スキルス増殖特異活性化シグナルを標的とした胃癌標的治療法の開発
Project/Area Number |
22K08859
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
安本 和生 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90262592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | がん性腹水 / MET増幅胃癌 / in vivo selection / EGFR遺伝子増幅胃癌 / 胃癌 / スキルス胃癌 / HGF / 増殖シグナル |
Outline of Research at the Start |
胃癌診療の中で、悪性腹水を伴う癌性腹膜炎は予後を最も左右するが、その成因は不明であり今なお効果的な治療法がない。我々は初めて、癌間質誘導性HGFによるMETシグナル活性化を介した細胞増殖賦活作用は本病態を高頻度に発症するスキルス胃癌細胞特異的に認められ、悪性腹水を伴う癌性腹膜炎形成と密接に関係することを明らかにした。一方、siRNAによるMET遺伝子発現抑制もまたスキルス胃癌細胞に強力な増殖誘導をもたらしうることを見出した。HGF刺激ならびにMETノックダウン誘導性増殖生存活性化シグナルカスケードの解明から、本病態を高頻度に発症するスキルス胃癌に対する革新的胃癌標的治療法開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
スキルス胃癌は高頻度に悪性腹水を合併する。そのメカニズムの詳細は不明である。 そこで、MET遺伝子増幅のある親株とin vivo selectionにより得られた悪性腹水形成能を獲得した子株(58AS1/AS9)の2つの細胞株を用いて、親株との分子生物学的差違を検討し、悪性腹水形成に関わる因子の同定を図ることとした。 興味深いことに、腹水形成能を獲得した株では、MET増幅細胞であるにもかかわらずウエスタンブロットならびに細胞上清中に新たにHGF蛋白産生が明らかとなった。また親株で、MET遺伝子増幅とともにEGFR遺伝子増幅もまた同時に発現していることが確認されたが、腹水形成能をもつようになったAS1/AS9では、EGFR遺伝子増幅は抑制され、EGFRリガンドであるamphiregulinにより一定の増殖亢進作用が誘導されることが確認できた。 上記の検討結果から、MET遺伝子増幅を有する細胞株で腹水形成能を獲得するには、新たなHGF蛋白の産生誘導を通して血管内皮細胞上のMET活性化が必須ではないかと考えられた。また、EGFRリガンドによる増殖能亢進反応の出現は、HGFによるがん細胞からのオートクリンEGFRリガンドamphiregulinの産生増強からオートクリン機構で惹起されるがん細胞増殖機構の成立が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スキルス胃癌の悪性腹水合併がん性腹膜炎病態形成のメカニズム解明研究は、MET増幅細胞のin vivo selectionによる細胞株を用いた検討により予定通り進んでいる。がん性腹膜炎病態の中で、とくに悪性腹水の制御は、患者の予後・QOL改善において非常に重要な課題であるため。腹水抑制により、再び断念せざるを得なかった薬物治療再開の可能性をもたらしうる大変重要な研究成果となる。
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Strategy for Future Research Activity |
胃がん性腹膜炎病態に高頻度に合併し、患者の予後を最も左右する腹水制御は解決すべき喫緊の重要課題であるため、本研究は腹水産生抑制の分子基盤の解明に重点を置く。がん性腹水制御はアンメットニーズな領域で、標準的で効果的な治療法は存在しない。腹水貯留後の平均予後は、胃癌では数ヶ月と大変短い。 腹水形成抑制メカニズム解明を通して、非常に短期間の予後をたとえ半年単位でも延長することができれば、患者の真のQOL改善が得られ、その意義は大きい。 腹水という測定不能病変であるため臨床試験に組み入れにくいという実状から多くの臨床試験は本患者対象群にはスキップされてきた。 本研究を通して、新たな分子を介する機序解明から、腹水貯留胃癌を対象とした積極的な臨床試験実施へとつなげ、標準治療確立へと進めたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)