大動脈解離病態の統合的理解を目指して:細胞老化と液性免疫の役割
Project/Area Number |
22K08968
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55030:Cardiovascular surgery-related
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中尾 英智 久留米大学, 医学部, 助教 (80869545)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 浩樹 久留米大学, 付置研究所, 教授 (60322244)
田山 栄基 久留米大学, 医学部, 教授 (90281542)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 大動脈解離 / 細胞老化 / SASP / Jnk / マクロファージ / 液性免疫 |
Outline of Research at the Start |
大動脈解離は中高年に好発する致死的な疾患であるが、未だ病態に謎が多く、診断や治療、発症予防法の開発のために病態解明が急がれる。 近年、動脈硬化や心不全、がん、アルツハイマー病など様々な疾患領域において細胞老化の関与が注目されている。老化細胞は炎症応答や免疫応答を惹起し、こうした応答が大動脈解離病態に関与している可能性に着目した。 またこれまで申請者らのチームにおいて、解離病態における炎症応答の重要性や免疫応答の関与を見出しており、それらと細胞老化とを結びつけ、解離病態の統合的理解を目指すものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、老化細胞除去薬(ABT263)により解離死亡率が低下し、病変長が短縮した結果から、老化細胞を中心とした解離病態の解明することを目的とした。 マウス大動脈解離組織において老化関連βガラクトシダーゼと各種細胞マーカーの二重染色を行なったところ、老化した内皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージ(Mφ)、線維芽細胞が存在することがわかった。 解離大動脈を用いたトランスクリプトーム解析ではABT263により炎症応答、免疫応答に関係する遺伝子群の発現が抑制された。さらに、リアルタイムPCRでは解離刺激で増加した老化マーカー、炎症性サイトカイン、ケモカイン、破壊型Mφ(M1)マーカーの遺伝子発現がABT263により抑制された。このことから、老化関連分泌現象(SASP)を含めた炎症応答とMφの分化に着目することとした。 マウス解離モデルの血清サンプルを用い、SASP因子を含めた炎症性サイトカインの挙動をBioplexで確認したところ、IFN-γ、IL-6、IL-17A、TNF-αなどの解離発症や増悪に寄与するサイトカイン発現がABT263により抑制された。さらに、マウス解離大動脈において活性化Jnk(pJnk)が解離刺激により増加し、ABT263により減少した。以上より、ABT263はSASP含めた炎症応答の抑制し、さらにpJnk活性を低下させることで細胞老化の増幅やSASP増強を抑制している可能性が示唆された。 Mφ培養細胞において血清刺激とABT263投与による破壊型(M1)、修復型(M2)、total Mφマーカーのタンパク発現の挙動を確認した。血清刺激によりM1、total Mφの発現が増加、M2発現は減少、ABT263投与でいずれも減少した。ABT263によるM1およびM2減少は同程度であり、ABT263はマクロファージ分化に影響を及ぼさないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動脈解離組織に存在する老化細胞の種類を同定し、解離大動脈を用いた遺伝子発現解析にて炎症応答および免疫応答に着目した。解離病態におけるSASPを含めた炎症応答がABT263により抑制されており、pJnkも同時に抑制されていることを発見した。さらに解離刺激によりM1が増加、M2が減少していたが、ABT263はMφ分化に影響を与えないことが示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス解離大動脈の遺伝子発現および血清Bioplexの結果からは、細胞老化に関連した炎症応答が解離病態に関与することが示唆された。申請者は解離病態における細胞老化がmTORを介した細胞増殖応答により生じていることを明らかにするために、mTORインヒビターであるラパマイシンを投与し、老化細胞や老化マーカーの発現に影響を及ぼすかを観察する。また、平滑筋細胞が解離刺激により合成型フェノタイプへ分化することがすでに言われており、ABT263投与による平滑筋細胞のフェノタイプスイッチに与える影響も観察することとしている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)