Project/Area Number |
22K08756
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北村 文優 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (90897068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任教授 (00594889)
安田 忠仁 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (00867947)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 膵癌 / 代謝リモデリング / LDHA / 乳酸 / CAFs |
Outline of Research at the Start |
腫瘍は癌細胞のみの単一な集団ではなく、CAFsや免疫細胞といった多様な細胞集団が存在しており、実臨床における治療を困難なものにしている。難治性がんとして知られる膵癌は乏血性でかつ糖代謝が亢進する腫瘍として知られており、特徴的な代謝リモデリング機構を有することが知られている。がんを解糖系、特に乳酸中心とした腫瘍全体の代謝系を解明することで、現在も治療困難である膵癌に対する、癌進展や免疫抵抗性獲得を制御する新規治療ターゲットを創出することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
進行癌がん細胞における代謝は、正常細胞とは異なることが知られており、癌細胞はその代謝経路を自ら有利になるようにリモデリングしている。特に難治性消化器癌である膵癌は乏血性腫瘍として知られており、特徴的な代謝リモデリング機構を有することが知られている。 一方、これまで、固形癌の腫瘍微小環境をテーマとした研究が世界中で活発に行われており、その研究成果から、進行癌の腫瘍間質に存在する線維芽細胞(CAFs)が腫瘍進展・治療抵抗性を促進することは明らかである。がんを多彩な細胞群によって構成される組織としてとらえ、その代謝機構を解明することでより効果的な新規治療ターゲットを開発することにつながると考えられる。本研究では、膵癌において解糖系に関与するL-lactate dehydrogenase A chain(LDHA)高発現症例が予後不良であり、LDHA高発現膵癌はより多くの乳酸を産生することを明らかにした。産生された乳酸は腫瘍微小環境中に存在するCAFsへ作用し、CAFsの増殖を促すとともに、CAFs由来のIL6の産生を増加させた。さらに膵癌細胞の産生する乳酸とCAFsが産生するIL6により腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞の活性を低下させ、腫瘍の増殖・進展を阻害する可能性を示した。これらの研究で得られた結果を総合すると、膵癌細胞-CAFs-免疫細胞に介在するクロストークを明らかにすることで、今後の膵癌に対する個別化医療の発展や、新たな予後予測因子の創出につながり、臨床的意義は大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ 膵癌におけるLDHA発現の意義の解明:膵癌切除検体を用いてLDHAの免疫染色を行い、LDHA高発現群は予後不良であることを見出した。また、膵癌細胞のLDHAをKDし細胞増殖を検討したが、増殖の抑制は認められなかった。一方で、LDHAの発現抑制をすることで膵癌の乳酸産生が有意に低下した。 ・ 膵癌の産生する乳酸のCAFsに対する影響の解明:in vitroにおいて膵癌細胞より樹立したCAFsに乳酸を付加することで、CAFsの増殖が促進された。また乳酸刺激をうけたCAFsはRNAシーケンシングにおいてIL6の産生が増加した。 ・ 微小環境中に増加した乳酸とIL6の免疫細胞への影響の解明:ヒト血清より免疫細胞を分離し、in vitroにおいて乳酸とIL6を付加をおこなったところ、相乗的にT細胞のGraBやINFγ活性を低下させることがわかった。 ・ マウスにおけるLDHA抑制効果の確認:in vivoにおいて間質量が多い膵癌皮下腫瘍モデルではLDHA阻害剤は免疫細胞の浸潤・活性を改善させ、腫瘍の増殖を抑制した。またin vivoにおいてマウス膵癌細胞のLDHA発現抑制した株を膵同所移植することで、免疫細胞の活性の低下、浸潤細胞数の低下を認め腫瘍の増殖が抑制された。
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Strategy for Future Research Activity |
・乳酸刺激を受けたCAFsの遺伝子解析をすすめ、IL6を産生す分子機構を解明する。特に乳酸刺激によりヒストンの変化などが知られており(ラクチル化)、CAFsのヒストンのラクチル化が起こっているか解析する。 ・近年CAFsも様々な性質をもっていることが知られており、乳酸刺激を行うことでどのようなCAFsがどのように性質変化をするか検討する。 ・LDHA阻害剤により免疫系の改善を認めたので、LDHA阻害剤と免疫check point阻害剤を併用し、腫瘍抑制効果を確認する。
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