自己脂肪由来インスリン産生細胞自家移植における抗原性発現と細胞運命の研究
Project/Area Number |
22K08734
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安友 康二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30333511)
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / insulin-producing cell / 1型糖尿病 / 自己免疫 / 細胞運命 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者らが研究を進めている「自己脂肪由来の脂肪由来幹細胞からの2-step/3次元培養によるinsulin-producing cell自家移植」の1型糖尿病に対する治療戦略は、実臨床応用に際し、「自家移植であるが、果たして自然免疫の影響を受けないのか」、また、「自己免疫疾患である1型糖尿病患者の自己免疫にさらされた場合の細胞運命はどうなるのか」、という学術的問いに回答する必要がある。これらに回答するために、これまで明らかでなかったIPCの自然免疫に対する反応を詳細に検討するとともに、1型糖尿病に移植された新生β細胞集団の細胞運命を明らかとすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自己幹細胞から分化誘導された人工β細胞が、本来のβ細胞に対する自己免疫疾患(1型糖尿病)の患者に移植された際にどのような細胞運命を辿るか、という科学的問いに端を発している。本研究の基となるコンセプト(自己脂肪由来の脂肪由来幹細胞:ADSCから分化誘導されたinsulin producing cell: IPC移植)は、1型糖尿病患者に対する大きな福音となる可能性がある一方で、アロ移植免疫から免れたとしても、人工細胞であるために、自然免疫に排除されたり、自己免疫によって破壊を受ける可能性は残る。この状況を検討するにあたり、Auto-transplantationモデルとして、1型糖尿病自己免疫疾患モデルマウス(NODマウス)を用い、糖尿自然発症したマウスの皮下脂肪からADSCを分離精製し、NOD-IPCを作成する。マウス血糖を正常化するのに十分なNOD-IPC(2.0 x 10^6個)を1型糖尿病自然発症したマウスの腎被膜下へ移植し、全身状態および血糖を測定し、血糖正常化が得られた個体は30日で移植腎の摘出を行い、血糖の再上昇を確認し、組織学的検討を行った。更に、長期間(60日)の観察と血糖変動を測定し、その後経時的に犠死を行い、graftに対しては抗インスリン抗体、PDL1発現、ZnT8発現・リンパ球浸潤の発現等を計測した。その結果、移植されたNOD-IPCはアロ移植免疫によるgraft排除は考慮しなくてよいものの、長期(移植後60日)になると移植されたNOD-IPCはリンパ球浸潤を受け、インスリン発現量も低下することから、インスリン分泌能を消失する可能性が示唆された。これらの検討結果は、IPCの1型糖尿病患者自己移植を臨床応用する際に非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記NODマウスの自家移植の系(NODマウスのADSCから我々の開発した分化誘導法を用いてNOD-IPCを作成し、これを自己免疫性糖尿病を自然発症したNODマウスに移植を行うモデル)を完成させ、NOD-IPC移植後の血糖の正常化を確認した。また、30日目(短期間)、60日目(長期間)までの全身状態・血糖観察を行い、適宜犠死させて移植IPCの免疫化学染色を行い、検討を行った結果、移植されたNOD-IPCは自然免疫およびアロ移植免疫によるグラフト排除は考慮しなくてよいものの、長期(移植後60日)になると移植されたNOD-IPCはリンパ球浸潤を受け、NOD-IPCのインスリン発現も低下することから、インスリン分泌能を消失する可能性が示唆された。ただし、全く影響を受けない個体もあり、本治療戦略が非常に有効であるグループが存在する可能性も同時に示唆された。この機序としては、分化誘導終了直後にNOD-IPCにPDL1が強発現していること、GAD65についてはNOD-IPC分化誘導終了直後には発現を認めないが、移植後徐々に発現上昇を認めることから、表面自己抗原の発現とPDL1およびGAD65発現制御がその鍵となるものと考えられた。自己IPCに関して、移植後の自己抗原の発現および機序解明は、本研究の根幹に関わる結果であり、発生段階に沿ったin vitroの解析(HLA解析およびMLR)が終了していないが、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から、脂肪組織由来ADSCから分化誘導されたIPCは、分化誘導終了直後にPDL1が強発現していること、GAD65については分化誘導終了直後には発現を認めないが、移植後徐々に発現上昇を認めることから、表面自己抗原の発現とPDL1およびGAD65発現制御が自己免疫に係る排除の鍵となるものと考えられたため、今後、IPCの分化誘導に沿って、自己抗原(HLA Class I/ Class II)の発現時期と強度に関し、免疫組織学的測定・FACS解析を施行する。また、IPCの分化誘導過程に沿って、ヒト末梢血より分離したPBMCとリンパ球混合試験(MLR)を行い、自己抗原発現と実際の抗原性への反応を解析する。更に、IPCのPDL1およびGAD65の発現について、発現時期およびそのmaster regulatorの同定と抗原性獲得に関する機序解明を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)