マージナルドナー腎移植成績向上を目指した酸素供給下持続低温灌流法の探索
Project/Area Number |
22K09462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
日下 守 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40309141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 昭浩 藤田医科大学, 医学部, 講師 (00617144)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (90452333)
市成 ゆりか 鹿児島大学, 先端科学研究推進センター, 特任研究員 (50630050)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 腎移植 / マージナルドナー / 臓器保護 / 前臨床実験 / ミニブタ |
Outline of Research at the Start |
厳しい臨床条件のマージナル腎への適応拡大は、急性腎障害のリスクや慢性移植腎不全への進展が懸念される。強い温虚血にさらされたマージナル腎の臓器保存法として、酸素供給下低温機械灌流法(oxygenated hypothermic machine perfusion: HMPO2)に着目し、MHC確立ミニブタを用いた実践的橋渡し研究により、①移植臓器の機能維持のためのHMP中の至適酸素投与方法および他の保存法との優位性の評価、②拒絶制御効果と機序の解明、③灌流液や組織、血液、尿、エクソソームなどの各種解析による腎障害進展因子の同定と臓器機能評価系の確立、④HMPO2中の腎修復への挑戦を課題とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主要組織適合性抗原(MHC)が確立されたミニブタを用いて、強い温虚血にさらされたマージナル腎の新たな臓器保存法の開発をはかるための実践的橋渡し研究を行った。 ブタが虚血に弱いことが報告されていることから、令和5年度は温虚血と冷虚血がブタ腎移植後の成績にどのように影響を及ぼすかについて基礎データーを得るための検討を実施した。虚血がドナー腎に与える直接的な影響を評価するため、拒絶反応の関与を最小限に抑えたMHC適合間の腎移植実験を行った。 ①5時間冷保存後の腎移植 UW液で5時間単純冷却保存した腎臓を移植した4例中2例では、移植後4日および8日まで腎機能の回復が遅れる症例が見られた。ピーククレアチニン値は2.6~6.7 mg/dlと幅広いものの、ブタでは5時間冷保存のみでもAKIを引き起こす可能性が示された。一方、LifePortで5時間低温灌流保存を行った場合、ピーククレアチニンが2.0 mg/dlとなる結果を得ており、冷保存でのLifePortの有用性が示唆された。 ②1時間温虚血後5時間冷保存後の腎移植 より均一で高度なAKIモデルを確立する目的で、摘出した腎臓を37℃で1時間静置した後、5時間UW液で保存し、腎移植を行った。結果として、術後4日目にピーククレアチニンが9.4 mg/dlに達し、高度の腎機能障害が確認された。1時間温虚血後にLifePortを使用した低温灌流保存を5時間行った後の移植では、ピーククレアチニンが7.3±1.4 mg/dlとなる結果を得ていることから、再現性を評価する必要があるものの、1時間温虚血+5時間保存が高度なAKIモデルとして有用であることが示唆された。また、温虚血腎の保存にLifePortは有効であるものの完全ではなく、常温灌流保存や低温灌流保存+酸素投与、適切な保存温度を含めた新たな保存法の開発が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、MHC確立大動物を用いて、実験の基礎となる腎移植後AKIの発生リスクを評価するため、冷保存後の腎移植モデル、さらに温虚血+冷保存後の腎移植モデルを確立した。このモデルを使用することによって、低温灌流保存の有効性とその限界を明らかにすることが可能となった。これらの結果から、令和5年度の研究進捗は課題の達成に向けて十分なものであると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、令和5年度に確立した実験モデルを基にして、本研究の最終目的である温虚血腎移植後のAKIを防ぐための最適な臓器保存方法を開発することを目標とする。具体的には、温虚血腎に対する常温灌流保存や低温灌流保存時の腎臓への酸素投与、さらには温虚血腎の保存に適した温度の探索を進めることによって、研究課題を推進する。これによって、温虚血による腎障害の軽減と移植後成績の向上を図ることをはかる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)