Project/Area Number |
22K08747
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
加野 将之 千葉県がんセンター(研究所), 食道・胃腸外科, 部長 (20456023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 泰典 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80738831)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | がん悪液質 / 体脂肪 / PDL1 / 免疫疲弊 / エクソソーム / メトホルミン / 白色脂肪細胞 / 全身性炎症 |
Outline of Research at the Start |
本研究では蛍光標識エクソソーム分泌胃癌細胞を作成し使用する。 メトホルミン投与胃癌培養細胞の培養上清よりエクソソームを抽出し標的分子を同定する。これをがん由来エクソソームに導入し創薬エクソソームを作成、がん悪液質マウスモデルならびにPDXモデルにて治療効果を検証する。がん悪液質の病態は白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化であり、褐色脂肪細胞マーカーUncoupling protein 1 (UCP1) 免疫染色 にて評価する。これに加え脂肪・筋組織の形態変化、体重変化、体組成、生存期間、生存率にてがん悪液質を評価する。肉眼および病理組織標本(HE染色、免疫染色)は画像解析にて定量評価、統計解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
がん悪液質はがん末期の難治性の病態であり、がん治療の成績を向上する上で治療開発は極めて重要である。抗糖尿病薬メトホルミンの抗悪液質作用が報告されており、分子経路も解明されていない。申請者らは新しい視点としてエクソソーム動態、シグナル伝達を解析することで、がん悪液質の新規治療標的を明らかにできると考えた。そこで本研究では、メトホルミンがん悪液質治療モデルを用いてエクソソームに着目した分子経路を解析することにより新規治療標的を同定し、さらにエクソソームをDDS(Drug Delivery System)として用いた創薬を行うことを目的とした。 本研究では我々独自の蛍光標識エクソソーム分泌胃癌細胞を作成し使用すること、メトホルミン投与胃癌培養細胞の培養上清よりエクソソームを抽出し標的分子を同定し、これをがん由来エクソソームに導入し創薬エクソソームを作成、がん悪液質マウスモデルならびにPDXモデルにて治療効果を検証する予定としている。標的分子の同定に先行して同モデルマウスの作成を令和4年度に遂行した。加えて、本年は近年がん治療の主役に躍り出た免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の分子標的であるPDL1の血清濃度を検討することでがん悪液質とICIの効果と密接にかかわる免疫疲弊との関連を検討し、文献報告した。一方、がんの進行、がん悪液質と体幹筋肉量の相関が報告されていることから、胃がん切除症例230例のCTの体組成解析から、血清アルブミン等の栄養指標と皮下脂肪CT値の相関を突き止め、癌の進行と体脂肪との相関を明らかにした。今後は悪液質モデルマウスにおける皮下脂肪、皮下脂肪由来幹細胞と胃癌細胞株との共培養から分子標的を突き止めることを予定している。さらに、食道がんとメトホルミンとの関連の文献報告をまとめ、レビュー論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪液質とは、骨格筋の持続的な減少であり、食欲不振、体重減少、骨格筋の減少を主徴とする。本研究の今年度の目的は、胃がんにおける癌悪液質の解析から、エクソソームを基軸としたメカニズムならびに癌宿主連環への介入に資する知見を得るために悪液質in vitroモデル、モデルマウスの作成を行い、胃癌細胞腹腔内投与マウスは腹腔内に播種病変を形成したことが確認されている。また、MKN45皮下腫瘍モデルは体重減少が計測可能で、かつ消化管機能への直接的影響や腹水貯留の影響が少なく悪液質モデルマウスとして最も適切であると結論できる。また、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の分子標的であるPDL1の血清濃度を検討することでがん悪液質とICIの効果と密接にかかわる免疫疲弊との関連を検討し、文献報告した(Matsumoto Y, Kano M, et al. Mol Clin Oncol. 2023 Mar 20;18(5):39.)また、がん関連exosomal miRに着目し、食道がんとの予後との関連を突き止め、Oncology letter誌にAcceptされている。さらに、食道がんとメトホルミンの文献報告をまとめ、レビュー論文としてMolecular and Clinical Oncology誌にAcceptされている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、悪液質モデルマウスの作成と、分子標的の解明、エクソソームを用いたDDSにより治療開発を行うことである。当初の予定として過去の研究により抗糖尿病薬メトホルミンの抗腫瘍効果と分子標的候補を複数同定していたことから、これらを分子標的候補とし、解析を進めている。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の主分子標的であるPDL1について、さらに臨床的に評価が簡便な血清中濃度の測定により、がん悪液質との関連を文献報告できたことから、PDL1ならびに免疫疲弊(T cell exhaustion)の関連から分子標的の絞り込みを継続する。モデルマウスは遺伝子組み換えによりGFPが導入された胃がん培養細胞によるモデルが評価も含め完成したため、今後はより臨床に近いPDX (Patient’sderived xenograft)モデルの開発は急務にて進める。胃癌細胞由来エクソソームの抽出はすでに完了しているため、標的分子の導入法を精査し、創薬エクソソー ムの作成は、予定通り令和5年以降に取り組むこととしている。がん由来エクソソームが全身、有害事象の面では肝腎等の腫瘍臓器、効果の面では骨格筋や脂肪組織が標的になると考えられ、その影響を精査する。がん悪液質患者の癌腫や進行度、余病や骨格筋量等の患者背景、予後等は臨床応用する際の重要な情報となるため、それらの臨床病理学的解析をすすめる。
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