Project/Area Number |
22K08616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大倉 喬 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 研究員 (20644975)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | SARS-CoV-2 / 光制御型パラミクソウイルス / ワクチン / 中和エピトープ解析 / 流行予測 |
Outline of Research at the Start |
SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、ヒトに対して高い病原性と伝搬性を示すことから、BSL3以上に対応していない研究施設では使用が制限されている。また、世界的な大流行により病原性や感染力が増強した多数の変異株が出現している。今後ワクチンが普及したとしても、新たな変異株と既存のワクチンとの抗原性が異なり、幾度となくパンデミックを繰り返す可能性がある。本研究では、青色光照射時にのみウイルスが増殖する光応答性センダイウイルス(SeV)を作製し、SARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質を発現する組換えSeVを作製・利用し、今後の流行株の特性を予め見極める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、①BSL2でも使用可能なSARS-CoV-2のSタンパク質を発現する組換えパラミクソウイルスを作製し、さらに青色光照射時にのみウイルスが増殖する光応答性を付与すること、②このSタンパク質発現光応答性ウイルスを用い、SARS-CoV-2に対する中和抗体存在下でエスケープミュータントを作出し、そのSARS-CoV-2-Sタンパク質の機能獲得能を明らかにすることである。これまでに、レスピロウイルス属に属する牛パラインフルエンザウイルス3型(BPIV3)のLタンパク質遺伝子内への光制御遺伝子導入可能箇所を決定し、光制御型BPIV3の作出に成功している。当該年度においては、この光制御可能なBPIV3ゲノムをバックボーンとして、M-F遺伝子ジャンクションにSARS-CoV-2武漢株由来Sタンパク質遺伝子を挿入したところ、リバースジェネティクスによりSタンパク質発現光制御ウイルスの作出に成功した。この組換えウイルスは、Vero/TMPRSS2細胞において、Sタンパク質特異的な膜融合を起こし、感染細胞においてsyncytiumを形成する特性を示した。また、青色光を照射した領域でのみウイルスが増殖・syncytium形成をさせることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで報告があるSARS-CoV-2のSタンパク質を発現する組換えウイルスは、Sタンパク質が起因となる病原性が懸念されるため使用にはバイオハザード上の注意が必要とされている。本研究で作出した光制御型ウイルスは、光の照射のみだけでウイルスの増殖をコントロールすることが可能であり、実験者への感染リスクを大きく低減できる。Sタンパク質をウイルス粒子内に取り込ませるために、細胞質尾部に存在するER retention signalを欠損(S-CT△19)させ、形質膜表面にターゲッティングするように改変した。この結果、光制御ウイルス粒子内にS-CT△19に取り込まれることを確認した。また、臨床分離検体から各種バリアント(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロン、BA1~5等)由来のSタンパク質遺伝子を発現プラスミドにクローニングし、膜融合活性を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス粒子表面にはSタンパク質のほか、BPIV3由来ウイルス膜タンパク質であるFやHNタンパク質が発現しており、Sタンパク質に対する中和抗体でSタンパク質のレセプター結合を阻害したとしても、BPIV3由来膜タンパク質により細胞への感染が成立してしまう。そこでBPIV3の中和血清を用いて、BPIV3由来F、HNのみを中和抗体でブロックする中和試験系を確立する。このBPIV3中和条件において、エピトープ既知の抗体医薬(Casirivimab、Imdevimab、Sotrovimab)存在下でエピトープマッピングが可能かを予備検討する。その後、・既感染者由来血清からのエスケープ(再感染の検討)、・ワクチン接種者由来血清からのエスケープ(ワクチン接種者への感染の検討)、・カクテル療法からのエスケープ(新たなエスケープ機構の解析)、・モノクローナル抗体からのエスケープ(エピトープマッピングと中和メカニズム解析)の解析を行う。
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