Elucidation of the mechanisms for bone destruction in chordoma.
Project/Area Number |
22K09217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河合 克宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00553653)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 脊索腫 / 骨破壊 / 破骨細胞 / マイクロCT / コルドーマ |
Outline of Research at the Start |
我々が行った予備実験の結果、脊索腫細胞そのものが、骨浸潤部位において破骨細胞様のふるまいをし、酸性環境を作り出すことで骨破壊を引き起こしている可能性を見出した。本研究では、骨代謝学において蓄積のある破骨細胞研究の知見を元に、「脊索腫細胞自身が直接骨破壊を引き起こす」という仮説を検証することで、脊索腫における骨破壊の機序を解明し、それを標的とした新たな治療戦略の提言を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
脊索腫は遺残脊索から発生する腫瘍で、腫瘍周囲の骨を破壊しながら局所浸潤するため、臨床的に悪性度の高い腫瘍である。ヒト脊索腫斜台の浸潤部における骨破壊を詳細に調べるため、マイクロCTを用いてヒト脊索腫検体の骨形態および骨密度を解析した。その結果、腫瘍隣接部位の斜台骨においては、正常骨に類似した骨梁構造が観察されるのに比べて、脊索腫浸潤部位の斜台骨では、骨梁構造の破壊と多数の小孔を含む、分断された骨小片を認めた。さらに、脊索腫浸潤部の骨密度は、腫瘍周囲のトルコ鞍底骨や斜台骨と比較して、有意に低下していた。また、脊索腫浸潤部の組織学的解析の結果、斜台の骨小孔内に脊索腫細胞に特徴的な多胞性の細胞集団が確認された。さらに、2021年度に所属研究室に新規に導入されたサブミクロン領域が観察できる高分解能3DX線顕微鏡(nano3DX, リガク)を用いることで、腫瘍浸潤部の組織構造を三次元で観察した。その結果、腫瘍隣接部の斜台骨が均一な高密度の骨であるのに対し、腫瘍浸潤部の骨は、多数の小孔を含む、多孔性構造になっていることが確認できた。これらの結果は、脊索腫において何らかの酸性環境が存在し、骨溶解を伴う骨破壊が起きていることを示唆している。次に、斜台の骨小孔内に観察された脊索腫細胞集団について免疫組織化学染色により、解析を行った結果、脊索腫細胞のマーカーとして知られているBrachyury陽性の細胞集団中に、多核の巨細胞が観察され、それらの細胞が破骨細胞のマーカーであるTRAP陽性であることを見つけた。さらに、このTRAP陽性のBrachyury陽性細胞が、破骨細胞が発現するタンパク質分解の1つであるCathepsinKも発現していることがわかった。これらの結果は、脊索腫細胞細胞が、破骨細胞と類似した分子基盤を用いて、酸性環境を作りだし、直接骨破壊に寄与している可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊索腫検体を用いた高分解能X線CTによる、骨形態および骨密度分析が完了し、脊索腫浸潤部位における多孔性の構造や骨密度の低下が明らかになった。また、組織学的解析により、脊索腫細胞が破骨細胞と類似した分子基盤を用いて酸性環境を作り出し、骨破壊に直接寄与する可能性を示すことができた。また、脊索腫細胞が破骨細胞誘導因子に応答する可能性も一部見出しており、これらの結果は第40回日本骨代謝学会学術集会 2022年7月23日において報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
脊索腫検体から樹立された細胞株である、JHC7細胞[Hsu W. J. Neurosurg. 2011]は、長期にわたり繰り返し継代維持されているにも関わらず、脊索腫組織と同様、多様性が高く細胞内空胞をもたない紡錘形細胞と、細胞質内に多数の空胞をもつ担空胞細胞が存在する。特に、担空胞細胞においては細胞の大きさもまちまちで、多核巨細胞の様な細胞形態を示すものも観察される。よって、JHC7細胞は、破骨細胞で観察されるような細胞融合を引き起こすことが考えられる。また、脊索腫細胞が、破骨細胞のマーカーであるTRAPを発現しており、その活性が破骨細胞誘導因子の刺激により増加することを見出した。そこで、JHC7細胞における細胞融合、カルシウム動態、酸分泌の可能性などを破骨細胞誘導因子の有無の条件も含めて調べることにより、脊索腫細胞による骨破壊メカニズムを詳細に解析する。現在までに、細胞融合やカルシウム動態を観察するために必要なライブセルイメージングのセットアップを完了しており、今後、イメージング、解析を進める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)