Project/Area Number |
22K08790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
野津 司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30312367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 術後イレウス / SGLT2阻害薬 / サイトカイン / TLR4 / グレリン / NLRP3インフラマソーム / 術後せん妄 / 脳血管バリアー |
Outline of Research at the Start |
腹部術後イレウスと術後のせん妄は重大な術後合併症であり,患者の生命予後やQOLに大きなインパクトを与えるが,それらに対する治療法の選択肢は乏しい.過敏性腸症候群はcorticotropin-releasing factor,Toll-like receptor 4,炎症性サイトカイン経路の活性化により,腸管バリアの傷害が引き起こされ,発症する機序が考えられている.本研究は,腹部術後イレウスと術後のせん妄も同様の機序により,腸管機能異常,脳血管関門の傷害が引き起こされるという可能性に着目して,それを検証することにより,これら術後合併症の病態解明と新規治療法の開発を目指すものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
腹部手術後イレウスモデルで,SGLT阻害薬のphrolizinが,SGLT2の抑制とグレリンシグナルの活性化により,胃排出遅延を改善させることを明らかとし,Phlorizin attenuates postoperative gastric ileus in ratsとしてNeurogastroenterology and Motilityにpublishされた.imegliminは最近上市された新しい糖尿病薬であるが,AMPKとオピオイドシグナルを活性化させることにより,IBSモデルで内臓知覚過敏,腸管バリア傷害を改善させることを明らかにし,Imeglimin prevents visceral hypersensitivity and colonic hyperpermeability in irritable bowel syndrome rat modelとして,Journal of Pharmacological Sciencesにpublishされた.さらにNLRP3インフラゾームの抑制薬であるtranilastが大腸のNLRP3,IL-1bの発現を抑制することにより内臓知覚過敏,腸管バリア傷害を改善させることを明らかとした.次にneurotensin-1受容体刺激薬も,TLR4-炎症性サイトカインシグナルを抑制し,IBSモデルで効果を発揮することを明らかとし,これら2つの研究は現在,論文投稿中である.さらにmiokineのirisin,bombesinも同様な機序で,IBSモデルで効果を発揮することを確認し,これらは現在論文投稿準備中である.これらより,TLR4,炎症性サイトカインシグナルに加えてNLRP3インフラゾームが,イレウスモデルにも関与していることが考えられた.つまりIBS,イレウスモデル両方で,腸管バリアの傷害が起きて,bacterial translocationによりLPSが遊離し,それによりTLR4が活性化し,NLRP3インフラマソームが活性化し,IL-1bが産生されることにより,それぞれの消化管変化を来すという可能性が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように今年度は2編の論文を刊行できた.また術後イレウスとIBSモデルの内臓知覚過敏,腸管バリア傷害はTLR4-炎症性サイトカインシグナルという共通の経路が関与する事が明らかとなった.さらにNLRP3インフラゾームの活性化が,IBSモデルの機序として重要な事を明らかにできたので,今後このシグナルの役割を術後イレウスモデルで確かめることにより,さらなる研究の発展が期待できる.加えて現状,2編の論文を投稿中であり,その上2編の論文を作成中と,研究としては,当初の計画よりも予想以上に進展していると考える.正しせん妄モデルに関しては,条件設定がまだ完了しておらず,その評価には至っていない.それを勘案すると,概ね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
IBSモデルで効果があった薬剤,ペプチドについて,術後イレウスモデルでその効果を検証していく.合わせて新たな薬剤のスクリーニングを行って,IBSの治療薬剤候補に関する研究も継続する.NLRP3インフラマソームが,術後イレウスモデルでも関与する可能性があるので,その役割を検証することにより,そのメカニズムのさらなる検索を行っていく.せん妄モデルについては,まず脳血管関門を適度に傷害させる系の確立を目指す.
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