち子宮内胎児死亡やTef転写によって影響を受けるプロラクチン産生抑制による育児放棄の表現型を持つことがわかった。このため、当初予定した関節炎誘導実験に必要なTef-/-マウスを準備することができず、Tef+/-マウスを用いて一連の関節炎実験を行った。したがって実績概要に記載した通りTef遺伝子の関節炎発症に及ぼす影響を十分に検証できていない。しかしながら、RNA干渉によりRA-FLSのTef発現を抑制した検証の結果、またTef-/-マウス胎児線維芽細胞を用いた種々の検証結果は、Tef欠損による細胞増殖能の亢進を示唆するものであり、RA病態の主座をなす滑膜細胞の増殖能亢進に対するTef遺伝子の関与を解明する糸口となる成果を得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロラクチン産生抑制の表現型に対応するため、雌性Tef-/-マウス妊娠確認後、適宜プロラクチン皮下注射投与を行い、Tef-/-マウスの繁殖をコントロールする。これによって実験遂行に必要なTef-/-マウスを確保し、当初予定した関節炎誘発実験を再度計画する。併せて、令和5年度以降はマウス胎児線維芽細胞を用いた細胞死抵抗性の表現型を検証する共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察、さらに野生型マウスとTef遺伝子改変マウスの脾細胞から得るmRNAを用いたRNAシーケンスを予定し、創薬標的候補分子の同定にもアプローチを開始する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)