Project/Area Number |
22K08586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
植松 崇之 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 室長補佐 (90414060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 新型コロナウイルス / 自然免疫 / 感染症 / シグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重篤化の一因として、宿主の自然免疫系の過剰な活性化が報告されている。これまでの研究により、インフルエンザ肺炎増悪化の責任因子の一つとして明らかにされた自然免疫受容体IgSFR2は、糖鎖依存的にウイルス由来タンパク質を認識することのみならず、肺における広範なウイルス受容体として機能する可能性が示唆されている。そこで、本研究ではIgSFR2の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)受容体としての機能を明らかにするとともに、げっ歯類SARS-CoV-2感染モデルにおけるIgSFR2リガンド投与の治療効果を検討することにより、COVID-19患者などに見られる重篤な肺炎を抑制できるか否かを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らの研究により、インフルエンザ肺炎増悪化の責任因子の一つとして同定された自然免疫活性化受容体であるIgSFR2は、糖鎖修飾依存的にウイルス由来タンパク質を認識する可能性が明らかになっている。また、さらなる検討の結果、IgSFR2は特異的な病原体センサーとして機能するのではなく、肺における広範なウイルス受容体として機能する可能性が示唆されている。そこで、本研究ではIgSFR2の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)受容体としての機能を生化学的手法により明らかにするとともに、げっ歯類SARS-CoV-2感染モデルに対するIgSFR2リガンド投与の治療効果を検討することを目的とした。 本研究計画の2年目である2023年度では、豊富な糖鎖修飾を受けることが知られているSARS-CoV-2由来組換えSタンパクを用いて、生化学的手法によりIgSFR2との結合特異性について検討した。武漢株およびオミクロン株(BA.5.2.1およびXBB.1)に由来するSARS-CoV-2 SタンパクをELISAプレートに固相化し、293細胞にて発現させた組換えIgSFR2-Igを用いてin vitroにおける結合を評価したところ、IgSFR2-Igは双方のSARS-CoV-2 Sタンパクへの結合性を示したが、インフルエンザウイルスHAタンパクに対する結合に比べて非常に弱いものであった。また、アルファ株、ガンマ株、デルタ株およびオミクロン株由来のSARS-CoV-2ウイルス全粒子を用いて同様の実験を実施したが、現在までのところIgSFR2-Igのウイルス全粒子に対する結合性も微弱であると想定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、前年度と同様にIgSFR2がSARS-CoV-2受容体として機能する可能性を検討すべく、特にSARS-CoV-2オミクロン株由来組換えSタンパクを用いて、生化学的および細胞生物学的手法によりIgSFR2との結合特異性について検討した。その結果、SARS-CoV-2 Sタンパクは豊富な糖鎖修飾を受けることから、これまでのインフルエンザウイルスを用いて実施してきた研究経過から鑑みて、SARS-CoV-2 SタンパクとIgSFR2との結合は非常に強いと想定していたものの、いわゆる武漢株と同じく、BA.5.2.1やXBB.1などの他のオミクロン株由来のSタンパクにおいても、IgSFR2-Igとの結合は非常に弱いものであった。このため、現在はアルファ株、ガンマ株、デルタ株およびオミクロン株由来のSARS-CoV-2ウイルス全粒子を用いて同様の実験を実施しているが、最終的な実験結果の確認に予想以上に時間を費やしている。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴ってスタートした別の研究課題の実施に予想以上のエフォートと時間を費やしてしまい、再現性の確認も含め、年度内に予定していた全ての実験を完全に終了させるまでに至らなかった。 以上の理由から、2023年度の進捗状況に関する評価としては、全体を通じて「(3)やや遅れている。」とした。次年度は研究計画の最終年度となるため、エフォート配分などにも特に注意しながら、研究計画調書に記載した解析を全て終了させ、今後の研究のさらなる進展に向けた有望な結果を得ることが出来ればと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究計画3年目の最終年度となるため、げっ歯類SARS-CoV-2感染モデルにおけるin vivoにおけるIgSFR2の機能に関する解析を優先して進めたいと考えている。具体的には、当施設において汎用されている高週齢BALB/cマウスにマウス馴化SARS-CoV-2 (QHmusX株)を感染させる実験系を展開する。なお、一部のマウスにはSARS-CoV-2感染前にIgSFR2に対するsiRNAとアテロコラーゲンとの複合体を尾静脈内に投与し、全身性IgSFR2ノックダウンマウスを樹立する。これらのマウスにSARS-CoV-2を感染させ、経日的に生存率、肺におけるウイルス力価、病理組織像や炎症性サイトカイン/ケモカインの産生を、IgSFR2の機能的阻害の有無で比較することで、SARS-CoV-2感染におけるin vivoにおけるIgSFR2の機能について明らかにする。さらに、この実験系にIgSFR2リガンドを組み合わせることにより、IgSFR2リガンド投与による治療効果についても検討したいと考えている。 また、IgSFR2がSARS-CoV-2感受性細胞におけるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)依存的感染の介添受容体として機能する可能性を想定し、IgSFR2とACE2との直接的な相互作用についても検討したいと考えている。具体的には、ACE2を強制発現させたA549細胞にmyc標識したIgSFR2 cDNAを導入し、種々の界面活性剤を含む緩衝液にて細胞溶解液を作成した上で、抗体ビーズを用いてIgSFR2複合体を単離し、ウエスタンブロットにて解析する。なお、ACE2発現A549細胞にはSARS-CoV-2を感染させ、経時的に調製したものを解析サンプルとして用いる。
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