Project/Area Number |
22K09031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
丸山 晃一 帝京大学, 医学部, 教授 (80267210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 富男 帝京大学, 医学部, 教授 (00193110)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 皮膚発汗 / 皮膚温 / 交感神経 / 脊髄クモ膜下麻酔 / 無痛域 / 全身麻酔 / 発汗 / 湿度センサー / 皮膚温度 / 皮膚湿度 |
Outline of Research at the Start |
区域麻酔で得られた無痛域では交感神経ブロックが生じるため、発汗の停止、皮膚温増加が起きる。本研究では、応答速度の速い湿度センサーと温度センサーを皮膚近傍に配置し、皮膚の湿度低下と温度上昇を認める領域を計測することによって、無痛域の推測が可能であるかを臨床例において検討する。これにより、認知機能障害のある高齢者など、意思の疎通が難しく、通常の方法では区域麻酔時の無痛域の把握が困難な症例において、客観的な無痛域の評価が可能な新規方法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は皮膚の温度、湿度の変化から脊髄クモ膜下麻酔の麻酔効果の範囲を客観的に把握、推定することが可能であるかを検討し、そのための測定装置、測定方法の開発を目指すものである。2023年度には下記の研究を行った。 1.自作センサー、記録装置のテスト:2022年度に作成した、皮膚温、皮膚近傍湿度を測定、記録するための自作装置を用いて、ボランティアにおいて手掌部および体幹の皮膚温、皮膚近傍湿度の変化を記録できることを確認する実験を継続した。すなわち、暗算を行うことによる交感神経緊張時の手掌発汗を、皮膚湿度増加として検出できた。また、下肢運動時の発汗を体幹の皮膚湿度増加として検出可能だった。 2.市販機器での検討:①自作機器と比較して最適な測定方法を選択する目的で、類似の市販装置2種を用いて、脊髄クモ膜下麻酔時および全身麻酔開始時の皮膚発汗量の変化の測定を試みた。②Tewameter TM Hexにて経皮的水分蒸散量を測定する方法、およびCorneometer CM825にて皮膚角質層下の水分量を電気容量の変化により計測する方法を手術症例で試した。全身麻酔導入時の入眠による交感神経抑制に伴う手掌発汗低下、脊髄くも膜下麻酔効果発現による交感神経抑制に伴う体幹当該部位の発汗低下の影響を調べた。③その結果、経皮的水分蒸散量、皮膚水分量いずれも明確な変化を認めなかった。この原因として、測定内容および測定部位の問題が考えられた。すなわち、交感神経の緊張度は大きく低下したと考えられるが、評価した指標はその影響が大きくない可能性がある。また、いずれの機器でもセンサーを皮膚に固定できないため、間欠的にセンサーを皮膚面に置きなおす必要があり、毎回測定部位が近接はしているが、同一部位ではなかった。このために測定値にばらつきが大きかった可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度は、手術患者の全身麻酔導入、覚醒時、および脊髄クモ膜下麻酔時の皮膚温、皮膚近傍湿度の変化を自作装置も用いて記録、検討する予定であった。予備的試験について、倫理委員会の承諾を得て、準備を進めていた。自作装置では前記の市販装置とは測定内容が異なり、皮膚に固定して継時的変化を測定可能な点も異なるため、違う結果が得られる可能性があると考えていた。しかし、研究代表者の丸山が入院加療必要となる病欠期間が生じ、その後も仕事量を制限した。このため、研究者の所属する部署の臨床業務を行う人員の不足が続き、自作装置を用いた臨床試験の実施は延期となった。また、その後も研究協力者の体調不良などもあって2023年度内は臨床研究を開始できなかった。この間、自作センサー装置のテストと調整、および関連文献の再調査を行った。過去の論文において、交感神経の遠心路は求心路とは異なり必ずしも皮膚分節に沿って分布していないことを示唆する報告が複数あった。すなわち、脊髄クモ膜下麻酔や硬膜外麻酔時に麻酔効果が得られた皮膚分節の温度、血流、発汗による皮膚電気抵抗などを検討すると、麻酔効果が生じている皮膚分節でもこれらの測定で交感神経ブロックの所見が見られないことが多くあるという。皮膚近傍の湿度を調べた報告はないが、麻酔効果の範囲推定には有用でない可能性もありうると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の丸山は健康状態が回復し、2024年度には部署内の人員も補充され、臨床研究を実施できる体制が得られている。前記の臨床研究を実施していく予定であり、新たな研究協力者の助力も得られる状況である。まず、承認の得られている予備試験を行い、全身麻酔導入、覚醒時の手掌皮膚の温湿度、および脊髄クモ膜下麻酔時の大腿、体幹の皮膚温湿度の測定を自作装置にて行う。臨床に有用と思われる測定結果であるかを検討し、有用性が期待できるものについて、さらに詳細な検討を行う本試験を計画し、実施したいと考える。全身麻酔に関しては、意識レベルや鎮痛の程度、循環動態との関係について有用な所見が得られる可能性があると思われる。 また、手掌の皮膚発汗については、交感神経緊張時には発汗が不規則にスパイク状に増加し、この一過性増加が反復することが示されている。したがって、皮膚湿度も同様に増減すると考えられ、これらの数秒から1,2分程度の変動を把握することが重要と思われる。大腿や体幹については、このような皮膚発汗の変動については、調べられていないと思われる。測定のサンプリング間隔をより短くするように測定方法を改変して、手掌及び大腿、体幹の皮膚温湿度変動を上記の臨床研究で解析するべく準備を行っている。
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