Project/Area Number |
22K09518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 千鶴 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80347054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 透 千葉大学, 大学院医学研究院, 技術専門職員 (30422265)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 遺伝子改変男性不妊症モデルマウス / ODF4 / 精子受精機能分子 / ODF4遺伝子欠損マウス / 体外受精 / 男性不妊症 / 遺伝子改変雄性不妊症モデルマウス / ODF4-EGFPトランスジェニックマウス / Adenylate kinase / 精子機能分子 / 配偶子膜接着関連分子 / 精子中心体関連タンパク質 |
Outline of Research at the Start |
不妊症の約半分は男性に起因するため正確な精子機能検査は不妊症の診断と治療に必須ですが、全国共通の評価法はまだ確立されていません。精子が父親の遺伝情報を卵子に運ぶためには正常形態と運動能を維持するだけではなく、先体反応やキャパシテーション、透明帯通過、卵子細胞膜との接着融合、卵活性化などの複雑な過程を正常に起こす能力が必要であり、これらを備えたものが良質の精子です。本研究では、遺伝子改変不妊モデル動物を用いて精子-卵子細胞膜接着融合に関連するEQUATORINと中心体関連分子ODF2および精子の形態と運動に関連するODF4を対象に不妊症の原因を解明し診断と治療に応用することを目的としています。
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Outline of Annual Research Achievements |
ODF4関連の研究を中心に行った。 ODF4遺伝子欠損(ODF4-KO)マウスは,余剰細胞質を巻き込んだヘアピン型尾部を持ち頭部を後ろにして逆泳する精子を持ち,運動率,直進速度,平均速度の全てが低下しており,自然交配では卵管を上昇できずに男性不妊を呈する。先行研究にて,KO精子は尾部に局在する機能タンパク質のほとんどが正常に存在するがAdenylate kinase 1と2(AK-1,2)が顕著に減少していること,また,KO精子のATP産生は正常であるが野生型と比較してATP,ADPともに異常に高くcapacitation前後の値が一定ではないことを発見した。これらの結果をまとめて,「OD4はAK-1およびAK-2と共同して精子内のエネルギー代謝に関与し,尾部の運動と余剰細胞質の除去による正常形態形成に必須である」ことを第68回日本生殖医学会にて発表した。 また,精巣上体尾部から採取したODF4-KO精子では脱膜テストにおいて余剰細胞質が除去された後では正常に近い動きが観察されることから,適切な培地を用いて体外授精を行うことで不妊症をレスキューできるのではないかと発想し,実験を行った。その結果,ODF4 KO精子は余剰細胞質を除去して正常形態となり,運動率,直進速度,平均速度の全てが上昇した。さらに培養した精子を用いて野性型卵と体外授精を行ったところ,約20%の卵が4細胞期まで発生した。ヘアピン型不動精子による男性不妊症を呈する患者の中にも原因がODF4異常の場合には,培地の工夫によって精子の運動能を向上させてより自然に近い治療法を行えることがわかった。以上の結果をまとめてRMB誌に投稿中である。 また,東京大学との共同研究によりKif6解析を行い,第129回日本解剖学会・学術集会講演にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精子の受精に関するODF4とAdenylate kinaseとの関係を初めて明らかにした。 また,ODF4-KO精子の実験において,弱い界面活性剤によって精子細胞膜を脱膜後にATPを投与する脱膜テストでは,余剰細胞質が除去された後に正常に近い動きをすることがわかったことから,適切なmediumを用いた人工授精を行うことでreuscueできるのではないかと発想し,実験を行った。ODF4-KO精子はATP産生には異常がないため、ATP産生に必要なピルビン酸やグルコースを含む培地を検討し実験を行った。その結果,KO精子に特徴的なヘアピン鞭毛が解消されるとともに精子の運動能が上昇した。この精子を用いて野性型卵子に体外受精を行ったところ,受精が成立し卵発生が進むことを明らかにした。この結果をまとめて現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,ODF4関連の研究を行う。精子OD4はAK-1およびAK-2と共同して精子内のエネルギー代謝に関与し,尾部の運動と余剰細胞質の除去により精子を正常形態にし受精を可能にする。今年度は,Adenylate kinase(AK)阻害剤によりODF4-KOと同じ症状が引き起こされるかどうかを解析する。AK阻害剤の最適濃度を調べ,それを用いて野性型およびODF4-KO精子運動能をSMASを用いて測定する。同時に精子形態に変化がないかを十分数の検体をもちいて解析する。AK阻害剤で処理した精子を用いて体外受精を行い,授精能の有無を検証する。AK阻害剤により精子運動能の抑制と受精の抑制が起こる場合, 避妊薬の開発の可能性も検証する。
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