子宮内膜症に対する酸化的自爆死を誘導する非ホルモン治療法の開発
Project/Area Number |
22K09549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
今中 聖悟 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20790306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00526725)
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 子宮内膜症 |
Outline of Research at the Start |
子宮内膜症に対するホルモン治療は、疼痛の緩和には一定の効果をもたらすが治癒することはなく、妊娠を希望する患者には推奨されない。現在のホルモン治療を超える新規治療薬を開発するためには、内膜症自身の抱える弱点を攻撃するブレイクスルーが要求される。全身のホルモンバランスに影響を与えず、内膜症特有のエネルギー代謝特性を修飾し、内因性ROSを増幅させることで、内膜症細胞を酸化的自爆死(Oxidative suicide)させる新たな治療戦略の土台を確立することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
内膜症細胞を内因性酸化ストレスで自爆死させる治療戦略の実証を行うため、培養細胞を用いた乳酸脱水素酵素A (LDHA)およびピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ1 (PDK1)の阻害剤による追加実験を実施した。内膜症不死化腺管上皮細胞および手術時に患者から採取した内膜症間質細胞を初代培養し、LDHAを阻害するとピルビン酸から乳酸への移行が阻止されるため、ピルビン酸からアセチルCoAへ変換され、ミトコンドリア活性の上昇につながった。その結果、内因性ROS産生、ミトコンドリアの酸化、ATP産生能が上昇する反面、酸化ストレスによる細胞毒性が上昇した。一方、PDK1の阻害により、PDH活性が上昇し、ピルビン酸からアセチルCoAへ変換され、ミトコンドリア活性の上昇につながった。その結果、内因性ROS産生、ミトコンドリアの酸化、ATP産生能が上昇する反面、酸化ストレスによる細胞毒性が上昇した。いずれもミトコンドリア動態、すなわち分裂と融合と密接な関連性を認めた。内膜症細胞は酸化ストレスが亢進すると、ミトコンドリア融合から分裂へと移行し、酸化的リン酸化から解糖系へシフトし、ROS産生を抑制するという独自のエネルギー代謝を獲得することもわかってきた。さらに、LDHAおよびPDK1阻害による子宮内膜症細胞死は酸化ストレスによりもたらされ、鉄キレート剤によりその効果は消失したことより、フェロトーシスが原因である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LDHAおよびPDK1阻害による子宮内膜症細胞死は酸化ストレスによりもたらされ、鉄キレート剤によりその効果は消失したことより、フェロトーシスが原因である可能性が示唆された。現在、他のフェロトーシス阻害剤などの効果を試しているところである。さらに、内膜症細胞はフェロトーシスを抑制し、ROS産生を減少させるために、エネルギー代謝を変化させることも確認できた。そこで、エネルギー代謝を決定するミトコンドリア動態の制御について検討を開始したところである。ミトコンドリア動態が内膜症細胞の生存に関与することが分かったため、ミトコンドリア分裂に関与する遺伝子DRP1とミトコンドリア融合に関連する遺伝子MFN1およびMFN2の発現をコントロールすることで、内膜症特有の細胞生存あるいは細胞死の調節機序を解明する。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア分裂遺伝子DRP1とミトコンドリア融合遺伝子MFN1およびMFN2の発現をコントロールする検討を開始したところである。ミトコンドリア動態と内膜症特有の細胞生存あるいは細胞死の調節機序を解明する。エネルギー代謝を酸化的リン酸化へシフトさせながら、DRP1活性を抑制すれば、解糖系への逃げ込みを抑えることで恒常的に細胞死を達成できる可能性が示唆された。そこで、エネルギー代謝を制御するために、阻害薬の併用実験として、培養細胞を用いて、ある程度絞り込んだLDHA阻害薬、PDK1阻害薬の単剤および組み合わせによる、内因性ROS産生、ミトコンドリアの酸化、ATP産生能、細胞毒性をモニタする。これらの阻害剤に加え、DRP1あるいはMFN1/MFN2の発現をコントロールし、ミトコンドリア分裂を阻止することで、内膜症特有の細胞死を誘導できるか検討する。現在考えているシナリオは、内膜症のエネルギー代謝をつかさどるPDK1の抑制(酸化的リン酸化を促進しROS産生を誘導する)とミトコンドリア分裂を誘導するDRP1の抑制(解糖系を抑制し、ATP産生を減少させる)を組み合わせることで、細胞死を達成できると考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)