Project/Area Number |
22K09576
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
今中 聖悟 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20790306)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 卵巣癌 |
Outline of Research at the Start |
CA125と画像診断との組み合わせによる卵巣癌の早期発見、良悪性の鑑別、予後との関係に関する研究は昔から行われているが、主治医の経験に依存することが多い。TFPI2は本邦初の保険収載された卵巣がん診断腫瘍マーカーであり、内膜症で上昇せず明細胞癌に特異度が高いTFPI2を用いた臨床研究は、国内外とも存在しない。本研究の目的は前述の仮説の検証によりTFPI2の組み合わせ検査の有効性を解明することで、卵巣腫瘍の良悪性の鑑別と、内膜症の癌化、特に明細胞癌の早期発見の土台を確立することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣腫瘍の良悪性を鑑別するためには腫瘍マーカーと画像診断を組み合わせるが、腫瘍マーカーとして最も汎用されるCA125は、良性卵巣腫瘍、特に子宮内膜症性嚢胞で高い偽陽性を示すこと、明細胞癌での低い陽性率が問題である。一方、TFPI2はCA125とは異なり、内膜症に対する偽陽性率は1.8%と低く、明細胞癌に対し80%と高い特異度を示したため、CA125の欠点を補う新たなマーカーと考えられる。そこで、TFPI2は他の腫瘍マーカーCA125, HE4, CA19-9, CEAのうちどれと組み合わせるのが、良悪性の鑑別に最も有効であるのかを検討した結果、CA125+TFPI2が最も感度、特異度が優れていた。さらに、TFPI2の機能を研究した結果、妊婦、子癇前症患者、がん患者の血中TFPI2濃度は大きく上昇する。一方、高メチル化による腫瘍抑制遺伝子と考えられるTFPI2のダウンレギュレーションは、いくつかの癌の進行に寄与する可能性があると考えられてきたが、卵巣明細胞癌で過剰発現したTFPI2は、おそらくプラスミン活性の阻害を介して、血栓症の発症の危険因子であると考えられる。ただし、TFPI2濃度の定量化に関する国際標準化がないため、研究者や臨床医が各国のさまざまな研究のデータを評価、統合、比較することは困難であることもわかってきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CA125、CA19-9、CEA、HE4、および卵巣悪性腫瘍のリスクアルゴリズム(ROMA)は、卵巣がん(OC)の診断のための腫瘍マーカーおよびアルゴリズムとして広く使用されている。TFPI2は、本邦におけるOCの潜在的な血清診断マーカーとして開発されている。良性卵巣腫瘍と悪性卵巣腫瘍を区別するための最良のマーカーを見つけるために、6 つのマーカーの単独および組み合わせの診断精度を評価した。484人の患者から採取した凍結血清サンプルを、病理組織学的結果に基づいて、卵巣癌OC (n = 119)、境界卵巣腫瘍 BR (n = 48)、および良性卵巣腫瘍 BN (n = 317)の3つのグループに分けた。診断精度は、受信機動作特性(AUC)曲線下の面積で計算した。TFPI2は、OC+BR群とBN群の間で最も高い識別率を達成した(AUC 0.8076)。ROMAは、BN患者(AUC、0.8966)からOC患者を最もよく識別し、TFPI2(AUC、0.8937)と同等であった。OC群とBR+BN群の鑑別では、最も高いAUC値はROMA値(AUC、0.8884)によって達成され、TFPI2も同等の診断精度(AUC、0.8845)を示した。TFPI2とROMAを組み合わせると、AUCが最も高くなった(0.8420-0.9357)。以上より、TFPI2は、良性卵巣腫瘍と悪性卵巣腫瘍を区別するための従来のROMA値に匹敵する臨床的に有用な単一マーカーである可能性がある。TFPI2の腫瘍マーカーとしての生物学的特性を調べている。
|
Strategy for Future Research Activity |
TFPI2の腫瘍マーカーとしての生物学的特性に関して、凝固および線溶系におけるTFPI2の病態生理学的役割を検討している。TFPI1およびTFPI2は、凝固および線溶系において異なるプロテアーゼ阻害活性を有する相同体である。TFPI1は、TF/第VIIa因子(FVIIa)触媒による第X因子(FX)の活性化を阻害するのに対して、TFPI2はTF開始トロンビン生成に影響を与える可能性は低いが、プラスミンに対して強い阻害活性を示す。プラスミンは、フィブリン分解、血栓溶解、およびいくつかの凝固因子(FV、FVIII、FIX、FXなど)の不活性化に関与しており、TFPI2は、プラスミン依存性線溶を阻害することにより、VTEのリスクを高める可能性があることがわかってきた。TFPI1とTFPI2は、凝固系と線溶系を調節する上で異なる重要な機能を持っている可能性がある。さらに現在、癌の予後との関連性を調査しているところである。
|