Project/Area Number |
22K08870
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野田 剛広 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (50528594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 省吾 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30452436)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 肝細胞癌 / マクロファージ / 腫瘍血管内皮細胞 / 肝癌 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、当科にて単離したマウス由来の腫瘍血管内皮細胞と正常血管内皮細胞を使用する。さらに、マウス肝癌皮下腫瘍モデルにおいて腫瘍から腫瘍関連マクロファージ、腫瘍浸潤T細胞の分離・培養を行い、それらの細胞を使用して、細胞間相互作用を検討する。想定される免疫抑制機構としては、①腫瘍血管の特徴である透過性亢進による腫瘍関連マクロファージの血管外漏出、②TGF-βによる癌細胞の上皮間葉移行、③腫瘍浸潤T細胞の疲弊化等、を想定している。肝細胞癌における腫瘍関連マクロファージによる免疫抑制機構が解明され, また腫瘍免疫療法開発の一助となる可能性が高く, 臨床的・社会的にも意義の高い研究となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肝細胞癌において腫瘍関連マクロファージ(TAM)を中心とした腫瘍血管内皮細胞(TEC)や免疫細胞との分子メカニズムの解明、およびTAMの機能解析を行うことにより、肝細胞癌に対する新規治療標的の同定を行うことである。 昨年度において、肝細胞癌の全生存期間および無再発生存期間における単変量・多変量解析により、high TAM数及びhigh TEC数が独立予後不良因子であることを明らかにした。 当該年度においては、肝癌細胞株を用いてマウス皮下腫瘍からTEC、正常肝から正常血管内皮細胞(NEC)、マウス骨髄からM0マクロファージを単離し、実験系の確立を行った。次に、TEC及びNECの培養上清をM0マクロファージの培養液に添加し、M2マクロファージへの分化をフローサイトメトリーにて評価した。結果において、TECの培養上清の添加により、NECと比較してM0マクロファージからM2への分化が促進された。次に、肝癌細胞株とTECまたはNECを混合した細胞懸濁液を用いてマウス皮下腫瘍モデルを作成し、蛍光免疫組織染色(CD80、CD206、CD31)によりM2マクロファージと血管内皮細胞の数を比較検討した。TECを混合投与したマウス腫瘍は、NECを混合投与した腫瘍と比較して有意に腫瘍体積の増加を認めた。またTECを混合投与した腫瘍におけるM2マクロファージは有意に多く、M1マクロファージが少なかった。 以上より、研究の進捗としては、おおむね順調に推移している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究実施計画においては、①腫瘍関連マクロファージの機能解析、②臨床検体による解析を行う予定であった。1と2ともに終了し、腫瘍関連マクロファージの機能解析、および臨床検体による解析は終了している。腫瘍関連マクロファージは、切除検体による予後解析において、無再発生存期間および全生存期間の独立予後因子であった。さらには、マウス腫瘍モデルにより単離したマクロファージの分化誘導により、TECからのパラクライン効果によりM0マクロファージからM2マクロファージへの分化が認められた。TECからの培養上清を添加したマクロファージの、IL-10およびTGF-b1の発現は有意に増加を認め、CD206陽性細胞の割合の増加を認めた。 当該年度の研究結果により、TECから分泌された液性因子により、M0マクロファージからM2マクロファージへの分化誘導のメカニズムが想定された。 今後は、次世代シークエンスによる解析により、TECから分泌された分化誘導因子の同定を行っていく予定である。現在、大阪大学微生物病研究所との共同研究により、次世代シークエンスによる解析も完了しており、分化誘導因子の候補の絞り込みを行っている。よって研究の進捗としては予定通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、これまでの研究成果を踏まえてさらに研究を深化させる予定である。次世代シークエンスによる解析により、本研究の目的である、肝細胞癌において腫瘍関連マクロファージを中心とした腫瘍血管内皮細胞(TEC)や免疫細胞との分子メカニズムの解明を行い、新規治療標的の同定を行っていく予定である。これまでの研究成果により、TECから分泌されるM2マクロファージへの分化誘導因子が治療標的となりうることが予想される。分化誘導因子の機能抑制あるいは発現抑制により、肝細胞癌の腫瘍増殖抑制効果の検討を行っている。新規治療標的としての意義やさらにはTAMの機能抑制効果などの免疫賦活メカニズムなどの機序の解明も行っていく予定である。 切除不能肝細胞癌に対しては、免疫チェックポイント阻害剤および血管新生抑制剤の併用療法が第一選択となっており、肝細胞癌に対する免疫治療の進歩は著しい。本研究により得られる知見ならびに、新規治療標的の同定といった研究成果は、肝細胞癌に対する治療体系の発展への波及効果は高いと考えらえる。今後の研究の発展のために、肝細胞癌における免疫治療の機序解明を重点として研究を進めていく。その都度得られた研究結果により、適宜方法等の修正を行っていく方針である。
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