Project/Area Number |
22K09314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
船尾 陽生 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (90365304)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 姿勢制御異常 / neurotransmitter / セロトニン / ノルアドレナリン / 三次元動作解析 / 脊椎疾患 / 姿勢バランス異常 / 歩行解析 |
Outline of Research at the Start |
姿勢制御異常は、老化現象の一つであり根本的には改善しないものと考えられていたが、不可塑性の老化現象のみではない可能性がある。我々は首下がり患者においてserotonin noradrenaline reuptake inhibitorの投与により、姿勢制御異常が劇的に改善した例を報告した。本研究の目的は、姿勢制御異常を呈した患者とコントロール群を比較し、neurotransmitterの不均衡が姿勢制御の異常に関与している可能性を証明することである。また、脳機能画像functional MRIや3次元歩行解析など総合的なアプローチを行い、姿勢制御異常に関する病態解明の一助を目指すことである。
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Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を背景に、姿勢バランス不良を呈した患者が増加している。姿勢バランス不良は老化現象の一つで根本的には改善しないものと考えられていた。しかしながら、アセチルコリン作動系やモノアミン作動系での神経伝達物質の障害が起こると、筋緊張の異常をきたし姿勢制御異常を誘発する可能性がある。我々は、首下がりを呈した患者においてSNRI(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor)の投与により、劇的に首さがりおよび姿勢バランスが改善した例を経験した(Funao H et al, Heliyon, 2020)。加齢、うつ、認知症、パーキンソン病などでは、セロトニン神経の活動低下やセロトニン遊離量減少を引き起こし、姿勢筋や抗重力筋の活性低下により前傾姿勢や首下がり症状を呈している可能性が考えられた。本研究では、姿勢バランス不良を呈した患者において、脳や脊髄内のneurotransmitterの不均衡が、姿勢制御異常に関与している可能性を明らかにするため、主に血中セロトニン、ノルアドレナリン量の計測を進めてきた。結果、セロトニンの低値およびノルアドレナリンの高値などのneurotransmitterの不均衡を確認し、学会報告を行った(2023年、第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会)。また、頚髄症患者において三次元動作解析装置と床反力計を用いた振り返り動作による姿勢移動で、先行随伴性姿勢調節機能(anticipatory postural adjustment: APA)時間が健常人よりも有意に遅れていることを確認し、英文誌に報告した(Funao H et al, J Clin Med, 2023)。現在、ウエアラブルデバイスによる動揺性の解析やサーモグラフィーによる自律神経系の異常なども含め、姿勢制御異常の総合的な研究を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳や脊髄内のneurotransmitterの不均衡が姿勢制御異常に関与している可能性を明らかとするため、脊椎疾患に姿勢バランス不良を伴った患者において、血中のセロトニン、ノルアドレナリン量の計測を行った。姿勢バランス不良のない脊椎疾患患者(主に頚椎疾患)をコントロールとして比較検討した結果、我々の仮説通り姿勢バランス不良を伴った患者におけるneurotransmitterの不均衡、すなわちセロトニンの低値およびノルアドレナリンの高値などを確認し、学会報告を行った(2023年、第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会)。今後は、この結果を国内外の学会に報告し、英文誌に投稿する予定である。三次元動作解析においては、首下がり症患者での歩行パターンが正常人と異なること、またリハビリテーション後に改善することなどを複数の論文(Suzuki A et al, J Clin Neurosci, 2021、Igawa T et al, Sci Rep, 2021、Igawa T et al, Medicina, 2022、Urata R et al, Medicina, 2023)を報告し、頚髄症患者においては、三次元動作解析と床反力計を用いた振り返り動作による姿勢移動で、先行随伴性姿勢調節が健常人よりも有意に遅れていることを英文誌に報告した(Funao H et al, J Clin Med, 2023)。また、先天性筋性斜頸患者の術後に局所のみならず全脊椎バランスが改善されていることを報告した(Funao H et al, J Clin Med, 2023)。この他、イヤホン型のウエアラブルデバイスによる動揺性の解析や、サーモグラフィーによる自律神経系の異常など、姿勢制御異常の総合的な研究を進めており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のメインテーマである、姿勢制御異常を伴った脊椎疾患患者におけるneurotransmitterの不均衡、すなわちセロトニンの低値およびノルアドレナリンの高値などのneurotransmitterの不均衡など、さらなる解析を行い国内外の学会に報告し、英文誌に投稿する予定である。さらに研究に厚みを出すため、姿勢制御異常の総合的な研究を進めているところである。具体的には、新規性の高いイヤホン型のウエアラブルデバイスを用いて、通常の歩行解析では難しい、より生活に密着した動作における動揺性や姿勢制御不良の計測を行っている。また、姿勢制御不良を有する脊椎疾患患者では、神経障害によるしびれや感覚鈍麻のみならず、冷感などの異常知覚を訴える患者も多い。異常知覚に関しては、中枢神経系の障害あるいは末梢神経障害が原因か、交感神経や副交感神経など自律神経系の障害かなど未だ不明な点も多い。患者の体表温度をサーモグラフィーで測定し、姿勢不良を伴う神経障害と体表温度との関連も明らかにしたいと考えている。これらの解析は先行論文がほとんどないため、計測方法などから模索しながら研究を進めている。研究結果は、国内外での学会報告、英文誌での論文報告をしていく予定である。
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