Project/Area Number |
22K09564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
松岡 知奈 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, リサーチアソシエイト (40941050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 一紘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 医員 (40569521)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 胎盤オルガノイド / Ferroptosis / リモデリング / 胎盤 / 妊娠高血圧症候群 |
Outline of Research at the Start |
妊娠高血圧症候群(HDP)は母児共に重大な合併症を起こしうる妊娠合併症の一つである.その病態は複雑で未だ確立された予防法・治療法がない.HDP病態解明のために必要なバイオモデルが不足している現状を打開するため,iPS細胞から胎盤オルガノイドを作製し,産科研究バイオモデルを構築することを大きな目標とする.この胎盤オルガノイドを用いて,近年注目されている鉄依存性の細胞死であるferroptosisに着目し,妊娠とferroptosisの関連を探ることでHDPの病態解明を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧症候群(HDP)は未だ病態が不明であり確立された予防法・治療法が存在しない疾患である。胎盤形成において、絨毛細胞は母体の螺旋動脈に浸潤し、血管平滑筋を破壊することで螺旋動脈が拡張し胎盤への十分な血流が確保され胎盤が発育する。この過程がリモデリングであり、胎盤形成の要となる過程であるが、このリモデリングが障害されるとHDPが発症するとされており、HDPのほぼ全例でこのリモデリング不全が認められる。臨床的に虚血再灌流障害とferroptosisとの関連性が報告されていること、胎盤研究で一般的に用いられるBeWo細胞におけるferroptosisの感受性の高さから、我々は新たなHDP病態解明のため、ferroptosisに着目する。 当研究室においてiPS細胞から胎盤オルガノイドの作製に成功しており、この技術を活用し、HDPの病態解明を進めていく。また、ferroptosis感受性が高いと言われるミトコンドリア病由来iPS細胞も有することから、疾患iPS細胞由来の胎盤オルガノイドも作製し、この2種のferroptosis感受性の差を利用して、対象-疾患iPS細胞比較から胎盤オルガノイドでのferroptosis動態を解析し、HDPとferroptosisの関与を検証することで病態解明を進めていく。このように胎盤オルガノイドを用いてHDPの病態解明、ひいては産科研究バイオモデルとしての確立を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
月経血細胞由来のiPS細胞から、胎盤オルガノイドの作製に成功した。胎盤オルガノイドの分化培養液を妊娠検査薬で確認すると陽性反応が見られ、胎盤オルガノイドからのHCG分泌も確認された。この胎盤オルガノイドの特性解析を行い、免疫染色やqPCR法によってSyncytin、KRT7やCGBなどの胎盤特有の分化マーカーの発現の確認、未分化マーカーの発現低下も示された。これらのマーカーの発現は、ヒト胎盤検体には及ばなかったが、絨毛癌株細胞であるBeWo細胞と同等程度の発現は得られた。その他、血管内皮細胞マーカーであるCD31の免疫染色では、胎盤オルガノイドにおいて血管構造は認められなかったものの、CD31陽性細胞を認め、血管成分の存在も示唆する結果であった。 さらに、同様の方法で、ミトコンドリアDNA枯渇症候群の疾患iPS細胞からの胎盤オルガノイドの作製にも成功した。この異なる2種類のiPS細胞由来の胎盤オルガノイドに、ferroptosis誘導剤であるRSL3を添加すると、LDH値が上昇し、ferroptosis抑制剤であるFer-1の添加でこれらは抑制され、ferroptosisによる細胞死を胎盤オルガノイドでも誘導することができた。また、Ferroptosisに特徴的な脂質過酸化を検出できるBODIPY染色においても、胎盤オルガノイドへのRSL3の添加で染色され、ferroptosisの誘導が確認できた。 興味深いことに、ミトコンドリア病の疾患iPS細胞から誘導した胎盤オルガノイドの方がferroptosis感受性が強い傾向が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製した胎盤オルガノイドをプラットフォームとして、HDPの病態を反映する産科研究バイオモデルへ開発していく。まず妊娠中の虚血再灌流障害のモデルとして、胎盤オルガノイドを低酸素培養後に通常の条件での培養に変更し、ferroptosisの誘導性について解析する。次に、HDPの病態形成の中核をなす母体の血圧上昇に関与するsoluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFLT-1)/soluble endogline (sENG)の定量を、胎盤オルガノイドの1)低酸素培養による絨毛虚血誘導、2)RSL3によるferroptosis誘導の2つの条件下で行う。ここでは、正常iPS細胞(月経血由来iPS細胞)とミトコンドリア病疾患iPS細胞からそれぞれ胎盤オルガノイドを作製し、比較解析していく。 最終段階として、実際に臨床で使用されている妊娠高血圧症候群治療薬(プラバスタチン,プロトンポンプ阻害剤など)を用いて、HDP-胎盤オルガノイドモデルのヒト産科研究バイオモデルとしての有効性を検証する。
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