Project/Area Number |
22K08973
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55040:Respiratory surgery-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂部 友彦 鳥取大学, 医学部, 講師 (50639747)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | IASLC/ATS/ERS分類 / 充実型増殖 / 転写因子 / 免疫染色 / 腺房型増殖 / 浸潤性肺腺癌 / 充実型増殖部 / 膜タンパク質 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、転写因子・膜タンパク質に着目した充実型増殖部形成・維持機構の解明によって、充実型増殖部を標的とした浸潤性肺腺癌の新たな治療法開発を目的としており、具体的には以下の項目について検討を行う。 1. 肺腺癌充実型増殖部の形成・維持機構におけるキーレギュレーターの探索 2. ヒト肺腺癌組織における発現と病態における関連解析 3. キーレギュレーター誘導肺腺癌における生物学的特性の解明 4. 動物モデルによる充実型増殖部の形成・維持機構の解明 5. 充実型増殖部を標的とした分子標的薬探索による新規治療法開発
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Outline of Annual Research Achievements |
浸潤性肺腺癌は、病理形態学的な増殖形態に基づいて複数の亜型に分類される。この亜型分類は、予後との関連性を示すことから、臨床的意義も高いと考えられる。その中でも、充実型増殖部を腫瘍内に有する患者は、極めて予後不良であることが明らかとなっているが、この亜型の形成・維持に関わる分子メカニズムや効果的な治療標的は未だ明らかになっていない。本研究は、充実型増殖部の形成・維持に関わる分子機構を解明することで、浸潤性肺腺癌の新規治療法開発に応用することを目的としている。 我々は、これまでに浸潤性肺腺癌患者の腺房型増殖部と充実型増殖部における遺伝子発現比較によって、充実型増殖部で多数の遺伝子の発現が変動していることを報告してきた。本年度は、これらの発現遺伝子群および公共データベースChIP-Atlasの利用によって抽出した充実型増殖部における遺伝子発現制御への関与が推測される10種の転写因子のタンパク発現について、病理病期IA期の肺腺癌患者29例の組織標本を用いて検証し、肺正常部および各亜型 (置換型、腺房型、乳頭型、充実型)における発現比較を実施した。各転写因子の染色結果をH-scoreによって定量化し、領域ごとのタンパク発現を比較した結果、10種の転写因子の充実型増殖部における発現は、正常部と比較して有意に亢進していることが明らかとなった。さらに、このうち6種の転写因子の充実型増殖部における発現は、正常組織を含めた他の全ての領域と比較して有意に亢進していることが明らかとなった。今後は、これら6種の転写因子の肺腺癌における機能を解析するとともに、治療標的としての可能性を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、充実型増殖部の形成・維持に関わる転写因子群の同定、およびこれらの転写因子が肺腺癌細胞株の表現型に対して、どのような影響を与えるかを明らかにすることを目標としていた。免疫組織化学染色の結果の定量化による評価及びこれまでに樹立した転写因子の安定発現株 (A549)とは異なる細胞株 (PC-9)における安定発現株の樹立に時間を要したことが原因で研究の進歩に遅れが生じていると考えている。しかし、今年度の研究結果によって、6種の転写因子についてヒト肺腺癌組織における発現確認ができたことから、今後は計画通りに研究を進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学によるタンパク発現評価によって、充実型増殖部での高発現が認められた6種の転写因子について、安定発現株を用いた増殖能、浸潤能、薬剤抵抗性能及び動物モデルによる腫瘍形成能の評価を検討することで、これらの転写因子の肺腺癌悪性度への関与を明らかにする。さらに、これらの分子を治療標的とした阻害剤の効果を検証することで、充実型増殖部を標的とした新規治療薬開発へ向けた研究に発展させていく予定である。
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